今月の花(九月)瓢箪
古くから世界中で用いられてきた瓢箪。テレビで放映された人形劇「ひょっこりひょうたん島」。島の形を思い出せば瓢箪とは中央がくびれている長めの実と思うでしょう。どこかユーモラスな形です。
瓢箪は種類も多く、つる性で一年生です。つるを引き棚に作って実を下げることもあります。千成瓢箪は形は小さくても鈴生りになります。歴史のお好きな方は豊臣秀吉の金の逆さ瓢箪の馬印としてご存じでしょう。手柄を立てるたびに増えていき、まさに千成瓢箪になったといわれています。舟印にも使われたようです。
くびれがなく1メートルくらいになる長瓢箪、鶴の首のように首が長く細く垂れ下がる形になる鶴首瓢箪もあります。瓢箪の変種とされるかんぴょうを取る夕顔の実も同じくふくべ、と呼ばれます。白い花は5つにさけ直径7-8センチの大きさになることもありますが、真夏の夕方に咲き初め、朝にはしぼんでしまいます。
中をくりぬいて花器にしたり飾り物として置いてあるのを見かけることもあるでしょう。酒器や水筒として使用するのは、かすかに空気や水を通す繊維の性質から中の空気が入れ替わり腐敗をふせぐからと聞きました。
中を空にすれば空気も振動することから楽器にも使われます。インドのシタールは瓢箪や夕顔の実でつくられています。ハワイの瓢箪を二個張り合わせた打楽器。アフリカの打楽器には瓢箪を使ったものが多いのは、瓢箪の原産地の一つはアフリカと言われているからでしょうか。
乾かした瓢箪に同じ方向にたくさん刻みを平行にを入れたギロ。打つほかにそこに棒をあてて上にひけばギ―という音。返しで早く引けばチャチャという音がでて、ラテン音楽に使われるとか。
あまりの暑さとコロナの影響で対面でのお花のおけいこはキャンセルした夏です。けれど家の中に花がないのは何とも寂しく、お花屋さんに、「見繕ってもってきて」と言って配達をたのみました。夏のこの時期、年に一回しかいけられない花材もあります。花の包みには珍しかったから、と瓢箪が大小入っていました。オンラインいけばなの生徒さんたちに見せたら、穴を開けて種をだし水につけて花器を作ってみようかと思っていましたが、ギロもつくれたらいいな、と思うようになりました。
こんな中ですが秋の楽しみを一つ見つけました。(光加)