朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(七月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。七月の兼題はサイトより、季語「涼し」花「向日葵」浪速の味 江戸の味「泥鰌鍋」です。
【特選】
わが窓に代々かよふ守宮かな 勇美
夜々通うといえば普通だが、世代に渡って通うとは大げさでおかしい。
合歓の花隠岐一島をけぶらせて 隆子
様々な物語を秘めた隠岐の島に合歓の花がよりそう。
大氷河滴たる命アマゾンへ 和子
大氷河の一滴がやがてアマゾン川となる。滴りに焦点をあてて「大氷河滴たり滴たり命かな」など。
【入選】
向日葵の種の秩序に戸惑ひぬ 勇美
ぎっしりと詰まった種を前にした戸惑い。「向日葵の種の秩序を恐れけり」など。
一塊の孤独や月の山椒魚 隆子
この句のなかでは「月」がうるさいか。「一塊の孤独の眠る山椒魚」など。
遥かなる霧の裂け目に黒き富士 和子
黒々とした夏富士が姿を現す瞬間。原句は「霧満ちし空の裂け目に黒き富士」。
夕立の洗ひあげたる茄子をもぐ 隆子
みずみずしい茄子を過不足なく描いた。
灯を消して人も金魚も夢を見る 涼子
「人も金魚も」としたことが手柄。しみじみとした夏の一句。
故郷の友また一人芋の露 弘道
省略が効いた一句。「また」に万感の思い。原句は「故郷の友また一人芋の花」。
向日葵の迷路は遠き日へつづき 隆子
向日葵の迷路を効果的に詠んだ。はるかなる思い。
プロペラ機梅雨前線越えゆけり 勇美
空に線が引いてあるかのような愉快ではっとさせられる一句。「越えゆけり」がいい。
人の世にすこし離れて泥鰌鍋 光枝