朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(6月)
新宿朝日カルチャーセンターの講座「季節を楽しむ俳句入門」(カフェきごさい句会)。6月の兼題は「カフェきごさいサイト」より【季語】五月、【料理】山独活の酢味噌合え、【花】藤 です。
【特選句】
紫陽花やいま泣いた嬰児(ややこ)がもう笑うた 稲
中七下五のほほえましいフレーズが紫陽花によく合う。「嬰児」は重たいので平仮名で「ややこ」、「子」でも。
鳶一羽五月の空をはなれざる 隆子
「鳶一羽」とすぱっと切り出した。「五月」がよく効いている。
くずもちののどにひんやり藤の花 光加
藤の花が咲く頃の、少し汗ばむ陽気を「くずもち」の質感で描いた。上五中七の平仮名も効いている。
【入選句】
銭形のだんなも見あげし藤の花 光加
東京下町の江戸時代からの藤の名所。
とつとつと古きを語る藤の雨 隆子
少々観念的だが「とつとつ」が藤の花の様子を思わせる。
藤の花峠越ゆれば会津領 稲
これは山藤。「会津」の地名がいい。
民宿の早き夕餉や山の独活 澄江
「山の独活」は「山独活」としたい。上五中七はよくあるフレーズ。今一歩ものに踏み込む句作りを。
山桃の空の下なる足湯かな 隆子
この句の場合「空」が少し大げさか。
髪洗ふ昨日のいさかひよみがへる 稲
髪を洗う時の実感。「昨日」では間延びしてしまう。
落花飛花やがて静かに風まかせ 周作
花の散る様子を丹念に描いた。
噴水や手を振り合つて再会す 良子
噴水の様子が見える。「噴水に」か。
藤の花屋なみ耀ふ城下町 澄江
きれいに並ぶ瓦屋根と藤の花のコントラスト。
朝つゆにきらきら独活の剛毛(こはげ)かな 隆子
「剛毛」が山独活らしい。「きらきら」に工夫を。
次回の兼題は6月の【季語】夏の果物、【料理】蕗のブルスケッタ、【花】太藺です。
山独活の皮引く雪の白さかな 光枝