カフェネット投句(11月)飛岡光枝選
十三夜の冷やかな光のもと、妻と己の存在の確かさ。名月では句にはなりません。作者の新境地を予感させる一句。
待つといふ嬉しさもあり冬林檎 涼子
中七で切れる一句。「冬林檎」がとても効いています。
【入選】
陽の暮るる時際やかに富士の雪 和子
残照の中の冬の富士。原句は「陽も暮るる富士の白雪際やかに」。
山茶花や自転車置き場ピンク色 涼子
驚くほどの山茶花の花びら。原句は「山茶花や自転車置き場はピンク色」。この「は」を取れるように。
髭を剃る刃に忍び寄る寒さかな 弘道
髭剃りの刃はいろいろに詠まれますが、この句は髭を剃っている最中の刃というところが新鮮です。
八十路なんぞ序の口冬迎へ 弘道
音としては「八十歳」としたいところですが、それではなぜかつまらなくなります。「冬迎へ」では状況の説明に終わってしまうので具体的な季語(冬の植物など)を。
トラ猫に遊んでもらふ秋の夜 守彦
原句は「猫の子に」ですが、春の大きな季語なので工夫を。