今月の花(7月)_ハイビスカス(アオイ科)

ハイビスカスが人々をひきつけるのはその太陽からもらったような鮮やかな色と、花の中心から出ている独特の長いしべによる。
赤や黄色、オレンジ、ピンク、白。そして中心部が濃かったり、そこだけ違う色だったり、微妙な濃淡や八重のような花びらのつきかたのものなどなど。花の真ん中に雄しべがあり、雌しべは雄しべの筒のようになった中心から出てくる。
しべ全体は花の種類や向きによって長さが異なる。中でもインド洋ザンジバル島原産といわれる風鈴仏桑華となれば花柱はぐっと下がり、まるで風鈴の形のようだといわれている。 ハイビスカスはもともと、仏桑華をはじめとするさまざまなフヨウ属の交配から出来たもの。
庭や鉢から切り取っても、薄めの花びらが美しいのは半日で、いくら水揚げをしてもその命を伸ばすことができるのはせいぜい数時間。 同じような形の、槿、芙蓉、モミジアオイなどはどれも(Hibisucus syriacus)(Hibiscus mutabillis)(Hibisucus coccineus)と、それぞれの名前にはHibisucusがつき、フヨウ属の属名から来ていて、当然ハイビスカスと似たような性質をもっている。
ハイビスカスは、日本には江戸時代に沖縄から渡ってきたといわれる。南の風を運んできた花は 城の奥で主をはじめとした人たちに、そしてやがて目にした庶民たちに、どんなにか珍しがられた事だろう。
今ではアロハシャツといえばまずハイビスカス、プールでは元気一杯の水着にも咲き、熱帯の国への憧れをいっそう掻き立てる。さまざまな園芸種はハワイで生まれ、ハワイの州花となっている。
それにしても、ハイビスカスは強烈な色彩を持ったものが多いのに、不思議ときりりとしたたたずまいという感じがしない。かわりに独特の親しみやすさを醸しだす。花びらが風に揺れれば、暑さもその周りだけ一瞬追い払ってくれるような錯覚におちいる。
体によさそうなハイビスカスのお茶でも飲みながら、この夏も乗り切ろうと思っている矢先、8月も半ばになると、サマーセールの会場の景気づけに欠かせない作り物のこの花が消え、やがて町の花屋の店頭から鉢植の本物も静かに消えていく。ろくに夏休をとらない、とれない、または充分に満喫せずにこの夏もまたいってしまったと思うのはそんなときで、私たち日本人にとってはハイビスカスは(夏の幻)の花かもしれない。すぐしおれてしまってもいい。凝縮した時間の中で、今年こそハイビスカスの花を見つめていけたいと思う。(光加)
