〈カフェネット投句〉11月20日 飛岡光枝選
【特選】
家々の間を縫うて日つまる 周作
家の間を縫うように射していた日もあっという間に暮れてしまう。肩を寄せ合うように暮らしている人々の思いにも触れる一句。「日つまる」の季語が、言葉として活きている。
一湾を抱きあたたか密柑山 澄江
伊豆や瀬戸内などの密柑山。日が当たり、海も密柑山のきらきらと輝いている。「あたたか」がいい。
【入選】
冬湧き水けふも爺々婆々うどん打つ 澄江
湧水は冬でもあまり冷たくないということだとつまらない。「冬の水けふも爺婆うどん打つ」。
素揚げして藻塩まぶしき零余子かな 隆子
「素揚げ」「藻塩」がうるさい。
身籠りしままに枯れゆく蟷螂かな 隆子
「身籠りし」は重い。もっと直接的な表現をしたほうが凄まじさが出る。
夕時雨峠越えゆく奥の能登 澄江
「能登の奥」。少々舞台揃いすぎ。