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今月の季語(8月) 夏休み

caffe kigosai 投稿日:2015年7月31日 作成者: masako2015年8月4日

natuyasumi今年の立秋は八月八日です。今月は、すぐに〈秋〉になってしまうのに〈夏休み〉とは! と叱られそうな話題から。

〈夏休み〉は歳時記には夏の部に収められています。文字通り夏の季語です。大人も夏休みはとりますが、たぶん学校制度が生んだ季語ですから、俳句を読み取るときには、七月の末から八月末頃までの「あの」夏休みをイメージしても、大過はないでしょう。

〈夏休み〉で私がまず思い出すのはこの句です。

大きな木大きな木蔭夏休み    宇多喜代子

この句の夏休みからは鮮度のよさを感じます。嬉しさとともに、ほっとした感じもあります。夏休みに入ったばかりなのかもしれません。

旅終へてよりB面の夏休      黛 まどか

夏休最後の日なるひかりかな   小澤 實

夏休みも「B面」に入ると気怠さが漂い、「最後の日」に到っては思い出したくもない思い出のほうが多いでしょう。「夏」休みを詠みつつ、立派に〈残暑〉の倦むような光に満ち満ちています。

立秋を過ぎたら〈夏休み〉では詠みにくい、と思うことがあるかもしれません。机上派ならば、ここで切り換えるのが正解でしょう。が、実体験優先であれば、現実に即して詠み続けてよいのではないでしょうか。前半と後半とでは自ずと趣が異なります。その違いを詠み分けられたら、むしろスゴいと思います。

立秋過ぎの夏休みの身辺には、夏休みっぽい秋の季語もたくさん現れます。そういう季語を探してみるのも一興かもしれません。

たとえば〈枝豆〉。冷凍技術のおかげで年中食べられますが、秋の季語です。枝から切り離したばかりのさやを茹で上げると、それは綺麗な緑色になります。

枝豆や最終便にしろと言ふ    山田弘子

浜辺のイメージもまつわる〈西瓜〉や、種類が豊富で夏のころから出回っている〈桃〉〈葡萄〉は秋の果物です。

三人に見つめられゐて西瓜切る   岩田由美

桃冷す水しろがねにうごきけり    百合山羽公

黒きまで紫深き葡萄かな        正岡子規

観察日記には欠かせない〈朝顔〉、ラジオ体操への道すがらの〈露草〉、色水を作って遊ぶ〈白粉花〉、また花期が長く夏のころから咲き出している〈木槿〉〈カンナ〉も秋の花です。

学校が好き朝顔に水をやる       津田清子

露草の咲き寄せてくる机かな      黒田杏子

白粉花吾子は淋しい子かも知れず  波多野爽波

底紅の咲く隣にもまなむすめ      後藤夜半

本屋の前自転車降りるカンナの黄   鈴木しづ子

また、今では夏の行事として捉えられている〈花火〉は、かつては秋に分類されることもありました。その系譜を尊重して、今でも秋の季語として扱う歳時記もありますし、季語は夏に分類しつつ、例句は近現代のものは夏に、近世のものは秋に収める歳時記もあります。

日程から言えば、例えば七月末の隅田川の花火は夏の花火ですが、八月後半の多摩川の花火は秋の花火となります。そうは言っても、夏だ秋だというところにこだわって詠むよりは、〈手花火〉もあわせて〈夏休み〉の一行事として眼前の景を見つめるほうが、好ましく思われます。

花火の夜兄へもすこし粧へり     正木ゆう子

夏もはや夜々の花火にうみしころ  中尾白雨

手花火のこぼす火の色水の色    後藤夜半

星一つ残して落る花火かな      抱一

夜は秋のけしき全き花火かな     白雄

八月は夏でもなく秋でもなく〈八月〉にほかならない、と言います。むろん暦だけを意識した言葉ではありません。が、今月のテーマに関しては、初秋を迎えることを意識したうえで、夏の景物を愛おしんでみてはいかがでしょうか。それが今の〈八月〉を詠むことにつながるかもしれません。(正子)

