浪速の味 江戸の味 8月【祭鱧】(浪速)
梅雨が明け、一気に暑くなってきました。梅雨が明けると、関西では祭が続きます。日本三大祭の二つ、祇園祭、天神祭でさらに熱気が高まります。
祇園祭では山鉾巡行、天神祭では陸渡御、船渡御という祭の見どころが、コロナ禍のため去年に続き行われません。人の流れを増やさない対策であるのはわかりますが、やはり寂しいです。ただ今年の祇園祭では、巡行はないものの、半数ほどの山鉾が建てられ、午後7時までは鉾提灯が灯り、宵山の雰囲気が少し味わえました。二年続きで、祭がこの様なことになるとは思いもしなかったことです。
天神祭は、菅原道真の霊を鎮める祭として、平安時代から続いています。大阪天満宮のそばの大川から神鉾を流し、流れついた所に斎場を設け、禊祓を行いました。その時、船を仕立てて迎えたのが船渡御の始まりと言われています。
本来であれば、7月25日に本宮を出た催し太鼓、神輿、行列が大川のほとりを歩く陸渡御が行われ、夜になれば奉安船、お迎え人形船、どんどこ船など百を超える船が大川に繰り出す船渡御が行われ、クライマックスには奉納花火が打ち揚げられるのです。水の都にふさわしい華やかな祭です。
そんな関西の祭には、旬の鱧料理がかかせません。その呼び名も祭鱧。骨切りをした鱧をつけ焼きにしたり、湯引きにして酢味噌や梅肉酢で食べたり、天ぷら、鮓にしても美味しいです。来年こそ本来の祭が行われることを祈りつつ、祭鱧で祭気分に浸りたいと思います。
懐かしき船渡御の灯よ祭鱧 洋子