朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉8月
8月のカフェきごさい句会の兼題は、7月のカフェきごさいサイトより、季語「夏の野の花」、料理「梅ご飯」、花「紅花」です。
【特選】
野萱草田水明るき夕べかな 澄江
夏の静かな夕暮れ。野萱草の素朴な華やかさがよく描かれた。
夏深き泰山木よ花了へて 隆子
大きな白い花の盛りを終え、濃い緑の葉をたたえて静かに佇む泰山木。その姿は夏そのもののよう。
月山の露をまとひて紅の花 澄江
あの鮮やかな紅は、毎朝纏う月山の露の賜物。「月山の露」と思い切りよい表現が、読むものを納得させる。
【入選】
釣瓶井戸あつたあたりや鴨足草 稲
水を恋う鴨足草。
天山の道はろばろと紅の花 隆子
紅の花が故郷を懐かしんでいるよう。
山の宿籐椅子一脚我を待ち 光加
「我」は不要。「一脚の籐椅子の待つ」。
漱せし時は遠くに鴨足草 周作
洗面所の小窓から鴨足草が見えている。
凌霄の落花たどれば友の家 光加
豪華な目印。真夏の光が感じられる。
音たてて火蛾とびこむ山の家 守彦
「音たてて」が切実。「火蛾のとびこむ」。
浮き草に息吹きかけてからかいぬ 周作
そっと息を吹きかけただけで動く哀れさ。
淋しさにねこじやらし抜き遊びけり 守彦
「遊びけり」がいい。
葭障子の向うは美男美女となり 光加
「となり」は理屈。
9月の兼題は「カフェきごさい」サイトより、8月の季語「夏休み」、料理「夏野菜スープ」、花「朝顔」です。
越南の日傘をかむり梅を干す 光枝