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今月の花(十二月)蜜柑

caffe kigosai 投稿日:2015年11月30日 作成者: koka2015年12月1日
仏手柑

仏手柑

炬燵の上の籠に盛られたみかんといえば、つい最近までの家庭での冬の光景でした。

みかんは温州みかんで、この赤みの強い黄色の果物をみると、いかにも暖かく幸せな空気が漂います。ビタミンいっぱいで、乾燥した喉にひやりと気持ちよくおいしいのです。

温州みかんの原産地は九州の鹿児島県あたりというのが通説で、中国の浙江省の温州とは関係がないということです。関東以北では生産されないので、もともと暖かい気候が温州みかんには向いているのでしょう。

その温州みかんの木は高さはせいぜい3~5m。みかん山でみかん狩りをなさった方もおいででしょう。近頃ではみかんの生産者も食べる人たちも減っているということですが外国では日本のみかんは特においしいと言って、カナダや中国をはじめ東南アジアの国々に輸出されています。

温州みかんの属すミカン科の植物は、ラテン名にCitrus という字がついているものだけでも温州みかんのほか、ゆず、すだち、甘夏、伊予かん、八朔、ネーブル、レモン、文旦、夏みかん、グレープフルーツなどがあります。

その中で私が今度こそと思いながらいまだ展覧会でいける機会がないのが、仏手柑です。

手のような形になっていて花屋さんに頼まない限り、まず入手はできません。食用でないのは果肉が少ないからでしょうか。その形は特異なので 香港のフラワーマーケットでも売られているのをすぐに見つけました。

またインド原産の橙は日本のお正月、鏡餅の上に乗っていましたが今では見かけることが少なくなりほかの柑橘類にとって代わることも多くなりました。橙は緑の実がお正月ころには橙色になるのですが、また緑に戻り翌年も残るところから「代々」続きますようにという意味があります。リキュールのコアントローの原料にもなります。

橘もミカン科で、左近の桜、右近の橘で知られています。本物ではありませんが、平安の宮中の伝統を反映するお雛様のひな壇の上で見慣れておいででしょう。

ジュースやマーマレード、その他食用に大活躍のミカン科の植物はどう料理や加工をしても、楽しめるものが多く、あんみつには、夏だって缶詰のみかんがのっています。なんといってもみかんは永久不滅ーーと私は信じているのです。(光加)

今月の季語(十二月) 暖房

caffe kigosai 投稿日:2015年11月30日 作成者: masako2015年12月2日

danbouあかあかと熾りたる火や冬座敷 久保田万太郎

夏に〈夏座敷〉という季語があるのと同じように、〈冬座敷〉という冬の季語があります。一言で言うと、冬用のしつらえを施した座敷のことです。〈襖〉〈障子〉〈屏風〉などの障壁具を使って風を防ぎ、暖房設備で室内の気温を調節します。

「座敷」ですから、家族の居る部屋ではなく客間でしょう。この「火」は客をもてなすための火です。〈火鉢〉の〈炭火〉でしょうか。部屋中あまねく暖められるほどの火力ではありませんが、あかあかといかにも暖かそうです。色や匂いで感じ取る暖かさもあったに違いありません。

暖房をつけて仕事をもう少し    片山由美子

〈暖房〉そのものも冬の季語です。文字通り部屋を暖めることですから、すべての種類の暖房に使用することができます。が、ストーブであれば「ストーブをつける」と言うでしょうし、火鉢であれば「炭をつぐ」、暖炉には「火を入れる、かきたてる」と言いそうですから、この句の作者は冷えて来た夜更けにエアコンのスイッチを入れたのかもしれません。

金沢のしぐれをおもふ火鉢かな   室生犀星

松笠の真赤にもゆる囲炉裏かな   村上鬼城

今では〈火鉢〉も〈囲炉裏〉も、日常品というより展示品であり、観光用、イベント用の他には知らない人のほうが多いでしょう。ですが、傍らに寄るとそのままずっと蹲っていたくなります。その気分は、ふるさとに思いを馳せている犀星の心情に通じるようにも思います。

