【入選】
白桃や一心不乱に皮剥きぬ 和子
魅力的な果実、桃はその姿も香りもまとう空気も特別です。桃と自分だけの世界に没頭している姿。「一心不乱」に迫力があります。
賀茂川は恋のはじまり祭鱧 涼子
祇園祭に始まる京都の夏。祭りには鱧が欠かせず、鱧祭とも呼ばれます。祭りの宵は恋の時間でもありましょう。
片影やけんけんで行く男の子 弘道
暑い中でもけんけん遊びに夢中の子ども。それでも自ずと片影を慕って。原句は「片影をけんけんして行く男の子」。
洛東に昔の下宿釣忍 弘道
「釣忍」の季語がいい。この釣忍は、昔から、そして今も窓に吊るされ水を滴らせています。原句は「洛東の昔の下宿釣忍」。