朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(5月)
朝日カルチャーセンターの講座「季節を楽しむ俳句入門」(カフェきごさい句会)。5月の兼題は「カフェきごさい」サイトより、季語
【花・桜】、料理【蕗味噌田楽】、花【雪柳】です。
【特選句】
ふるさとの土手の一本桜かな 隆子
「土手」「一本」ということばの働きで、桜の佇まいがしっかり描けた。それにより、そこから浮かび上がってくる作者の思いも伝わる。
何者ぞ花を散らして渡りゆく 光加
「花」だからこその一句。
【入選句】
一口にふくむ田楽木の芽の香 澄江
田楽の春の香り。「ふくむ」ではのろのろしておいしくない。「一口に食べる」「大口を開けて」。
八重桜夕日の中の重さかな 光加
八重桜のぽったりした重量感。
横たはるムーアの裸像ゆきやなぎ 澄江
裸像の曲線と雪柳の曲線。
遠蛙座れば母のお焦げ飯 稲
蛙の声のなかの、なつかしい情景。
湖を囲む山々笑ひをり 良子
さんざめくような春のはじまり。
一年の無沙汰わびつつ花見酒 光加
毎年の花見の情景。
山裾に一村ありて夕霞 周作
水墨画のような景色。「ありて」がうるさい。
若葉風号令響く消防署 澄江
きちんと言えているが、これを越えるものを。
はふはふと田楽食ふや花の雨 隆子
ことばが過不足なく使われている。しかし「花の雨」でこの形の句は多い。こちらもこれを越える句を。
今月の兼題の季語「桜」と「花」。「花」は「桜」を指す場合が多いですが、イコールではありません。
「花」は「華やかなもの」という心持ちで詠むことが大切です。5月の兼題は、【季語】五月、【料理】
山独活の酢味噌合え、【花】藤です。
雪柳うねりてはまた花こぼす 光枝