炬燵の間母中心に父もあり     星野立子

父も来て二度の紅茶や暖炉燃ゆ   水原秋櫻子

ふたりの「父」の様子を想像すると、和室の〈炬燵〉、洋室の〈暖炉〉という以上の違いがありそうです。

ストーブの中の炎が飛んでをり   上野 泰

ストーブを蹴飛ばさぬやう愛し合ふ 櫂 未知子

〈ストーブ〉はまだまだ健在でしょう。炎の飛ぶタイプは少数派になりつつありますが、俳句に詠まれるストーブは火の見えるものが多い気がします。

風を屏(ふせ)ぐ〈屏風〉〈障子〉〈襖〉はすべて冬の季語です。

今消ゆる夕日をどつと屏風かな  山口青邨

一枚の障子明りに伎芸天     稲畑汀子

星空を戻れば白き襖かな     鴇田智哉

屏風や襖は装飾性が濃いですが、障子はむしろ消耗品で、毎年貼り替えます。その仕事を指して〈障子貼る〉〈障子洗ふ〉と言い、こちらは秋の季語です。

今日では、年越しの準備として障子を貼り替えもしますから、秋の季語と聞いて意外に思う方もおられるでしょう。が、もともとは冬支度の一つとして行う作業でした。冬を迎える支度をする季節、つまり晩秋の季語なのです。

湖へ倒して障子洗ひをり     大橋桜坡子〈秋〉

使ふ部屋使はざる部屋障子貼る  大橋敦子 〈秋〉

桜坡子と敦子は父と娘の関係です。時を隔てて、同じ家の障子を詠んだものかもしれません。冬座敷に関わる季語は、「家」を思わせます。家の磁力が弱くなってきている昨今、存続の危うい季語なのかもしれません。(正子)

朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉11月

caffe kigosai 投稿日:2015年11月29日 作成者: mitsue2015年12月19日

huyunobara朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉11月の兼題は、〈カフェきごさい〉サイトより季語「秋の田」料理「芋茎」花「栗」です。

【特選】

ぶらんこの遠くの揺れや冬の薔薇  周作

真底冷えた鉄のブランコと冬の薔薇。きんとした空気の中で揺れている薔薇とブランコ。「遠くの揺れや」は一考。

鬼皮をかぶり栗虫ゆめの中  隆子

鬼皮といえば恐ろしげだが、その中で育つ栗虫にとっては頼もしい揺りかご。もろともゆでられてしまう運命やもしれないが。

【入選】

酢を紅に染めて雅や芋の茎  隆子

「雅」まで言ってしまうと言い過ぎ。

花ひいらぎ門に子の声遊びましよ  澄江

こちらも全て言ってしまった。間を作り、もっと広がりを。「ひひらぎ」。

金色の雄しべ茶の花日和かな  稲

「茶の花日和」がいい。

飯しろく味噌汁あつき秋思かな  稲

飯も味噌汁もうまい、されども。

鬼胡桃長靴はきて沢に入る  守彦

釣だろうか、沢の音が聞こえてくる。

高枝に笑栗のあるみ空かな  隆子

枝についたままはじけた栗の毬。

 

12月の兼題は11月の「カフェきごさい」より「季語」(冬)のつく花、「料理」柚子のママレード、「花」郁子です。いよいよ師走、歳末ならではの季語もたくさんあります。いろいろな季語にチャレンジしてください。

身に添はぬ恋の一句や栗の毬  光枝

クリスマスブッシュ

caffe kigosai 投稿日:2015年11月22日 作成者: koka2015年11月23日

pl-2014223189903クリスマスカードが届きはじめるころ、暖かいハワイや南半球のニュージーランドやオーストラリアをはじめとする国々からのものの中には、なかなか個性的なカードがあります。

サンタクロースがサーフィンボードに乗ってくるものや、カンガルーがサンタの格好をしていたりします。

クリスマスを祝う風習は世界中に広まり、フィンランドのサンタクロース村に行けばサンタクロースの家までみられ、真っ白な雪、クリスマスツリー、サンタがプレゼントを届けるための橇や、それを引くトナカイなど、次々とクリスマスのイメージがわきます。

しかし地球の向こうの南半球はクリスマスのある12月は夏です。この季節を祝うのにはどんな植物があるのでしょうか。

思いつくのはクリスマスブッシュです。クノニア科で、正式の名前はケラトベタルム クンミフェルムでオーストラリアのニューサウスウエルスの初夏に咲き、New South Wales Christmas bushと呼ぶのが正しいそうです。