今月の花(八月) 朝顔

caffe kigosai 投稿日:2015年7月31日 作成者: koka2015年8月4日

asagao子供の頃、夏休みの宿題で朝顔の観察日記を付けた方もおいででしょう。朝顔は日本に昔からあり、江戸時代には様々な品種が作りだされて変化朝顔としてブームにもなり、今なお私たちの心をとらえて離さない花です。東京入谷の朝顔市は今年も7月6日から8日に開かれました。色も形も様々な花が並ぶ中、どの一鉢にしようか選ぶ人たちでにぎわったようです。

ある夏の一日、流派のスタジオでプロのカメラマンによる雑誌用の作品の撮影がありました。最後にもう一作自由にいけるようにといわれ、小さな花屋なら2,3軒分にも当たる花材の中から朝顔の鉢を見つけました。行燈づくりの絡んだ茎を外し、空色の花の朝顔を半透明のガラスの器にいけました。手の熱が伝わらないうちにと、それ!と勢いでいけたつもりが、どうも気に入りません。そしてその後、撮影の強いライトにさらされる花はシャッターが切られるまで耐えられるとは見えず、撮影を断念したのです。

利休の庭の朝顔が見事なので秀吉が行ってみると、すべて切られ、床の間にたった一輪の朝顔が咲き誇っていたという朝顔の茶会の話は広く知られています。利休の美意識について述べるとき必ずというほど引き合いにだされます。

けれども実際に賓客の席入りから退出までのごく限られた時間に究極の一輪を選ぶとなれば、蕾の開き具合、咲いてから萎むまで、と時間をまきもどす緻密な計算が必要です。庭にどんなにたくさん朝顔が咲いていても、正午を待たずにしおれます。秀吉が目にする時、一番美しく咲き誇っているものを探しこれでは駄目、あれも間に合わない、と消去すれば誇張ではなくて一輪の朝顔にたどり着きます。

そして蔓もまた重要です。

「朝顔に釣瓶とられてもらひ水」加賀千代女のこの句をいま読むと彼女の優しさに思いがいきますが、千代女は朝顔の蔓の伸びる速さに驚いたのでは、と朝顔の観察日記を書いて数年後にこの句を知った中学生の私は思いました。朝顔をいけるときは蔓の線の曲がり具合と強さが花の位置を決めるのです。

小、中学生のころと比べ一年が過ぎるのが年々短くなっていく思いがします。観察日記をつけていたあの頃よりも、朝顔の花の上に過ぎる凝縮された時間に少しは沿うことができるでしょうか。花をいける経験もあの夏の上に積み重ねてきた今、改めて朝顔がいけてみたくなりました。(光加)

今月の料理(八月)_夏野菜のスープ

caffe kigosai 投稿日:2015年7月29日 作成者: yoshiko2015年10月31日

tomatoここ数年の人気で、皆さまの中にも家庭菜園をなさっている方がいらっしゃると思います。田舎は都会より、土地に余裕のある方も多いせいか、薬味になる紫蘇の葉やハーブなどを庭の隅に植えたり、ナスや胡瓜のプランターを置いている家庭をよく見かけます。中には本格的になさっている方も多く、「買ったほうが安い」などと言いつつ野菜作りを楽しんでいるようです。

そんな方達からは沢山採れたからと、お裾分けに頂くのがナスや胡瓜です。不思議にもよく出来る年があるらしくいろいろな方から「よかったら食べて」と頂くのは同じものばかり。作られた方は自分が育てた思いもあり無駄にはしたくないのでしょう。

この度は夏の野菜を使ったスープです。面倒なのはトマトをおろし金で摩り下ろすことだけです。これだってフードプロセッサーを使えば簡単。沢山作っておくと重宝します。そしてトマトは絶対皮ごと使ってください。旨みが全く違います。

