第二十回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)
第二十回「カフェきごさいズーム句会」 (2024年11月9日)
句会報告です。( )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。
第一句座
【特選】
枯蟷螂己の影に鎌挙ぐる 藤倉桂
松林を抜けて浪音けさの冬 葛西美津子
(松林抜けて波音けさの冬)
破る子も居らぬ障子をまた張りぬ 上田雅子
(破る子も居らぬ障子を貼りにけり)
冬立つや退院の空澄み渡り 前﨑都
枯れ蟷螂鎌振り上げて息絶えて 前﨑都
(枯れ蟷螂鎌振り上げて息絶えぬ)
【入選】
雪吊や夜はきらめく星を吊る 伊藤涼子
立冬やお香の型をジャスミンに 周龍梅
(ジャスミンの形のお香冬に入る)
唇を紅はみ出して七五三 矢野京子
(唇の紅はみ出して七五三)
スナップをきかす箒や落葉掻 村井好子
少年の少し大人び冬立ちぬ たきのみね
(少年の少し大人び冬に入る)
墨を擦る手に力増し冬に入る 周龍梅
(墨を磨る我手に力冬に入る)
冬来る鰹節けづる愉しさよ 前﨑都
凩の山蘆にかかる竹箒 葛西美津子
(凩の三廬にかける竹帚)
祖父が打つ極太うどん冬に入る 藤倉桂
木枯一号通勤の列黙々と 伊藤涼子
立冬の風を突つ切れフリスビー 赤塚さゆり
少年や木枯連れて戻りくる 斉藤真知子
吹き過ぎて凩の柿あかあかと 葛西美津子
(吹き吹きて凩の柿あかあかと)
いと小さき熊手なれども手打ちかな 斉藤真知子
はぐれてはまた綿虫に分け入りぬ 高橋真樹子
蟷螂の枯れし目玉に闘志あり 飛岡光枝
第二句座(席題・小春、大根)
【特選】
大蛸を広げて干して小六月 矢野京子
泰山の小春日和を浴びながら 周龍梅
(泰山の小春日和の中にかな)
念じつつ大根を煮る夜のあり たきのみね
【入選】
迷ひきし猫に名をつけ小春かな 斉藤真知子
大根の白き太さを鰊漬け 高橋真樹子
(大根の白さ太さを鰊漬け)
小春日や村も眠つてをりにけり 伊藤涼子
(小春日や村の眠つてをりにけり)
どこまでも大根畑を三崎まで 伊藤涼子
(どこまでも大根畑三崎まで)
約束のやうに尻もち大根引く 葛西美津子
手料理は大根づくし祖母の家 赤塚さゆり
潮風の三浦大根引きにけり 葛西美津子
飲み友の大根一本下げて来る 前﨑都
(飲み友達大根一本下げて来る)
夜徹し能大根汁は湯気上げて 飛岡光枝