はじめは小さな花が開きますがその時は目立たず、花が終わりに近づくとそれを囲んでいる5つの萼の部分が紅色に色づき、それがきわ立った時に花としての印象が強くなります。常緑樹でつやのある緑の小さな葉が花を引き立てます。

ブッシュという言葉は低木を意味しますが、この木は5m以上のものもあり、たくさんの花が枝につくときにはそれは見事だそうです。でもオーストラリア人の男性の知人に聞いたところ、この時期はほかにも花はたくさん咲いているので、例えばポインセチアのように特別にクリスマスの花という認識はない、といっていました。

日本の気候の中で鉢物や庭に植えられているクリスマスブッシュが開花するのは春から夏にむかう時です。季節感を大事にする日本人にはクリスマスブッシュというこの名前が、花の咲く季節とずれていてしっくりこないのでしょうか、初夏に切り花や鉢でも花店であまり見かけることはありません。

花屋さんで初冬にこの花がふんわりとした赤い塊を作っているのを見かけたら、それはオーストラリアからの輸入ものです。やがて鮮やかな赤を誇る様々な花がクリスマスブッシュをかき消すように店頭を飾り、師走の気ぜわしさが増す時期になっていきます。(光加)

今月の花(十一月)郁子

caffe kigosai 投稿日:2015年11月4日 作成者: koka2015年11月6日

pixta_5775413_S展覧会の作品に郁子を使いたくて花屋さんに注文をしました。実はついていなくてもかまいません、と付け加えたのは、蔓の方を使いたかったのです。伸びやかに、けれども緩急を心得ているように線を描いていく蔓の先端は、くるくると独特の線を描いて終わります。

葉は、軸のまわりに手をひらいたようにつき、三枚、五枚、七枚とつくので、七五三のお祝いにいけられることもあったようです。艶やかな常緑の葉ゆえに、常盤アケビという名もあります。
そのあけびは同じ時期に実を結びますが、その時は、葉が落ちてしまいます。郁子の赤紫色の実と比べればあけびの方が大きく、紫いろが濃いのですが、熟すとあけびの実はパックリと口をあけます。郁子はそんなことはなく、卵型の5cmー8cmの実が垂れ下がります。
「むべなるかな」という言葉があります。もっともなことである、というときに使われます。天智天皇が、たくさんの子宝に恵まれた元気な老夫婦に遭われたとき、その長寿の秘訣を尋ねると、「郁子を食べているから」という答え。天智天皇は「むべなるかな」と頷かれたという話が伝わっている郁子の里があります。一つしか付いていなかった郁子の実は展覧会の終わりとともに大事に持ち帰ってきました。割ってみると中には黒い種が沢山、果肉は甘みがあり、ぬるぬるとしています。この成分、確かに体に良さそうです。老夫婦の長寿の秘訣を天皇と同じく推察できそうな気がしてきて私も思わず言いそうになりました。

むべなるかな。(光加)

今月の料理(十一月)_柚子のママレード

caffe kigosai 投稿日:2015年11月2日 作成者: yoshiko2015年11月29日

yuzujam 初夏に可憐な花をつける柚子はお盆近くになると小さな硬い実をつけます。

歳時記上では秋でもまだまだ暑い日が続く頃、その真緑の実をみかけるとほっとします。とりわけ心もち早まった夕暮れの食卓に、柚子の香る一椀のお吸い物でもあれば、ちょっと贅沢をした気分になりませんか。青柚は熟した柚子とは違った、緑の匂いと仄かな柚子本来の匂いが混ざった可憐な香りが魅力です。

11月は変化にとんだ月で、北海道では何度目かの雪がふり、温かい所ではまだ紅葉の盛りだったりします。東京あたりでは、暖かで穏やかな晴天の日が続きますが、さすがに日暮れの早さに季節の移ろいを覚えます。この頃になると柚子もぐっと値が下がり、庭に木をもっている方などからその実をいただく事もあります。