深めの鍋にトマトを摩り下ろしていきます。軟らかいのでぐるっとトマトの形にそって皮の部分のみおろし金をあてます。力をいれるとつぶれるのでかえっておろしにくくなりますから皮だけすり下ろす感じで擂っていきます。皮の剥けたトマトは適当に刻んで、汁と一緒に煮込んでいきます。トマトジュースとピュレの間のようなものができますので、丁寧になさるなら荒めの笊で漉して使います。

ここまでくればあとは頂き物の夏野菜をオイルでさっといため、先のスープで煮れば出来上がりです。野菜は茄子、ピーマン、ズッキーニ、人参、玉葱、オクラなどあるもので。この季節冷たくても美味しくいただけます。ボリュウムを出したければベーコンなど入れても。また、少しスープを煮詰めてラタトゥイユにすれば、パスタのソースにしたりオムレツの中身にいれたりといろいろ重宝します。ラタトゥイにする時は、にんにくをオリーブオイルでいためて、オレガノやバジルなどの香草を入れるとぐっと美味しくなります。

これからはひび割れたり、形のそろわないトマトが山積みで売りに出されます。少しの手間で市販のものとは違った美味しさが楽しめますので、機会があったらお試しください。

【作り方】
トマトの皮の部分だけをおろし金ですりおろします。皮の剥けたトマトは適当に切って鍋にいれ煮ます。面倒ならフードプロッセサーに皮ごといれてください。
このトマトジュースを一度沸騰させあくをとります。
スープにするなら濃さを見て、濃すぎたら水を入れて料理の用途に応じて調節します。沢山出来たら小分けにして、冷凍しておくと便利です。
分量はそれほど気にせずに野菜の具の多い少ないはお好みで。

〈カフェネット投句〉 7月 飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2015年7月25日 作成者: mitsue2015年7月31日

