今月の花(十二月)冬桜
花を届けてくれた花屋さんが、先生には冬桜をいれときました、といって包みを置いて帰っていきました。お稽古に冬桜が来るのははじめてではなかったでしょうか。
東京の赤坂見附の交差点。五差路になっている一角にある交番の裏に、すっかり葉の落ちた四~五メートルの高さの木の枝にちらほらと薄ピンクの小さな花が見かけられます。風が吹き車の行きかう中、花たちが枝にしっかりつかまって咲いている姿が健気です。この桜は近くの木々が寒々と立っている中、毎年、緩いピンクの花の塊が上を向いている枝の中ほどから先に見られ、狂い咲きではないことがわかります。この時期には、何かしらと人々が見上げている光景がよくみられます。
「冬桜」と呼ばれるものは、今ではこの時期に見かけられる桜の総称で使われることがありますが、本来は山桜、または大島桜と豆桜の交配から生まれた雑種をさします。
また「十月桜」と呼ばれる桜は小彼岸桜の園芸種。十月くらいから花をつけることから名づけられたのでしょう。四月上旬にも花をつけます。花弁は白からピンクのもの、また花弁の数が多いものもあり、冬の花は春咲く花に比べ小型です。
「四季桜」は薄い紅の一重で、十月ころから咲くためこちらも十月桜と呼ばれることもあります。
二月から咲き山桜と寒緋桜などからできた交配種は「寒桜」と呼ばれています。葉が出ると同時か少し前に咲きます。花弁は五弁で淡紅色、開花してみれば花弁の縁が少し濃いのが特徴です。年に一度咲きます。
「寒緋桜」は一月末に、濃い紅色の二センチほどの花が半開きで下を向いて咲きます。花の姿が特徴的でほかの桜と見分けられます。緋寒桜、台湾桜とも呼ばれ春を呼び込むこの木は五メートルから八メートルにもなり、景色が灰色の中でその華やかさは人目をひきます。
この他にも 年の終りに近いころから新年にかけて咲く桜があります。花屋さんからの桜はリビングに暖かな光がはいるせいか細い枝も心なしか伸び、ちらほらとまた五弁の花を咲かせています。
満開の桜を楽しめる春を目指して一緒にがんばりましょう、と応援されているようです。(光加)