柚子の使い道は食べるだけでなくお風呂などにも利用出来ますが、もし柚子が沢山手に入ったらジャムにしてみませんか。二三度茹でこぼす手間はありますが、香りの良い何よりも安心できる手作りのジャムです。柚子の香りが生きていますので、お魚やお肉を漬ける時お砂糖の代わりに使うと香りもよく重宝します。

寒い夜は熱湯で溶かしてお飲み下さい。

【作り方】

柚子は皮をむいて刻みます。

二三度茹でこぼして苦味をとり、残った実の部分はざっと切っておきます。

この実の白い綿の部分と種を、ひたひたの水で煮ます。この汁にペクチンが入っているので、これを笊でこして刻んだ柚子の皮の部分を煮てゆきます。

柚子の皮が柔らかくなったら砂糖を数回に分けて入れます。

甘さはお好みで。お砂糖は数回に分けて入れて下さい。

 

竹籠の中の柚の実の照らし合ふ     善子

ネット投句〈10月〉飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2015年10月28日 作成者: mitsue2015年12月29日

yuuyake

【入選】

鰯雲夕焼けこやけのスピーカー  周作

「スピーカーから夕焼けこやけ鰯雲」。

栗虫の穴からのぞく月夜かな  隆子

栗名月に供えた栗の虫も月見。

朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉10月

caffe kigosai 投稿日:2015年10月27日 作成者: mitsue2015年10月27日

yamanasi朝日カルチャーセンターの10月のカフェきごさい句会。兼題は9月の「カフェきごさい」より「秋の野の花」「木賊」です。

【特選】

梨むけばぱつと明るくなる手もと  隆子

透明感のある梨の実が目に浮かぶ。

【入選】

ワイン煮の無花果いよいよ上気して  光加

ぷっくりとワイン色に煮上がる無花果。

尾を引いて星の飛びこむ山の湖  澄江

「飛びこむ」が少々言い過ぎ。

宇宙より降りてささりぬ彼岸花  光加

彼岸花の不思議さ。

茸とり散り散り別れ山深し  守彦

「山深し」がいい。くれぐれも熊に合わないように。

先ず焚火山の一日始まりぬ  守彦

「先ず焚火」に実感がある。

スーパームーン中継の人にもえくぼ  光加

「中継の人にもえくぼスーパームーン」。

手仕事で半生暮らし菊日和  守彦

「手仕事」を具体的に描くと焦点が定まる。

午後の日にゆれて金色狗尾草  澄江

「午後の日」が効いている。

晩秋のひかりとなりて蜆蝶  稲

光となるとまで言ったところが手柄。

 

11月の「カフェきごさい」の兼題は、10月のカフェきごさいより

今月の季語「秋の田」、料理「芋の茎」、花「栗」です。

吾亦紅乳首をつまむごとつまむ  光枝

今月の季語〈十一月〉 「冬」のつく花

caffe kigosai 投稿日:2015年10月25日 作成者: masako2015年10月31日

huyuzakura木枯(こがらし)は文字通り木を枯らす風。凩とも書きます。そんな風の季節となりました。

地上の彩りは概ね〈木の葉〉とともに吹き払われていきます。が、そうした中にも咲き留まっている花、あらたに咲き出す花があります。今月は「冬」という文字のつく花を中心にみていきましょう。

まず冬の薔薇。俳句で〈冬薔薇〉というとき、温室で立派に咲いた薔薇ではなく〈冬枯〉の中にぽつりと咲き出した花を指します。枝葉がさびしいので枝先に小さな花だけが浮かんでいるようにも見えます。また、せっかく莟を立てても、寒さのために咲かずに終わることもあります。

冬ばらの蕾の日数重ねをり     星野立子

冬の薔薇すさまじきまで向うむき  加藤楸邨

ちなみに本来の薔薇は夏の花です。一方、冬に咲く品種ゆえ「冬○○」と呼ばれるものもあります。

たとえば〈冬桜〉。十一月から一月のころ花期を迎える桜です。花は小ぶりで、白の一重咲きです。

はなびらの小皺尊し冬ざくら  三橋敏雄

冬桜は、春に爛漫と咲き誇る桜とは別ものです。桜はこの時期には枯木となっています。あたたかな日には〈返り花〉と呼ばれる季節はずれの狂い花をつけることがありますが、花時は次の春を待たなければなりません。ただ、裸木となってもそれと分かる木の姿を愛で、〈冬木の桜〉と呼ぶことがあります。

