浪速の味 江戸の味(一月) 関東風雑煮【江戸】
新年を祝う正月料理は地域性が濃く、なかでも「雑煮」はその土地の食材を入れた様々なものが伝わっています。また、移り住んだ地方の雑煮と混合して、各家庭独特の味が生まれるのも特徴ではないでしょうか。
雑煮の起源については諸説ありますが、一日が夕方からはじまるという考えのもと、元日がはじまる大晦日の夕方に神仏に供えて福を宿した餅を、次の日に煮て福とともに食したという説が有力です。
おおまかには、東日本は焼いた角餅(切り餅)の澄まし汁仕立て、西日本は丸餅を茹で味噌仕立てと言われ、北海道は各地からの移住者が多いため両者が混在しており、沖縄県は雑煮の習慣はないそうです。
具材はまさに千差万別。鮭文化圏の越後雑煮は鮭の頭や身やいくらが入り、鰤文化圏の九州地方は鰤が欠かせない地域が多いようです。仙台雑煮は豪華さで知られ、山海の具材がふんだんに使われるとか。
かたや東京の雑煮はシンプルです。焼いた角餅に澄まし汁、具材は鶏肉、椎茸、人参、鳴門巻きなど。青菜には東京江戸川区小松川の名産、小松菜が使われます。
私は生まれも育ちも東京ですが、両親が兵庫県出身の我が家では、父の故郷から届く丸餅を茹でた醤油ベースの雑煮でした。焼いた餅の雑煮は正直馴染めず、少しとろっとした餅の雑煮でないと正月が来た気がしませんでした。
今回、写真の関東風雑煮をはじめて作りましたが、焼いた餅が香ばしく、その美味しさに目覚めました。このお正月は欲張って両方の雑煮を楽しみたいと思っています。
みなさま、お雑煮と共に、どうぞよい年をお迎えください。
丸餅も角餅も笑ふ雑煮椀 光枝