〈カフェネット投句〉8月20日 飛岡光枝選
【特選句】
口すぼめ白湯を啜るや終戦日 周作
ある終戦日の日常。一字一句無駄のない表現。
校庭のフェンスを越してカンナ燃ゆ 稲
一夏の熱に灼かれて燃えて立つカンナ。「校庭のフェンス」がよりカンナの存在感を際立たせる。
【入選句】
新涼や尸並べて蟻百足 肴
「蟻」と「百足」が闘った、ということはないだろうが、おもしろい句。
流れ星一閃天を斬つて消ゆ 肴
原句は「流星一閃天を斬って痕無し」。
星飛んで秘め事のまた一つふゆ 澄江
「夜這い星」とも呼ばれる「流星」のストレートな句だが、この句には宇宙の不思議を思わせてくれる大きさがある。「星飛んで」と置き「一つふゆ」と収めた形もいい。
夕闇を浜へと下る祭笛 澄江
神輿を海へ誘う祭笛だろうか。「夕闇を」に祭の寂しさが感じられる。ただ、「下る」では状況を表現しきれていない。
金魚の恋ついと尾ひれをひるがへし 光加
金魚のガールハント?原句の「ひるがえし」は「ひるがへし」。
ニニロッソ聞きつつ黄菅一万本 八千子
トランペットの音を聞きながら風になびく黄菅の中を行く。原句は「ニニロッソ聞きつ黄菅の一万本」。
黒々と雲の影ゆく夏野かな 隆子
大きな夏雲の影が進んでゆく夏野。原句は「くろぐろと雲の影ゆく夏野かな」。
登り咲けば日は天中に花葵 隆子
「登り咲けば」の勢いが、つぎつぎに咲き登る葵の花に合っている。
洗ひたきものに脳あり熱帯夜 稲
同感。
血管の浮き出た腕や冷奴 周作
冷奴で一杯やる自分の腕か。もう一歩「冷奴」に近づきたい。
