学生の頃、先生から「十二月は忙しくて教師も走ることから師走と言います。」と説明された記憶があります。何時も廊下を走る生徒を口うるさく注意している先生も走るのかと、何だか変な納得をした覚えがありますが、今月は十二月。とりわけ三年生を受け持った先生方は進路指導や受験の準備で大忙しでしょう。先生ばかりでなく、受験生を持ったご家庭も何となく落ち着かない季節ではないでしょうか。
戦前のことですが、帝大受験のご長男にお母様が毎日牛乳を飲ませ、それを運ぶのが自分の役目だったと話してくれた年配の女性がおいででした。その方のお話では、跡継ぎは特に大切に育てられ他の兄弟とは子供の時から違っていて、何事においても長兄が一番だったそうです。お兄さんと喧嘩した日は腹いせに運ぶ途中の牛乳を一口頂いて知らん顔をして届けたと笑っていました。
そう言えば新潟には「杉の木と男の子は育たない」という言い伝えがあります。杉はともかくもどうして男の子なのでしょう。こちらでは長男を「あんさま」とか「あんにゃさ」次男を「おっさま」「もしかあんにゃ」と呼びます。「あんさま、あんにゃさ」は兄様のことで、次男の「もしかあんにゃ」はもしかしたら長男になれるという意味なのです。昔は家督を継ぐ長男は特別で他の兄弟とは違う別格な扱いを受けていたようです。諸説ありますが、その大切な長男を周囲の大人が大事にしすぎてしまった結果まともに育たないと言う事らしいのです。
いずれにせよ受験生を抱えたお家では試験が済むまでは、落ち着かない日々が続くのは事実です。今月の料理は受験生のお夜食やお腹のすいた時にちょっと便利で変わったお結びを。お結びはご飯の量を加減で出来るのでお腹の具合に合わせてお作り下さい。熱々はビールのおつまみにも合います。ご飯はなるべく薄く握ると食べやすいでしょう。
【作り方】
小さめのお結びを作り中にナチュラルチーズを入れます。
これをなるべく薄くしてお味噌を塗りバターを塗ったフライパンで軽く焼きます。
中のチーズが温まり柔らかくなったら出来上がりです。
チーズにも塩分があるので、お味噌は香りがするくらいに。