unami

【特選】

君の乳房向ふ先なる夏怒涛  光加

生命力あふれる一句。

【入選】

理科室の西窓にある水中花  周作

「西窓にある」が思わせぶりで不自由。

籠枕どこかへいつてしまひけり  隆子

籠枕の微妙な存在感。

うちあげて夏のくさぐさ土用波  隆子

夏そのものも。

朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉7月

caffe kigosai 投稿日:2015年7月25日 作成者: mitsue2015年7月25日

hakoduri7月のカフェきごさい句会の兼題は、6月のカフェきごさいサイトより、季語「麦秋」、料理「苺ジャム」、花「スズラン」です。

【特選】

少年の甘露と叫ぶ麦茶かな  周作

実際に少年が発したことばは「うまい!」だろう。暑い盛り、運動した後や遊んでかえっての麦茶はまさに「甘露」。真夏の飲物の麦茶をいきいきと描いた。

雲ぬけていま麦秋へ着陸す  隆子

黄金色の麦畑に囲まれてある飛行場。そこへ下りていく様子を「麦秋」へ着陸するとしたことで俳句になった。「雲ぬけて」という上五の入り方もいい。

栄転といはれて赴くや麦の秋  光加

古代中国の時代から、栄転と言われての左遷はままあること。赴任先はまさに麦秋の時期。鬱々とした複雑な心境が「麦の秋」とよく合っている。

【入選】

かすかなる甘味ころがす麦茶かな  周作

麦茶の自然な甘みを喜んでいる。

誰がために鈴蘭鳴らしゆく風よ  隆子

甘い内容に「誰がために」などと置くとよけいにぼんやりした句になる。「吾がために」など一考を。

妻三日留守して庭の夏落葉  澄江

妻の存在感。「夏落葉」がいい。

星屑の苺の蔕が散らばつて  隆子

苺の蔕が「星屑」のようだというのではつまらない。「星空や苺の蔕が散らばつて」など。

五月闇腕立て伏せの五百回  周作

夏の生命力が凝縮された暗闇と人間の生命力との呼応。

今朝の庭一千本の梅雨茸  稲

朝、雨戸を開けると庭一面に茸が生えていたような恐ろしさ。梅雨茸の生命力を感じさせる句。

麦秋や十万の歓声競馬場  稲

「麦秋」「歓声」「競馬場」を並べたシンプルな作りだがしっかりと情景が描けた。

ふつふつと幸せも沸きいちごジャム  光加

「ふつふつと」がいい。いちごジャムの赤い色が目に浮かぶ。

8月の兼題は「カフェきごさい」サイトより7月の季語「夏の野の花」、料理「梅ご飯」、花「紅花」。8月の句会が終わるとそろそろ秋です。夏の俳句をぜひたくさん詠んでください。(光枝)

戦争のかくれてゐたる麦を刈る  光枝

 

 

ジャカランダ

caffe kigosai 投稿日:2015年7月21日 作成者: koka2015年7月21日

DSCN2354この花を知ったのはある晩自宅にかかってきた一本の電話から始まります。受話器をとると、少し間があって聞こえてきたのはパキスタンの首都、イスラマバードからの当時の日本大使N氏の声でした。

日本とパキスタンの国交成立50周年の行事に首都イスラマバードでいけばなを披露する、というお話は国際交流基金からいただいていました。しかし日本人ジャーナリストが現地で拉致された事件や不安定な状況が報じられる中、返事は保留にしていました。大使の深い声での実際の状況と熱心な説明を伺ううち心が決まったのは「こんな時だからこそ、文化は大事だと思うのです。」という一言でした。

助手をしてくださる生徒さんとバンコク乗換で10数時間、イスラマバードの空港から宿舎の公邸に向かう車窓から緊張しながら街の様子を見ていました。すると茂った葉の中から青紫の花が固まって姿をのぞかせている3~5mの木があちこちに見かけられました。不穏な国情のなかでもけなげに咲いている植物、それがジャカランダとの出会いでした。

ジャカランダはノウゼンカズラ科で、葉はねむの木の葉に似ています。オーストラリアで街中にこの薄紫の花が咲いている写真がありました。熱海では、6月末、蕊を残してすっぽりとぬけたこの花が路上にパラパラと落ちていました。手に取ると先端がいくつかに割れ、長めの釣鐘形でした。

レセプション会場の公邸の入り口にこのジャカランダをいけると決めました。採集に出かけるジープの前の席には庭師のスタッフ、後ろにはバケツやロープ、のこぎりや新聞紙などをのせ、制服の警護同乗でジャカランダの枝を切りに行ったのです。約2.5メートルのものを5本切り、すぐ引きかえしました。公邸のゲートを通るとき、車に不審物が仕掛けられていないか、私たちも車に乗ったまま鏡のついた長い棒が車体の下にさしこまれる毎度の検査は仕方のないことでした。

この花はすぐにしおれるということで、準備室で枝の元を割ったり、表皮をむいたり、アルコールにつけたりとあらゆることをして水につけました。それが功を奏して翌日数輪の花は落ちていたものの、2本のジャカランダだけは葉も花もバケツの中でピンとしていました。

パキスタン政府からは外務大臣、日本からは総理特使と日パ友好議員代表団などの賓客を迎え式典は華やかにとり行われました。葉のない枝を組んで水の入った器を仕掛け、ジャカランダを他の花材と高くいけたいけばなは現地の方に好評で、何組もの方が次から次へこの作品の前で写真をお取りになっていました。

数年後のこと、当時食事にご招待いただいたレストランが爆破された映像をニュースで見て息が止まりそうになりました。その後偶像崇拝を禁止する宗教的な理由を持つ人々により、有名なバーミヤン遺跡の石像も破壊され、あれから10年以上もたちました。あの日の皆様のジャカランダの前での笑顔を思いだすたび、不安定な状況のこの国に、ジャカランダが似合う青い空を心穏やかに見上げる日がどうか一日も早く訪れますようにと、心から願わずにはいられないのです。(光加)

