
仏手柑
炬燵の上の籠に盛られたみかんといえば、つい最近までの家庭での冬の光景でした。
みかんは温州みかんで、この赤みの強い黄色の果物をみると、いかにも暖かく幸せな空気が漂います。ビタミンいっぱいで、乾燥した喉にひやりと気持ちよくおいしいのです。
温州みかんの原産地は九州の鹿児島県あたりというのが通説で、中国の浙江省の温州とは関係がないということです。関東以北では生産されないので、もともと暖かい気候が温州みかんには向いているのでしょう。
その温州みかんの木は高さはせいぜい3~5m。みかん山でみかん狩りをなさった方もおいででしょう。近頃ではみかんの生産者も食べる人たちも減っているということですが外国では日本のみかんは特においしいと言って、カナダや中国をはじめ東南アジアの国々に輸出されています。
温州みかんの属すミカン科の植物は、ラテン名にCitrus という字がついているものだけでも温州みかんのほか、ゆず、すだち、甘夏、伊予かん、八朔、ネーブル、レモン、文旦、夏みかん、グレープフルーツなどがあります。
その中で私が今度こそと思いながらいまだ展覧会でいける機会がないのが、仏手柑です。
手のような形になっていて花屋さんに頼まない限り、まず入手はできません。食用でないのは果肉が少ないからでしょうか。その形は特異なので 香港のフラワーマーケットでも売られているのをすぐに見つけました。
またインド原産の橙は日本のお正月、鏡餅の上に乗っていましたが今では見かけることが少なくなりほかの柑橘類にとって代わることも多くなりました。橙は緑の実がお正月ころには橙色になるのですが、また緑に戻り翌年も残るところから「代々」続きますようにという意味があります。リキュールのコアントローの原料にもなります。
橘もミカン科で、左近の桜、右近の橘で知られています。本物ではありませんが、平安の宮中の伝統を反映するお雛様のひな壇の上で見慣れておいででしょう。
ジュースやマーマレード、その他食用に大活躍のミカン科の植物はどう料理や加工をしても、楽しめるものが多く、あんみつには、夏だって缶詰のみかんがのっています。なんといってもみかんは永久不滅ーーと私は信じているのです。(光加)



クリスマスカードが届きはじめるころ、暖かいハワイや南半球のニュージーランドやオーストラリアをはじめとする国々からのものの中には、なかなか個性的なカードがあります。
展覧会の作品に郁子を使いたくて花屋さんに注文をしました。実はついていなくてもかまいません、と付け加えたのは、蔓の方を使いたかったのです。伸びやかに、けれども緩急を心得ているように線を描いていく蔓の先端は、くるくると独特の線を描いて終わります。



秋の実の中でひときわ鮮やかな黄色が目立ち、つややかな表皮を誇っているフォックスフェイス。枝のまわりに黄色い大小のふっくらとした実を数個ずつ付けます。実の元にはあたかも小さな耳のような部分もあり、フォックスフェイス、狐の顔と呼ばれているのも納得できるでしょう。この名前は日本でつけられたといわれますが、日本人には昔からいろいろな話の中に狐が登場するので、どこか親しみがわくのでしょうか。