朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(七月)
四ケ月ぶりの朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。激しい雨の午後、元気に2句座を囲みました。1句座目の兼題は6月のサイトより、季語「祇園祭」、花「合歓の花」、浪速の味「冷し飴」。2句座目は、席題「玉虫」「蠅叩き」です。
《第一句座》
【特選】
ほうたるこい蘇りたる山里へ 涼子
近年の豪雨は自然の豊かな土地ほど無残な爪痕を残していく。蛍はそのような土地、人々のまさに希望の光。言い古された「蛍来い」が、思いがあるからこその思いのこもった言葉となった。原句は「ほうたるこい蘇りたる里山へ」。
合歓の花のせて水路の水早し 勇美
中七から下五がまさに水の流れのような言葉の運びとなっている。「のせて」としたことで、合歓の花の様子が見えてくる。
雷鳥の子を呼ぶ声も霧に溶け 和子
山霧の動きはすばやい。晴れ晴れとした青空があっという間に白く覆われる。そんななか、子育て中の雷鳥の声だけが響く。「霧に溶け」が秀逸。
【入選】
登りきて浄土これありお花畑 和子
高山に登った人だけが目にすることができる「お花畠」。思わずこぼれた言葉が句になった。
涙する少女の睫毛ねむの花 涼子
芭蕉の眉掃きにはじまり、様々にたとえられる合歓の花。睫毛も読まれるが、「涙する」とまで言って新鮮。
ひとり立つ大向日葵の矜持かな 勇美
「矜持」という難い言葉がこの句では効いている。
旅の夜や旅のしをりの合歓の花 勇美
上五は要検討。原句は「旅の夜や旅のしをりに合歓の花」。
敷石のいきなり動く蜥蜴かな 涼子
石だと思ったら蜥蜴、少々無理があるが「いきなり」が蜥蜴らしい。
クロールの子の撒き散らす陽のかけら 勇美
「子の」がいらないか。「クロールの夏撒き散らす陽のかけら」などなど。
面高な京の男や祭笠 涼子
笠をかぶると丹精な顔が際立つ。原句は「面高な京の男の祭笠」。
鳥海山は水の塊合歓の花 光枝
この嫁は恐ろしい、けど目が離せない。玉虫の底知れない力を感じさせる一句。
【入選】
蠅叩とんと見かけぬ家の蠅 涼子
蠅がいなければ叩きたくても叩けない。蠅叩きの本質。
はへたたき追ひかけつこの今もまだ 和子
なつかしさを感じさせるのが蠅叩きらしい。「蠅叩き追ひかけつこのまだつづき」。
思ひ出は蠅取りリボンのゆらぎかな 勇美
ここをスタートにして「思ひ出」をより大きくとらえてみる。「昭和てふ蠅取りリボンのゆらぎかな」などなど。
塵取に玉虫の玉ころがりぬ 光枝