半夏生

caffe kigosai 投稿日:2015年7月16日 作成者: koka2015年7月18日

DSCN18177月に入ると梅雨明け宣言がいつごろになるのかそろそろ気になってきます。本格的な暑さに向かう途中、まだ体がなじめずすこしだるさを覚えるのは急に強くした冷房のせいなのか、とさえ思ってしまうのがこの頃です。夏至から11日目は72候のひとつ半夏、または半夏生です。太陽暦だと7月の1日か2日です。

農家も農作業が落ち着いたこの頃、畑のわきの草のなかに烏(からす)柄杓(ひしゃく)、別名半夏と呼ばれる植物を見かけます。立ち上がった緑色の苞から花軸が現れる、少し不気味な形のこの植物はもともと薬草として使われました。どこか得体の知れない様子は、先日ここでもあげた武蔵鐙やマムシ草とも似ています。

そしてこの時期、もう一つの半夏生、別名片(かた)白(しろ)草(ぐさ)というどくだみ科の植物がみられます。 高さはせいぜい1mくらい、葉の形は先のとがった細めの卵形で、上部についている葉は半分白く、しかもそれは葉の表面だけで、神様が気まぐれに白いペンキを筆でぬったか、または群生している中に立ってまき散らしたかのようです。

半化粧とも書き、白粉をぬっていたお化粧の途中、よっぽどの用事かだれかに呼ばれたかしてそのまま立ち去った気配を残したような葉の白と緑です。

独特の青臭さは水の中で切っておいてアルコールを付けたりするうちになくなってきますが、何とも清々しいこの植物に姫百合などを組み合わせ、竹かごに入れてみると、緑、白、オレンジ色の組み合わせがこの時期の繊細な自然を部屋に運び込んだ気がしてきます。

半夏生の白い小さな花は蕾がたくさん集まって穂のようになり、初めは下をむいていますが、元からの開花とともに、垂れていた穂がしゃんとしてきます。その様子を見れば、私たちも元気をもらえるのではないでしょうか。

何故葉が半分白いのか、調べてみると授粉のために昆虫を呼び込むのではないかという説があり、その時期をすぎればまた元の緑色に戻るのだそうです。

種を絶やさないための強烈な半夏生のアピールだとすれば、白いペンキをまいた神様は、きまぐれではなく、なかなか考えての行動だったのではないでしょうか。(光加)

句集『草生』出版のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2015年7月5日 作成者: mitsue2015年7月7日

kusahu「カフェきごさい」スタッフ 趙栄順さんの第一句集『草生』(くさふ)が出版されました。俳句結社「古志」自選同人である著者の第一句集です。ぜひ、お読みください。(光枝)

『草生』趙栄順・著(花神社) 定価(本体2,200円+税)

雲の峰ひしめきあうて並び立つ
もの言はぬ妻恐ろしや胡瓜もみ
水墨の三百年の蓮白し

今月の季語(7月) 夏の野の花

caffe kigosai 投稿日:2015年7月3日 作成者: masako2015年7月7日

natunohana植物図鑑や種袋にはカタカナで記されている花の名も、歳時記には漢字で収められていることがあります。漢字で作句すると決まっているわけではありませんから、自分で詠むときは表記を選べばよいのですが、漢字で書かれたものを読む必要が生じることはあります。

ともあれ季語を漢字で書けて読めるのは楽しいこと。今ごろの野にちょうど咲いている花の名前をいくつか漢字でみていきましょう。

〈紫陽花(あじさい)〉〈百日紅(さるすべり)〉〈夾竹桃(きょうちくとう)〉あたりは入門編。野の花とは言えませんが、押さえておきましょう。では次の花はどうでしょう。

〈酢漿草(かたばみ)〉

葉はクローバーを小さくしたような形で、小さな黄の五弁花を咲かせます。花の後、さやができ、熟すと弾けて種が飛びます。触れて弾けさせて楽しんだ経験はありませんか? 花期は長く、春の終わりから肌寒くなるころまで咲いています。オキザリスは園芸種のかたばみです。葉や茎に酸味のあることが、漢字の名のいわれのようです。

