第十九回 カフェきごさいズーム句会 句会報(飛岡光枝選)
第十九回「カフェきごさいズーム句会」(2024年10月12日)句会報告です。( )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。
第一句座
【特選】
後の月眠りの国に母おはす 葛西美津子
秋の灯や手に馴染みたる熊野筆 矢野京子
荒涼の山くだりきて七竈 鈴木勇美
泥の海有明の月も遥かなり 藤井和子
(有明の月遥かなり泥の海)
【入選】
昆布締めにして艶めくや新豆腐 花井淳
(新豆腐昆布締めにして艶めける)
秋惜しむ店また一軒閉まりしと 周龍梅
(秋深し店また一軒閉まりしと)
今年米笑顔の君に供へけり 上田雅子
りすが来るまでは団栗そのままに 高橋真樹子
裸電球みんなで吊し秋祭 前﨑都
稲穂刈る嫗は一人影小さく 藤井和子
(稲穂刈る媼一人の影小さく)
ひと切れの松茸なれど土瓶蒸し 斉藤真知子
(ひとひらの松茸なれど土瓶蒸し)
無花果食ぶ薄き唇つやめかせ 赤塚さゆり
鯊を釣る蠢くゴカイ恐るおそる 前﨑都
(鯊を釣る蠢くゴカイ恐ろしき)
おひとりさまひとつ新米ならびおり 早川光尾
(おひとりさま一袋新米ならびおり)
名月を口実にして夫を呼ぶ 川鍋千栄子
秋の陽に干してけふから羽布団 上田雅子
窓開けて金木犀を一人占め 川鍋千栄子
いかにせむ卓に鎮座の大南瓜 斉藤真知子
(いかにせむ土間に鎮座の大南瓜)
焼さんま骨うつくしき母の皿 伊藤涼子
胡桃割るための金づち胡桃割る 飛岡光枝
第二句座(席題・茸、芒)
【特選】
抱へ持つ舞茸の塊秋田人 花井淳
日暮れまで芒のなかの二人かな 上田雅子
【入選】
無造作に茸並べて田舎店 たきのみね
丈高く客間に活ける芒かな 上田雅子
同級の女ばかりの茸狩 矢野京子
一篭の茸さまざま鍋にせん 葛西美津子
茸取り名人常に孤独かな 前﨑都
お夜食に小さく握りし茸飯 赤塚さゆり
(夜食とて小さく握り茸飯)
毒茸ゆきづりの人誘ひけり 斉藤真知子
大阿蘇や見ゆる限りの芒山 斉藤真知子
(大阿蘇や見ゆる限りは芒山)
旅人の一夜宿りし薄かな 飛岡光枝