朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」1月
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。1月の兼題はサイト「カフェきごさい」より、1月の季語「食積」、花「松」、江戸の味「七草粥」です。(光枝)
【特選】
静かなるとどろき夜半のラッセル車 勇美
夜の向こうからやってくるラッセル車の気配を「静かなるとどろき」として捉えた。
天鵞絨の肩に咲きたる六花かな 勇美
「肩」の一語でビロードの手触りがぐっと際立った。「咲きたる」が少々きれいすぎるか。
雑煮椀餅の下より帆掛船 勇美
正月らしいなんとも目出度い一句。
【入選】
七草や摘むには惜しき籠仕立 涼子
古人が野山で若菜を摘んでいる風情。
穴ひとつ花で飾らむ白障子 涼子
花が開いて、冬の白障子が春の障子に。日本のよろしさが滲む一句。
マフラーと帽子合はせて癌の友 和子
少しでも明るく楽しく過ごそうとする友への思い。「お揃ひ」などもあり。
寒月を突き刺してゐるタワーかな 勇美
「ゐる」では句の勢いがそがれてしまう。「突き刺しそびゆ」など工夫を。
初夢や手つないでくれし兄と姉 弘道
繋いだ手の感触がまだ残るよう。
箸紙に記しこし名の一つ欠け 和子
人生の寂しさを感じるのも、新しい年の初めならでは。
初雀ちゆんとお辞儀をしてゆきぬ 涼子
お辞儀ととらえた作者の心のよろしさ。「初雀ちゆんとお辞儀をして去りぬ」も。
雀来てヴェランダからの御慶かな 弘道
こちらもほほえましい初雀。「雀来て」に動きがあり、句がいきいきした。
七草籠あはれ鈴菜の大きかり 光枝