カフェきごさい「ネット投句」(6月)飛岡光枝選
雷の大音響にはっと我に返った心持でしょうか。「神」という一字により、「雷」とニュアンスの差が生まれるのをよしとするかどうか。
忘れ草一輪残る大野原 和子
漱石に「萱草の一輪咲きぬ草の中」がありますが、こちらは一輪残った花。「忘れ」と「残る」がぶつかるので萱草の花としたいが、ほぼ漱石の句と同じになるので悩ましいところ。
旅人の仰ぐ空あり山法師 涼子
原句は「旅人の仰ぐ安らぎ山法師」。「仰ぐ安らぎ」は少々無理があります。
新玉ねぎ茎の青さの皮をむく 涼子
語順がねじれてしまいました。素直に作ると「茎青き新玉ねぎの皮をむく」でしょうか。率直に作るほうが伝わります。
麦の道母の棺に附いて行く 弘道
原句は「麦畑母の棺に附いて行く」。「麦畑」には作者の率直さが表れていますが、動きがほしいところ。