浪速の味 江戸の味 (9月) いもたこ【浪速】
昔から女性の好きなものは「いもたこなんきん」と言われます。リズムよく口遊めますし、たしかに私も、芋も蛸も南瓜も好物です。
浪速の特産野菜のひとつに、泉州の里芋があります。親芋の周りに子芋がさらに孫芋ができるので、子孫繁栄の象徴としてお正月の御節料理にも登場しますが、9月~10月が収穫のピークです。中秋の名月には、子芋を皮つきのまま茹でる「衣被(きぬかつぎ)」が供えられます。つるりと皮がむけるので食べやすくなります。平安時代ごろから女性が外出時に身分をかくすために衣を被った姿に重ねています。
里芋のぬめりの元はガラクタンといい、糖質とタンパク質が結合したもので、血圧を下げたり、動脈硬化の予防にもいいそうです。
蛸は明石海峡で獲れたものが有名ですが、大阪湾でも獲れます。6、7、8月ごろによく獲れます。蛸は塩で揉みさっと茹でます。コレストロールを下げるタウリンが豊富です。芋と蛸を出し汁に砂糖、薄口しょうゆ、酒少々で炊いたんが、いもたこです。
いもたこは、畑のものと海のものとの組み合わせで、栄養面でも残る夏の疲れによさそうです。芋は秋の季語で、蛸は夏の季語ですが、いもたこは秋の季語として味わいたいと思います。「いもたこ」を食べながら、女友達と楽しいお喋りをしたいものです。コロナ対策で、食事中もお喋りできないのは寂しいです。
いもたこに弾む話や女子衆 洋子