浪速の味 江戸の味(十一月) 軍鶏鍋【江戸】

いつまで続くのかと絶望的になるほどの夏の暑さでしたが、さすがに十月の声を聞くと東京はぐっと気温が下がり、慌てて衣替えをしました。
気温が下がると急に恋しくなるのが鍋料理。秋晴れの一日、以前から気になっていた東北自動車道の「羽生PA」に鍋を食べに行きました。パーキングエリアで鍋とは?
日光街道、奥州街道から江戸への入り口にあたる栗橋関所にほど近い埼玉県の「羽生PA」には、鬼平犯科帳をモデルにした江戸の街が再現されています。鬼平に登場する様々な店が並び、その一軒が鬼平ファンにはお馴染みの「五鉄」。密偵たちとの連絡場所として物語に頻繁に登場するこの店の名物が「軍鶏鍋」です。
江戸時代初期にタイから日本に渡来したといわれる軍鶏。その名は、タイの旧名「シャム」に由来します。勇猛な性質で闘鶏に使われましたが、引き締まった肉はうまみが濃厚で江戸名物の「軍鶏鍋」は武士や町人に好まれました。
賭博の闘鶏が禁止されてからも、日本各地で食用として品種改良されてきた軍鶏。江戸時代の軍鶏の血統を濃く引き継ぎ、飼育期間が一般的な鶏より三倍近く長い「東京しゃも」という鶏も誕生しています。
現在の「五鉄」の軍鶏鍋も江戸っ子好みの濃口醤油味。ささがき牛蒡がいいアクセント。この店では鬼平に登場する同心木村忠吾の好物「一本饂飩」も味わえます。こちらもみりんの利いた濃厚な汁に驚くほど太い饂飩が鎮座している逸品。
この冬は寒くなるのが早いとの予報、インフルエンザも早々流行期突入とか。「軍鶏鍋」と「一本饂飩」で精をつけて、この冬を乗り切りたいものです。
トントンと二階へ運ぶ軍鶏の鍋 光枝
