第三回 カフェきごさいズーム句会報告
飛岡光枝選
第一句座
【特選】
てのひらの木もれ日を汲む岩清水 伊藤涼子
蟻一匹抱へきれざるもの抱へ 葛西美津子
裏路は十薬通りとなりにけり 伊藤涼子
【入選】
急がねば百の桃へと袋かけ 斉藤真知子
鵜一羽杭にとどまり走り梅雨 上田雅子
潮風の恵みたつぷり枇杷熟るる 前﨑都
雲海の蒼く明けにし月の山 葛西美津子
大空にはや夏のあるハンモック 高橋真樹子
ハンモック夢も浮かんでをりにけり 伊藤涼子
釈迦堂へ千の石段梅雨晴れ間 前﨑都
土もよし水よし新茶香りけり 矢野京子
みづうみは氷河の雫カヌー出す 高橋真樹子
麦飯を喰らひ戦後を生き延びて 前﨑都
二階から二階見てゐる合歓の花 高橋真樹子
母の帯締めてすがしや初浴衣 高橋真樹子
地震続く能登や婆さまの鮑とり 花井淳
風薫る公園ベンチで宿題を 矢野京子
水の中背伸びしてゐる早苗かな 藤井和子
第二句座(席題、水遊び 梅雨茸)
【特選】
人の世の話聞きをる梅雨茸 斉藤真知子
水遊あの頃はまだ母若く 赤塚さゆり
太陽にとことん愛され水遊び 藤倉桂
【入選】
梅雨茸のひよつこり顔出す棕櫚の鉢 伊藤涼子
びしよ濡れの服いかにせん水遊び 斉藤真知子
不意打ちの水鉄砲を浴びにけり 伊藤涼子
白々と一夜に生えし梅雨茸 葛西美津子
鳥の糞ひとすぢかかる梅雨茸 高橋真樹子
最後には裸になりぬ水遊び 上田雅子
誰よりも母が本気の水合戦 葛西美津子
梅雨茸蹴とばしながら球探す 花井淳
浴室のアトムとウラン水遊び 花井淳