カフェきごさい「ネット句会」6月 互選+飛岡光枝選
【連中】守彦 都 良子 桂 すみえ 裕子 雅子 涼子 光尾 隆子 利通 酔眼 光枝
≪互選≫
良子選
飛魚や帰省の船をまへうしろ 隆子
菖蒲田の光分け行く小舟かな 桂
己が道図太く生きよ牛蛙 都
裕子選
老鶯の背山妹山季(とき)問はず 利通
飛花落花狐六法なほ高く 酔眼
イカロスの落ちたる海の飛魚かな 隆子
桂選
老鶯の背山妹山季(とき)問はず 利通
飛花落花狐六法なほ高く 酔眼
三年を眠りし梅酒封を切る 雅子
光尾選
菖蒲田の光分け行く小舟かな 桂
歯の治療をへて安堵の夕薄暑 裕子
今年またおんなじ父の夏帽子 良子
雅子選
微笑みて吹かれてをるや蛇の衣 光枝
飛魚や帰省の船をまへうしろ 隆子
山芍薬雲の白さに花開く 涼子
すみえ選
風くれば金魚泳ぐや江戸風鈴 雅子
三年を眠りし梅酒封を切る 雅子
柿若葉子供みこしの一休み 裕子
都選
父の日やひとり居の父爪を切る すみえ
飛魚や帰省の船をまえうしろ 隆子
まぼろしのひまわり畑子の遊ぶ 光枝
涼子選
風くれば金魚泳ぐや江戸風鈴 雅子
菖蒲田の光分け行く小舟かな 桂
山峡の風も運んで新茶着く 光尾
利通選
風くれば金魚泳ぐや江戸風鈴 雅子
泰山木花のつぼみの朽ちゆくも 光枝
菖蒲田の光分け行く小舟かな 桂
隆子選
老鶯の背山妹山季(とき)問はず 利通
菖蒲田の光分け行く小舟かな 桂
今年またおんなじ父の夏帽子 良子
酔眼選
父の日やひとり居の父爪を切る すみえ
婚礼のくさやとならん飛魚とぶ 隆子
ところてん話し上手に聞き上手 良子
山芍薬の咲く山の澄んだ空気が感じられる一句です。「山芍薬雲の白さの花開く」。
今年またおんなじ父の夏帽子 良子
「今年またおんなじ」で切って読みます。日焼けした古い帽子を大切にされている父上。新しいのがあるのに、と家族に言われても我関せず。そんな父上を好もしく見守る作者です。
グレイヘヤーさあ楽しまん髪洗ふ 雅子
原句は「グレイヘアーさて楽しまん髪洗ふ」。新しい夏の新しい自分の勢いをより出しては。「髪洗う」の新鮮な一句です。
丸き山いくつ超えたか遍路笠 守彦
讃岐地方にはぽこぽことした丸い山が続きます。遥かゆくお遍路さんへ心を寄せた一句。「遍路笠」が上手い。
【入選】
飛魚や帰省の船をまへうしろ 隆子
ふるさとへはやる気持ちを飛魚に託した一句。夏の季語「帰省」をどうするか。「飛魚や帰郷の船のまへうしろ」。
独裁者自ら落ちる蟻地獄 都
戦争のニュースに心痛む日々。原句は「独裁者自ら落ちろ蟻地獄」。気持ちはわかりますが、作品として「蟻地獄」の存在がより生きるようにしたいところです。
絶妙な母の間合ひや新茶汲む 裕子
具体的にはどういった状況かはわかりませんが、絶妙なタイミングで美味しい新茶を振る舞う母上。新茶の力でその場がより和やかになったに違いありません。
菖蒲田の光分けゆく小舟かな 桂
絵葉書の風景に落ち着かずに、「光分けゆく」と動きを出して上手くいきました。
仕事場に父が坐りし夏の夢 守彦
仕事をするお父上の後ろ姿でしょうか。「坐りし」で作業の様子が目に見えるようです。短夜の夢の一端。
蚕豆のつるんと出でて夕べかな 酔眼
晩酌の蚕豆でしょうか、夏の日の終わりのほっとする時間。原句は「蚕豆のつるんと出でてくる夕べ」。
山峡の風も運んで新茶着く 光尾
山間に育った新茶でしょうか、封を切る時のうれしさが思われます。言葉の運びに無理がなく心地よい一句。
胡椒餅旨し外つ国の夜店かな 都
屋台の胡椒餅が美味しそう。言葉に少々無理があります、素直に。「胡椒餅香る台南夜店かな」など。
己が道図太く生きよ牛蛙 都
牛蛙の大きな鳴き声に勇気をもらいます。取り合わせの句ですが、季語の「牛蛙」が内容と合い過ぎているのでもう少し間のある季語を考えてみましょう。
亀の子は鼻突き出して夏の川 桂
少し淀んだ夏の川の様子。「鼻突き出す」が具体的で句をいきいきとさせています。原句は「亀の子は鼻突き出すや夏の川」。
柿若葉子供みこしの一休み 裕子
やわらかな柿若葉の下、お神輿を下して一休み。涼しい風が吹いていることでしょう。