〈カフェネット投句〉7月20日 飛岡光枝選
【特選句】
雀の子まだあどけなし梅雨の軒 周作
巣立って間もない雀の子が、軒に降り込められている。「まだあどけなし」に慈悲深い心が覗く。
夕弥撒や祈りに少女日焼けして 澄江
見るからに青春まっただ中の日焼けしてる少女の祈る姿。昼間は部活や遊びなどで思いっきり元気に過ごしている少女だからこそ、祈りの姿に心打たれる。上五の切れ字は強すぎる。「夕弥撒の」。
【入選句】
それぞれの音たて水密味わへり 光加
これこそ美味しく食べるコツ。食べ物は味わっているのは当たり前なので、言わずもがな。もっと表現したいことにことばがより働くよう工夫を。「それぞれの音たてて吸ふ水蜜桃」。
どくだみの花にまぎれし白い蝶 周作
白い花に白い蝶が紛れるのではつまらない。「どくだみの花にまぎれてしじみ蝶」。
波乗りの板干す庭や夾竹桃 隆子
朝の波に乗ってきたのだろうか。立てかけてある板の傍らには、真昼の日差しを浴びて夾竹桃が揺れる。「庭」ではいかにも説明。「垣」、「家」か。
絵硝子に西日射し入る旅の果 澄江
教会のステンドグラスだろうか。「西日」に「旅の果」は付きすぎ。