水木と呼ばれるものは多いのですが、さんご水木、ドッグウッドと呼ばれるアメリカハナミズキ、初夏に平たく伸びた枝にたくさんの白い花のつく水木もあります。
その中で、春にもう一歩という頃に見られるのは日向水木とも呼ばれる姫水木です。姫水木の枝は葉が落ちて、まるで魚の小骨のようにお互いに平行に近い距離を保って伸びています。細かくてきゃしゃなその枝にぽちぽちとついている少しだけ先のとがった蕾に、ごく薄い緑がさしているのをみかけることでしょう。
春の花木はさんしゅゆ、万作、連翹など黄色いものがまずでてきますが、その中でこの木の枝につく蕾の淡い緑は外の空気の温度を感じながら花を開く機会を伺っているようです。やがてうつむき加減に開く花の花弁は5枚で長さは1センチにもみたず、少し黄色い雄蕊は花弁より短いのです。
富山に住んでいる知人の本部講師が展覧会をしたときに、小さな会場せましとばかりこの姫水木だけがいけられていました。
会場のドアを開けると、そこは深いブルーに着色された姫水木の枝だけが空間に舞っていました。
よく見るとその中に、薄緑色の花が塗料を突き破り、あちらにもこちらにもあたかも浮かんでいるように小さな無数の薄緑の蕾が。
「バケツに付けて置いたら塗料がかかってしまった時があって、その青くなった枝からでてきた花が面白かった」と、知人はいっていました。「雪が降ると、家から表の道に出る道を毎日雪かき」する生活を送る彼の春を待つ心がこんな目のつけどころとなって現れたのでしょうか。冬が中から押し上げた春がその小さな花にはありました。
花が終わるとやがて葉脈のはっきりした清々しい緑の卵形の葉がでてきます。
高知県の台地に自生していた土佐水木も、この日向水木とおなじころか少し後に花がでてきてたれさがります。枝はダイナミックな線を描き、曲げてみると柔らかくしなやかです。初夏に差しかかったころは葉の爽やかな緑を楽しむことができます。ときどき少し赤みを帯びた葉もあります。
この土佐水木に比べると、花が小さいので日向水木は姫水木とよばれるのでしょうか。
季節は乾燥した冬からいよいよ瑞々しい時へと移り変わっていきます。(光加)


二〇一五年の〈立春〉は二月四日。いよいよ暦の上では春の到来です。寒い、冷たいと言いながらも、身ほとりの匂いがどことなく変わってきたようにも感じます。春は嗅覚から始まるのかもしれません。


晩白柚は朱欒(ざぼん)の品種のひとつです。大きいものは直径25センチ以上、重さが2キロ以上もあり幼い子供の頭ほどの大きさで世界最大の柑橘類といわれています。三月末ごろまでが食べ頃です。 日持ちが良く、部屋の中に置いておくと 部屋にお日様があるかのように明るく感じ ほのかに良い香りがします。 皮を剥くと3センチほどの分厚い白いわた包まれた実が 出てきます。 爽やかで上品な甘さの果実です。 皮はお風呂に浮かべると良い香りがし、厚いわたは 砂糖で煮て、お菓子にしたりします。 (真知子)
静岡県熱海市のMOA美術館では国宝に指定されている尾形光琳の紅白梅図屏風が、梅が咲き始める少し前から咲き終わる頃まで展示されます。
学生時代に仲間とよく行ったお店に「煮凍り」と書かれた品書きを見て、みんなで首をかしげた記憶があります。注文してみると白身魚の身をほぐし入れた煮凝りが出てきました。その店には「天豆」と書いたものもあり、いたずら好きの店主が勝手に品書きで遊んでいたようです。