加賀の一盞(1月) かぶら寿し
お正月にはやはりお雑煮、全国それぞれ味付け、具材、餅の種類など特色がある。
ご当地加賀の金沢は極めてシンプル、醬油味のすまし汁に角餅、三つ葉と削り節を乗せただけ。その理由は雑煮椀のまわりには豪華なお節の重箱、鰤の刺身、治部煮などたくさんのご馳走が並んでいて、お雑煮に具材を入れる必要が無い百万石なのだ。
そこで本題、金沢の正月に無くてはならないかぶら寿し。材料はこの季節みずみずしさと甘みを増した青首かぶら、同じく脂ののった天然鰤、そして酒米にも高級な山田錦の米糀。作り方は皮をむき厚めの輪切りにしたかぶらに切れ目を入れ3日ほど塩漬けにする。別に塩漬けにした鰤のそぎ切りをかぶらにはさみ、糀とお米で作った甘酒で漬け込む。7日間ほどで出来上がる。
むかし母方の実家に行くと、おばあちゃんがあっという間に治部煮を作り、自分で漬けたかぶら寿しを出してくれた。自作するのが当たり前だったころの話。ただかぶら寿しは長持ちしない、漬けて2週間もすれば酸っぱさが増してくる。今でも買い求めるときはお店の人に美味しく頂ける日にちを聞くことが肝心だ。
お節の箸休めにひとつまみ、雑煮を食べながらひとつまみ、何もなくても燗酒にひとつまみ、価格は高めだが金沢文化を秘めた味は見のがせない。
頬はさむ君の手の平かぶら寿し 淳
