朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」(1月)
朝日カルチャーセンターの講座「季語を楽しむ俳句入門」(カフェきごさい)。初句会の兼題は「カフェきごさい」の12月の季語【冬の鳥】、料理【蓮根】、花(植物)【宿り木】です。
【特選句】
臘梅を箸置にして八十路なり 稲
春に先立ち馥郁たる香りを漂わせる臘梅。名前の由来にもなった蝋のような透明感のある花は、けっして派手ではないが確固たる存在感がある。その一枝を箸置きにしたということを描き、作者の香り豊かな人生を描いた。句の姿もよい。
何もかも遠くのことや浮寝鳥 周作
「何もかも遠くのこと」とは、浮寝鳥の様子でもあり、作者のつぶやきでもあるだろう。すっきりとした句のなかに、浮寝鳥の本質を捉えた一句。
御手洗のふくら雀の春近し 直子
御手洗で遊ぶ雀に春を感じた。御手洗ということばにより、きらきら輝く春の水を表現したところが上手い。「ふくら雀の」とすると一句がだらだらと続くことになるので、「ふくら雀や」とするなど切る工夫を。
【入選句】
千代の春うす紅いろの酢蓮かな 澄江
新年の膳に並んだ薄紅色の蓮根に春の喜びを感じた一句。雰囲気はあるが、「千代の春」で結論を全部言ってしまった感があり、かえって奇麗な酢蓮の姿が見えなくなっている。そして、ここは「うす紅いろに」とするところ。「うす紅いろの」との差を考えて。
如月の胸底にある旅ごころ 稲
「如月」の微妙な季節感をとらえた一句。「ある」がなくなるとよい。
三句出句の初句会、力強い句が並びました。ただ、思いが先走ってきちんと表現されていない句やしっかり言えているがただ事になってしまっている句がありました。今年はぜひ、句会で自分がいいと思う句をよく見て、自分の作る句がどういう形になっているか考えてみてください。二月の兼題は一月の季語【寒の月・寒の星】、料理【粥(七種粥・小豆粥)】、花【千両】です。
星ひとつ降りて宿木みどりなり 光枝