真青な葉も二三枚返り花      高野素十

世は夢の冬木の桜しだれけり  向田貴子

「冬」が文字の中にある柊の花期はその名のとおり冬です。ぎざぎざの葉のほうが印象に残る植物ですが、木犀に似た芳香を放つ小さな白い花を咲かせます。〈柊の花〉もしくは咲いていることがわかるように詠んで季語となります。

柊のたそがれの香にほかならず    岩井英雅

ひひらぎの花まつすぐにこぼれけり  髙田正子

今年はすでに仲秋のころから咲き出して驚きましたが〈山茶花〉は冬の花です。〈茶の花〉〈石蕗の花〉〈水仙〉など冬を選んで咲く花は派手でこそありませんが、佇まいが凜としているように思います。

春にさきがけて咲く花や、花期を調節して冬に咲かせる花に「冬」の文字を冠することもあります。

〈牡丹〉は本来初夏の花ですが、芽を摘み取って花期を遅らせ、真冬に咲かせるのが〈冬牡丹〉〈寒牡丹〉です。藁で苞を作って被せ、根元には敷き藁を施して寒さから守ります。

ひうひうと風は空ゆく冬ぼたん   鬼貫

よろこびはかなしみに似し冬牡丹  山口青邨

しんかんとあめつちはあり寒牡丹  安住 敦

〈冬菫〉は、品種にかかわらず、春にさきがけて咲き出した菫のことです。日当たりがよく、風の通りにくい場所に見かけることがあります。

山一つあたためてゐる冬すみれ  神蔵 器

同じ「冬○○」の呼び名を持っていても、花によってそれぞれ事情が異なります。どの花にも言えることは、冬の厳しさに耐えるけなげさ、かもしれません。(正子)

フォックスフェイス

caffe kigosai 投稿日:2015年10月13日 作成者: koka2015年10月13日

DSCN1189秋の実の中でひときわ鮮やかな黄色が目立ち、つややかな表皮を誇っているフォックスフェイス。枝のまわりに黄色い大小のふっくらとした実を数個ずつ付けます。実の元にはあたかも小さな耳のような部分もあり、フォックスフェイス、狐の顔と呼ばれているのも納得できるでしょう。この名前は日本でつけられたといわれますが、日本人には昔からいろいろな話の中に狐が登場するので、どこか親しみがわくのでしょうか。

子供のみならず、手に取った人の中には筆ペンやマジックインクをもってきてこの実を顔に見立て眼や口を描いたりするのです。

花はナスの花と同じような大きさと形で栽培農家は太陽を好む実の色をよくするため、ある程度に成長すると周りの葉を切るということです。実の色が薄い緑からオレンジ色がかった黄色に近くなってくると切り取ります。水を飲ませなくてもすぐ萎んでくることがないので、黒い斑点がでてくるまで一か月以上、水の心配は無用です。

初めていけたときから、その色といい形といい、豊かでどこかありがたいイメージがありました。冬に向かう寒さを少し感じ始める季節に、お稽古で手にするからなのでしょうか。

英語ではnipple fruit と呼ばれ、直訳すれば乳首の果実。確かに全体の形は黄色い乳房を連想させます。子孫繁栄、五穀豊穣にも通じていくようです。

中国出身の知人に尋ねると、中国では「黄金果」と呼ばれるフォックスフェイスは広東ではお正月に家の中に飾られるそうです。五代同堂ともいわれ、一家団欒の象徴でもあることを教えてくださいました。添えられていた写真を見ると、皿に実だけがたくさん円錐状に高く盛られたものがいくつも並べられて売られていました。

おおらかで、ユーモラスで、暖かいフォックスフェイスの原産地は熱帯アメリカといわれていますが、そこでも人を楽しくさせていたのでしょうか。

しかし角なす、カナリアなすなどの別名が示すように確かにナス科ですが、実には毒があります。母性を感じさせる形に反して食べることはできません。

今年もあますところ数か月という町のどこかで、だんだんと膨らんで鮮やかな色どりをそえつつあるフォックスフェイスをそろそろ見かけるころです。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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