【特選】
缶蹴りの缶の転がる夏の果 周作
缶の音がはるかまで響いているような夏の終わり。原句は「夏の坂」。これでは説明。
冬瓜のかすみのごとき味を褒め 隆子
「かすみのごとき味」が秀逸。「褒め」は不要。
【入選】
早池峰の風に吹かれてホップ摘む 澄江
ホップの瑞々しい緑が目に浮かぶ。地名も効いている。
草の実の飛んで鴉はねぐらへと 澄江
秋の夕暮。しみじみとした心持ちがよい。
泰平の空より垂るる瓢かな 隆子
「泰平の空」がいまひとつわからない。
朝顔のなつかしき色ばかりかな 隆子
朝顔の色は、赤でも青でも白でもなぜか懐かしい色をしている。「朝顔は」。