「カフェきごさい」ネット投句(二月)飛岡光枝選
この龍は「龍天に登る」(春の季語)を思わせ、「うねり」に動き出した春の兆しが表現されました。
幾重にもくぐる鳥居や梅香る 裕子
鳥居をくぐるたびに鼻先をくすぐる梅の香り。鳥居と梅というよくある素材で新鮮な句が出現しました。原句は「幾重もの鳥居くぐりて梅かほる」。「かほる」⇒「かをる」。
【入選】
大根焚き三千院は雪の中 弘道
雪景色のなか、大根を焚く白い湯気が見えます。
ステファノのナポリターナが春を呼ぶ 弘道
「ナポリターナ」が陽気な春を感じさせます。何よりも美味しそうなのが一番。ステファノは有名料理店でしょうか。前書きがあっても。原句は「ステファノのナポリターナが春を呼び」。
春を乗せ京の料理の薄造り 弘道
薄造りに春の気配があるのですが、「春」とは何か、「京の料理」も漠然としています。しっかりわかるように再構成を。「菜花のせ明石の鯛の薄造り」などなど。
矯めかねて連翹真に一文字 裕子
連翹の心の強さに思いを寄せる作者。この強さは作者の強さでもありましょう。原句は「矯められぬ連翹真に一文字」。