今月の花(四月)菜の花
菜の花の黄緑色が少しまざったような黄色いはなびらは、どこか透明感があります。切り取って花瓶にいけるといつのまにか花が陽の方向を向いています。
春の暖かさを待ち望む私たちの気持ちに寄り添うように咲く菜の花。華やかというよりどこか庶民的な花は、雛まつりにも桃と共に飾られ女の子の成長を願います。
茎を抱えるように付く葉は、うす緑の表面が縮れたりねじれたりしていてボリューム感たっぷりです。茎の元は太く、真直ぐに伸びてにいき高さは八十cm前後になります。そして、どこまでも広がっていく満開を迎えた菜の花畑の光景は圧巻です。菜の花には青空が似合います。
菜の花のつぼみのおひたし、からしあえなど食材としての菜の花により興味があるという方も多いでしょう。菜の花の茎を鋏で切る時、スパッと切れる手ごたえに日ごろいけている植物の中でも菜の花は確かに食べられる植物だと私は頷くのです。「菜」は菜っ葉と呼ばれる野菜の葉をさし、もともと主食に添えられるおかずの意味もあります。
菜の花は、種をとって油を搾るアブラナから作られたものです。菜種として結実すると長い実のなかに丸い種があり、これが菜種油の原料となります。種を取った後は肥料や飼料になります。
いけばなでは花の後の菜殻を面白い形として使います。また、乾かして化学薬品で脱色して漂白花材として出まわることもあり、水を必要としないのでどの季節でも作品に使用することが出来ます。
それにしてもアブラナをもととした野菜が何と多くあることでしょう!菜のつく食べることのできる葉、つまり、水菜、小松菜、野沢菜、高菜のみならず、蕪や白菜や青梗菜、ターサイまでが近縁だというのですから。
本当かしら、と疑い深い私はこの野菜たちの花を比べてみれば答えが出るものと思い立ちました。
気が付けば紋白蝶も飛び始め、菜種梅雨という優しい雨の響きも思い起こさせるのもこのころです。(光加)