朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」九月
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。兼題はサイトより、九月の季語「九月」、花「瓢箪」、江戸の味「秋刀魚」です。
【特選】
チベットの山家彩る唐辛子 和子
チベットといえば色とりどりの小旗が印象的だが、句は唐辛子で彩られているという印象鮮明な一句。家々で唐辛子を干すという生活が感じられるのもいい。「チベットの山家彩り唐辛子」もある。
大ひさご垂れてしりもちつきにけり 涼子
しりもちが楽しい、秋の実りへの喜びがあふれる一句。平仮名の多用も、棚から伸びきっている瓢箪の様子に通じ効果的。原句は「大ひさご垂れてしりもちつきさうな」。
【入選】
ひとつひとつ違つて嬉しひさご棚 涼子
しっかり出来ているが、特選の瓢に比べると発想が普通。原句は「ひとつひとつ違ひて嬉しひさご棚」。
昼酒は男のものよ秋の風 弘道
上五中七のフレーズに、季語「秋の風」が決まっていないのが惜しい。「昼酒は男のものよ秋刀魚焼く」などか。
上げ潮や夏の香強き小名木川 守彦
東京湾が近い東京の川の濃厚な夏の空気が感じられる一句。原句は「上げ潮や夏の香強し小名木川」。
昼寝醒め冷たき桃にかぶりつく 守彦
ストレートな表現で桃のみずみずしさを伝える一句。「昼寝」は夏、「桃」は秋の大きな季語なので同列は難しい。「目の覚めて冷たき桃にかぶりつく」など。
須磨の浦波音高く月を待つ 和子
地名の入った句は絵葉書俳句にならないようより実感のある句を目指したい。原句は「月を待つ須磨の浦波音高き」。
夏休み将棋盤抱へ孫来たる 守彦
軽いスナップ写真のような一句。孫との交流がほほえましい。原句は「夏休み将棋盤抱へ孫の来る」。
踏みしだく月の光の刃かな 光枝