カフェきごさい「ネット句会(8月)」互選+飛岡光枝選
【互選】
連中:桂 都 裕子 すみえ 光尾 良子 弘道 雅子 夕菅女 隆子 利通 あきえ 光枝
桂選
追ひし夢たたんで仕舞ふ夏の果 すみえ
朝経の声の若さよ夏木立 雅子
睡蓮や弾雨の降らぬ空しずか あきえ
都選
睡蓮や弾雨の降らぬ空しづか あきえ
回天や海ほほづきを誰が吹く 利通
夏空を自在に少女スケボーと すみえ
裕子選
朝経の声の若さよ夏木立 雅子
河骨にぎらぎらと日の沈みゆく 光枝
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
すみえ選
終戦日玄関の靴そろへけり 都
金魚玉ポンポン船の通り過ぐ 利通
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
光尾選
朝経の声の若さよ夏木立 雅子
銀漢や途絶えしままの友の伝 都
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
良子選
終戦日玄関の靴そろへけり 都
家よりも向日葵高く描く子よ 桂
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
弘道選
朝経の声の若さよ夏木立 雅子
大欅入道雲に仁王立ち 光尾
大文字送りて涼し京の闇 雅子
雅子選
緑陰やゲートボールの音高し 光尾
睡蓮や弾雨の降らぬ空しづか あきえ
回天や海ほほづきを誰か吹く 利通
夕菅女選
金魚玉ポンポン船の通り過ぐ 利通
回天や海ほほづきを誰か吹く 利通
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
隆子選
長梅雨の北斗は水を零しけり 裕子
大文字送りて涼し京の闇 雅子
終戦日玄関の靴そろへけり 都
利通選
長梅雨の北斗は水を零しけり 裕子
夏空を自在に少女スケボーと すみえ
歪みたる陽だまり抱く木下闇 あきえ
【飛岡光枝選】
《特選》
朝経の声の若さよ夏木立 雅子
言葉が過不足なくすっきりとした夏の句。夏木立に響く読経の声が聞こえてきます。
回天や海ほほづきを誰か吹く 利通
人間魚雷と言うも恐ろしきものがあった時代。中七下五は現実の情景であると同時に、海中へ思いを馳せた鎮魂の一句。
ひとときを地球に浮いて平泳ぎ 雅子
同じ着想の句はありますが、ゆったりとした調べが句をより大きくしました。互選でも多くの賛同を得た一句。
《入選》
縺れ行く真白き蝶や梅雨明ける 桂
「縺れ行く」に梅雨が明けたばかりの空気感が感じられます。
大欅入道雲に仁王立ち 光尾
「仁王立ち」に夏の生命力が感じられます。
大夕焼くやし涙はこれつきり すみえ
この時期の悔し涙となるとオリンピックでしょうか。「大夕焼」がいい。
睡蓮や弾雨の降らぬ空しづか あきえ
地の静けさと天の静けさと。
終戦日玄関の靴そろへけり 都
なにげない日常が続くことの幸を思いつつ。
考へをまとめるふりの扇かな 良子
ふりをしているというところがミソ。
言の葉は五色の風に星今宵 夕菅女
言葉も初秋の星も今宵は風に吹かれて。
金魚玉ポンポン船の通り過ぐ 利通
金魚玉に映る通り過ぎて行く船を思いますが、金魚玉の中の出来事のような不思議さがあります。
青空を自在に少女スケボーと すみえ
最後が尻切れトンボのようですが、この句の場合、スケボーが空へ飛びあがった瞬間のような感じがあります。
鮎二匹焼かれて無念反り返る 弘道
料理屋でしたら串打ちをしますが、句は釣りたてを河原で焼いている様子でしょうか。鮎には気の毒ですが、哀れさのなかにおかしみを感じます。美味しそうなのが何より。