第十八回 カフェきごさいズーム句会 句会報(飛岡光枝選)
第十八回「カフェきごさいズーム句会」 (2024年9月14日)句会報告です。( )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。
第一句座
【特選】
一身を水にゆだねて秋の鮎 齊藤真知子
朝焼けの金をしつぽにキタキツネ 高橋真樹子
(朝焼けや金のしつぽのキタキツネ)
赤き旗上げて舟呼ぶ水の秋 藤倉桂
かふなれば破れかぶれの破芭蕉 斉藤真知子
(かうなれば破れかぶれや破芭蕉)
鶏頭の赤に日暮れの来たりけり 矢野京子
(鶏頭の赤燃え上がる日暮かな)
【入選】
ゑのころや今もできない逆上がり 伊藤涼子
赤とんぼ湧きくる里へ米買ひに 高橋真樹子
しみじみと二人暮しや菊日和 赤塚さゆり
(しみじみと二人の暮らし菊日和)
鈴虫や使ひ納めの硝子猪口 花井淳
桃剝いて桃の香りの中にをり 上田雅子
秋簾ゆかしき昭和の純喫茶 赤塚さゆり
(秋簾ゆれる昭和の純喫茶)
新米やまづはまんまる塩むすび 藤倉桂
梨を剝く半分で済む二人かな 前﨑都
啄木の思郷の歌碑や葛の花 村井好子
(啄木の望郷の歌碑葛の花)
式部の実母なき庭にこぼれをり 前﨑都
(式部の実母なき庭にこぼれけり)
おんぼろの掃除機唸る九月かな 早川光尾
縫糸の絡まってゐる秋暑かな 斉藤真知子
(赤き糸絡まつてゐる秋暑かな)
子かまきりまこと小さき鎌かざし 上田雅子
ごろ寝して我も花野の一草に 高橋真樹子
朝顔の鉢片づけて新学期 矢野京子
日本の秋とぼとぼとまだ見へず 矢野京子
並びゐて細身なれども初秋刀魚 斉藤真知子
あぎとへる鯉の動かす秋の水 前﨑都
触れあうて白桃のこの傷みやう 矢野京子
沈香と妻のおもかげ宵の秋 花井淳
(沈香に妻のおもかげ秋深む)
窓にさす朝の光やマスカット 飛岡光枝
第二句座(席題・鵙の贄、新米)
【特選】
新米を研ぐ皺の手もいとおしく 高橋真樹子
(新米を研ぐ皺の手のいとほしく)
眼から風抜けてゐし鵙の贄 高橋真樹子
(眼から風の抜けゆく鵙の贄)
【入選】
鵙の贄我は見つけてしまひけり 藤倉桂
もてなしは新米炊く香山の家 藤倉桂
山深き一揆の里や鵙の贄 花井淳
新米と告げて供ふや父に母に 藤倉桂
(新米と告げて供ふや父母へ)
砥部焼の白き茶碗に新米を 前﨑都
(砥部焼の真白き茶碗今年米)
ふるさとの香りも混ざる今年米 赤塚さゆり
(ふるさとの香りの混ざる今年米)
因縁の枝に刺されて鵙のにへ 矢野京子
子供らの指差し騒ぐ鵙の贄 上田雅子
上弦の月あかあかと鵙の贄 飛岡光枝