朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(八月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題は、サイトより今月の季語「八月の果実」、花「蛍袋」、江戸の味「甘酒」です。
【特選】
道の辺の毬栗きらきら雨上り 守彦
栗の毬を滴る雨粒が秋の陽に輝く様子が見える。原句は「道の辺に栗きらきら雨上り」。
しみじみとと二十世紀を滴らす 勇美
しみじみと味わうのは、梨であり、時代でもある。
【入選】
冷蔵庫我がもの顔の大西瓜 和子
発想はある句だが「我がもの顔」に作者の率直な気持ちが現れていて余計に愉快。
うみ柿のとろりと甘き炬燵かな 守彦
「甘き」で切れる。皮の中は熟しきっている柿の手触りまでが感じられる。
片頬を過ぎる風あり涼新た 涼子
初秋の微妙な感覚をよく捉えている。
あかあかと太陽の柿吊しあり 涼子
秋の陽の色のみごとな柿。原句は「あかあかと太陽の色柿たわわ」。
めらめらと我焼き尽くす残暑かな 和子
焼き尽くすまで言うと少々大げさだが、「残暑」で活きた。
行く君へ青き蜜柑の放物線 勇美
「行く」の内容がもう少しわかるとより良いが、「放物線」にある青春性が発見。原句は「行く人へ青き蜜柑の放物線」。
ひんやりとうみ柿の籠爺の部屋 守彦
誰もいない部屋でひそやかに熟れていく柿。
麹室闇深々と一夜酒 光枝