朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」十一月
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより十一月の季語「凩」、花「まゆみの実」、浪速の味「柚子」です。
【特選】
煮豆の火細く細くと虎落笛 勇美
上五中七と「虎落笛」の取り合わせの句。北風が立てるヒューヒューという鋭い音と、豆が焦げ付かないようにと守る細い火の呼応。深まりゆく冬の感覚をよくとらえています。原句は「煮豆の火細く保たむ虎落笛」。
【入選】
柚子三粒あの世のあるじに断りて 勇美
大事にしていた主がいなくなった柚子の木から柚子をいただく景と読みましたが、少々わかりにくい。また、柚子を数えるのに「粒」は、どんなに小さくても合わない。「柚子三つ彼の世の主に断りて」、よりわかるように「今はなき主に断り柚子をもぐ」など。
顔見世や掲げしまねき文字踊る 和子
「文字踊る」に贔屓の役者への期待と高揚感が表れ、顔見世の華やかさがよく出ています。一句のリズムが少々窮屈なので一工夫を。「顔見世や掲げしまねきの文字踊る」など。
神童のおでこつややか次郎柿 勇美
理屈ではよくはわからない句ですが、つやつやした次郎柿がよく見えてきます。確かに神童のおでこはつやつやしているだろうと納得させられる一句。「神童」という少し古めかしい言葉が「柿」と合っているのかもしれません。
柚子しぼる一滴に覚め夜の卓 光枝