かたばみや何処にでも咲きすぐ似合ひ  星野立子

〈虎杖(いたどり)〉

野山と呼ばれるところには大概生えていますが、街中の道端で見ることもあります。春先に伸びる若い茎は食べられます。茎の中は中空。夏には五〇㌢ほどに育ち、白い花が穂をなして咲きます。若芽にある虎の斑のような模様が漢名のいわれのようです。生薬の虎杖根(こじょうこん)は虎杖の根を乾燥させたもの。

いたどりを噛んで旅ゆく熔岩(らば)の上   野澤節子〈春〉

虎杖の花しんかんと終るなり     新谷ひろし〈夏〉

〈浜木綿(はまゆう)〉

葉が万年青(おもと)に似ているので浜万年青ともいます。その名のとおり海辺の花ですが、公園などで見かけることもあります。ヒガンバナ科の植物で、花茎の頂に傘のように花を広げて咲かせます。浜に広がる木綿(ゆう=楮の皮からとった繊維で織った布)のような花の意だそうです。

大雨のあと浜木綿に次の花  飴山 實

〈射干(ひおうぎ)〉

檜扇とも書きます。剣の形をした葉が扇状に広がって、いかにも扇の形をしています。祇園祭のころ、京の町中のそこここで見かける花でもあります。生薬の射干(やかん)は根を干したもの。また枕詞にも使われる「ぬばたま」は射干の黒い種のことです。

射干も一期一会の花たらむ  石田波郷

〈萍(うきくさ)〉

田や池の水面を漂う浮草です。白い小花を咲かせていることもあります。花がなくても夏の季語です。

萍の平らは水の平らなる   山口誓子

漢字の成り立ちがそのまま俳句になったような一句ですね。

〈鴨足草(ゆきのした)〉

虎耳草、雪の下とも書きます。いつも濡れているようなところに白い光を放って咲いています。虎耳草(こじそう)は民間薬として消炎に用いられてきました。

鴨足草薄暮の雨に殖えにけり  長谷川零余子(れいよし)

ちなみに長谷川零余子は〈あるじよりかな女が見たし濃山吹〉と原石鼎に挨拶された(茶化された?)俳人です。「かな女」とは〈羽子板の重きが嬉し突かで立つ〉の長谷川かな女。大正期に活躍した、近代女性俳人の嚆矢となったひとりです。〈水中花菊も牡丹も同じ色〉は楽しくも鋭い句。〈水中花〉も夏の季語です。(正子)

今月の料理(七月)_梅ご飯

caffe kigosai 投稿日:2015年7月1日 作成者: yoshiko2015年7月28日

umegohan 梅雨に入り蒸し暑い日が続いています。この時期は真夏より物が傷みやすいそうで気をつけなければいけません。。おまけに先へ先へと季節がすすみ、気持ちと体がなかなかついて行けない時があります。そんな時はちょっと目先をかえてこんなご飯は如何でしょう。
梅には殺菌効果もあり、食欲を増す作用もあります。作り方はいたって簡単。どこの家庭にもある梅干と今、盛りの青紫蘇、しろゴマを使います。ご飯に具が入ると何となくご馳走栄えがするのも、主婦にとってはありがたいものです。何となく気だるい時や時間の無い時などに作ってみては如何でしょう。

【作り方】
青紫蘇は細かく刻み、洗って水をきっておきます。
ごまは香りが立つまで焦がさないように炒ります。
梅干は種をはずして細かに切ります。
炊き上げたご飯に梅干と紫蘇をまぜ、炒ったしろゴマをかけます。

炊き立てのご飯の熱で青紫蘇の色が悪くなるので、食べる直前に混ぜ合わせ
ようにします。

分量は梅干の塩分によって調節して下さい。見た目で紫蘇と梅干が同量に
ご飯に混ざり合っていると、きれいな仕上がりになります。

梅干を白湯におとして土用かな    善子

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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