a la carte 門松
正月の神祭の場所であることを示し、歳神様を迎える門松。松飾などとも言い、松をはじめとする常緑樹の緑が冬枯の景色の中でひときわ美しい。自ずと新年を迎える心持になる。吟行で先日、掛川市八坂にある事任(ことのまま)八幡宮を訪れたところ、鳥居の傍らに門松が立てられていた。「枕草子」にも(ことのままの明神いとたのもし)とこの社の名前が登場する。東海道筋の箱根に次ぐ難所といわれた小夜の中山の手前に鎮座している。道中の無事を祈って、昔の人々はこの社に参った。和歌にも詠まれ、多くの紀行文にも記載されている。真を知る神、言の葉で事を取り結ぶ働きをもたれる神、言の葉を通して世の人々に加護を賜う「ことよさし」の神である。ことだまの社である。しっかりとお参りをした。みなさま、よい歳をお迎えください。
門松やはるかに白き富士の山 洋子