第二十三回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)
第二十三回カフェきごさいズーム句会(2025年2月8日)句会報告です。( )は推敲例。
このズーム句会はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学参加も大歓迎です。
第一句座
【特選】
鶏の鶏冠真つ赤や冴返る 藤倉桂
(鶏の真つ赤な鶏冠冴返る)
まほろばや背高のつぽと春を待つ 花井淳
(まほろばや背高のつぽと春を待ち)
盆梅や居間は忽ち梅の間に 鈴木勇美
(盆梅や居間はたちまち梅の園)
ものの芽にやうやく影の生まれけり 斉藤真知子
(ものの芽にはやもう影の生まれけり)
春めいて手の届きさうな山の尾根 周龍梅
(春めくや手が届くかに山の尾根)
【入選】
探梅の一輪誰に告げようか 鈴木勇美
福豆を数ふ間もなく酒のあて 花井淳
湯たんぽと聞いた遠くの波の音 藤井和子
(湯たんぽを抱へ遠くの波の音)
梅の風止むや遥かに波の音 鈴木勇美
梅二輪一輪だけと思ひしが 斉藤真知子
冴返る長き祈りを薬師如来 村井好子
(冴返る長き祈りの薬師如来)
熊笹を叩く一雨寒明くる 葛西美津子
二上の皇子偲ばるる春立つ日 前田悠
大羊歯は太古の緑寒明くる 葛西美津子
路地抜けてまた路地に入る梅ふふむ 赤塚さゆり
(早梅や路地抜けてまた路地に入る)
狐らし寒暮の畔をまつしぐら 藤倉桂
下校児の止まぬペチャクチャ寒明ける 伊藤涼子
(下校児の止まぬおしやべり寒明ける)
ライオンの鬣寂し春の雪 赤塚さゆり
しまひ湯や遠く雪崩の音ひびき 鈴木勇美
(しまひ湯や遠き雪崩の音ひびく)
亀泳ぐけふからはもふ春の水 斉藤真知子
上野駅着けば降り止む春の雪 赤塚さゆり
雨はしろがね三椏はまだ莟 葛西美津子
誘導員顔固まりし冴えかへり 早川光尾
(冴返る顔固まりし誘導員)
春の雪まだ眠りゐるキムチ甕 飛岡光枝
第二句座(席題・雪かき、野火)
【特選】
身の丈の雪に埋もれて雪を掻く 伊藤涼子
【入選】
鎮もりてまた立ちあがる野焼の火 伊藤涼子
雪かきの音で目覚める朝かな 斉藤真知子
ともかくも家から出たし雪を掻く 前田悠
甲板の雪は波へと落としけり 斉藤真知子
今まさに野火に捲かれて恋の道 葛西美津子
雪掻くや山にまつすぐ白き道 藤倉桂
(雪掻くや山へまつすぐ白き道)
まどろみて除雪車の音遠退きぬ 赤塚さゆり
誰もかも顔真つ赤なり雪を掻く 赤塚さゆり
雪掻きを雪投げといふ国言葉 高橋真樹子
からからの関東平野野火走る 飛岡光枝