朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」二月
今月の兼題は、「カフェきごさい」のサイトより 季語「二月の寒い季語」料理「豆天」花「辛夷・木蓮」です。
【特選】
島日和椿を洗ふ波の音 弘道
「椿」に「島」「波」という組み合わせとしては平凡なものを、平凡ではない描写で描いた存在感のある一句。荒波の寄せる島の椿に心が通う。
雪解けの雫のしらべ瑠璃瓦 勇美
「瑠璃瓦」がいい。雪解けの日差しの眩しさまでが感じられる。
【入選】
摘草の妻は遠くに丸くなり 守彦
万葉集の妻恋の歌のよう。
蒼天の風一身に花辛夷 勇美
早春の花、辛夷らしい有り様。
霜柱楼閣泥へと崩れけり 周作
「楼閣」が大仰でゆかい。「泥へと」は説明しすぎ。「霜柱楼閣つひに崩れけり」など。
吊革に目刺となりて揺れてをり 今日子
吊革に掴まってただ揺れている人々。「吊革に目刺となりて揺られをり」。
まつさきに君の北窓開けに来し 隆子
恋の面影を感じるが、状況が今一歩わからない。
春来たる水琴窟の応へけり 今日子
「応へけり」が理屈。「水琴窟春響かせてゐたりけり」。
梅日和母のリュックの真新し 勇美
春の喜びが伝わる。「梅日和母のリュックの新しく」。
野遊やけふは大きくにぎり飯 隆子
この「けふは」は説明。
八朔の色に誘はれジャム作る 道子
「色に誘はれ」が春らしい。
来客に目印伝ふ木蓮花 今日子
要素を入れすぎてごちゃごちゃしてしまった。「わが家の目印高き白木蓮」など。
俳句は短いので、あれもこれもと要素が多くなると伝わりません。何が言いたいのかを明確にして焦点を当てること。
梅一枝かつぎて春の来たりけり 光枝