朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」十二月
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイト「カフェきごさい」より十二月の季語「極月」、花「冬桜」、江戸の味「牛鍋」です。(光枝)
【特選】
再会をまづは書き入れ初暦 勇美
年賀状によく書き入れることば「今年こそはお会いしましょう」。ある時期によいお付き合いをした方に伝えられる一言で、年賀状の良さの一つ。句は具体的に約束ができるお付き合い。「いつか」はなかなか来ないことがわかったコロナ禍、より心に響く。
よく晴れて富士を遠くになづな粥 守彦
正月の句はこのように目出度さが第一。「富士を遠く」がいい。そして、よくぞ「なづな粥」。これが「雑煮餅」などだととたんに色褪せる。
【入選】
鋤焼や過ぎし良き日の音がする 和子
すき焼きは音もご馳走。「過ぎし良き日」がもう少し具体的だとより思いが伝わる。
極月や癌の奪ひし友の笑み 和子
気持ちがおかされてしまうのが病の怖さ。「極月や癌が奪ひし友の笑み」。
冬晴や遺書も葬儀も何もなし 弘道
「冬晴」の明るさがいい。
木星に土星寄りそふ冬至かな 涼子
天体の動きをそのまま一句に。「寄りそふ」が冬至らしい。
下町の足元吹くや空つ風 守彦
「下町の足元」が秀逸。気持ちのよい空つ風。
掌に惑星みつぶ竜の玉 勇美
「みつぶ」が消化不良の感あり。
ゆつくりと冬至南瓜をいとこ煮に 涼子
「ゆつくりと」がいい。同じ作者の「木星に」の句の「寄りそふ」同様、ことばの風合いを大切にしている。
兄よりの足二本欠く松葉蟹 弘道
気が置けない方よりの到来もの。「兄より」は少々うるさいか。喜びに焦点を当てたい「届きけり足二本欠く松葉蟹」。
一本のほうと日を吐く冬桜 光枝
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