第二十五回 カフェきごさいズーム句会報告(飛岡光枝選)
第二十五回カフェズーム句会(2025年4月12日)の句会報告です。( )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。見学も大歓迎です。
第一句座
【特選】
壺焼のひとつが噴けば次もまた 斉藤真知子
たんぽぽは歌ふ花なり我もまた 高橋真樹子
春の暮猫も家路に遠くなり 前田悠
花のごと生まれて花の産湯かな 上田雅子
山下りて清水に濡らす杖の先 周龍梅
(山下りて流れにすすぐ花の杖)
【入選】
河川敷の風のうねりや黄水仙 村井好子
(河川敷の風にうねるや黄水仙)
やさしくて時にはげしく鳥の恋 矢野京子
(時折は羽音はげしく鳥の恋)
春はやて右往左往す葱坊主 伊藤涼子
(春はやて右往左往の葱坊主)
春雷や鼻つ柱を圧し折られ 赤塚さゆり
梔子の花や谷中の夕まぐれ 鈴木勇美
百歳の花見は花の杖持ちて 上田雅子
(百歳の花見は花の杖をつき)
春怒濤むかし流人を運びけり 斉藤真知子
傘の下ふたり分け合ひ花見酒 鈴木勇美
(傘の下ふたり分け合ふ花見酒)
小半日父と二人の花筵 藤倉桂
熊避けや三橋美智也を唄いつつ 早川光尾
(熊避けの三橋美智也を唄ひつつ)
八重桜春の重さをもてあます 葛西美津子
木曽川の長き鉄橋目借時 村井好子
結局は開かぬままの春日傘 斉藤真知子
胎の子をさすり春眠分かちあふ 高橋真樹子
がむしやらに生きて喜寿なり目刺焼く 藤倉桂
あんぱんに臍すこやかや桜漬 飛岡光枝
第二句座(席題・春雷、雲雀)
【特選】
こんにやくを春雷のごと包丁す 高橋真樹子
春雷や今日は私の誕生日 藤倉桂
(揚雲雀今日は私の誕生日)
【入選】
ずぶ濡れし犬の哀れや春の雷 上田雅子
(ずぶ濡れの犬の哀れや春の雷)
関税は何のことやら雲雀鳴く 斉藤真知子
(関税は何のことやら亀の鳴く)
首痛くなるまで空の雲雀かな 葛西美津子
春雷に浮かびし一句忘れけり 矢野京子
太陽の子になりたくて揚げ雲雀 藤倉桂
天守閣転げ落ちしか春の雷 矢野京子
(春雷に転げ落ちたり天守閣)
夕雲雀取り残されてしまひけり 矢野京子
揚雲雀きのふの声の落ちてくる 飛岡光枝