7月に入ると梅雨明け宣言がいつごろになるのかそろそろ気になってきます。本格的な暑さに向かう途中、まだ体がなじめずすこしだるさを覚えるのは急に強くした冷房のせいなのか、とさえ思ってしまうのがこの頃です。夏至から11日目は72候のひとつ半夏、または半夏生です。太陽暦だと7月の1日か2日です。
農家も農作業が落ち着いたこの頃、畑のわきの草のなかに烏(からす)柄杓(ひしゃく)、別名半夏と呼ばれる植物を見かけます。立ち上がった緑色の苞から花軸が現れる、少し不気味な形のこの植物はもともと薬草として使われました。どこか得体の知れない様子は、先日ここでもあげた武蔵鐙やマムシ草とも似ています。
そしてこの時期、もう一つの半夏生、別名片(かた)白(しろ)草(ぐさ)というどくだみ科の植物がみられます。 高さはせいぜい1mくらい、葉の形は先のとがった細めの卵形で、上部についている葉は半分白く、しかもそれは葉の表面だけで、神様が気まぐれに白いペンキを筆でぬったか、または群生している中に立ってまき散らしたかのようです。
半化粧とも書き、白粉をぬっていたお化粧の途中、よっぽどの用事かだれかに呼ばれたかしてそのまま立ち去った気配を残したような葉の白と緑です。
独特の青臭さは水の中で切っておいてアルコールを付けたりするうちになくなってきますが、何とも清々しいこの植物に姫百合などを組み合わせ、竹かごに入れてみると、緑、白、オレンジ色の組み合わせがこの時期の繊細な自然を部屋に運び込んだ気がしてきます。
半夏生の白い小さな花は蕾がたくさん集まって穂のようになり、初めは下をむいていますが、元からの開花とともに、垂れていた穂がしゃんとしてきます。その様子を見れば、私たちも元気をもらえるのではないでしょうか。
何故葉が半分白いのか、調べてみると授粉のために昆虫を呼び込むのではないかという説があり、その時期をすぎればまた元の緑色に戻るのだそうです。
種を絶やさないための強烈な半夏生のアピールだとすれば、白いペンキをまいた神様は、きまぐれではなく、なかなか考えての行動だったのではないでしょうか。(光加)

コロンとした緑の頭の先に濃い黄色の3-4センチの花を開かせる紅花。原産地はアラビアあたりから北アフリカといわれています。細い花びらはやがて黄色から赤い色へと変わっていきます。同じキク科のアザミのように花の周りに小さな葉があり、その下の薄緑の茎についている葉は、触ってみると少しざらりとした感覚が手に残ります。よく見れば縁にある小さな棘が原因でした。枝別れした茎のそれぞれの先に、花を一輪ずつ付けます。
5月1日。フランスではメーデーとともにスズラン祭りの日です。それぞれの幸せを願ってこの清楚な花の贈物が交わされます。新緑も濃さを深めていく中、この日、街の中で特に目につくのがバラやカーネーションではなくスズランというところがこの国の繊細でしゃれた文化の一面を語っているように私には思えます。その歴史は16世紀、時のシャルル9世が臣下の女性たちに贈ったのがはじまりといわれています。


高原の土産物店の木の皿に彫られたピンクに着色された花は、7、8輪ほどが丸く固まり放射状に葉を従え、まるで女王様のようでした。その花は白山石楠花か東石楠花だったのでしょうか。日本にはもともと6種類の石楠花があるそうです。
「僕、この花大好き!」お稽古の時、クラスの男性メンバーが花材を包んでいた紙をとって言いました。さて何という名前の花だったでしょう?
茎の分岐したその先に小さな黄色の花々をつけ半円球を描くういきょうが咲き始めればまもなく春爛漫を迎えるしるしです。中が空洞な茎は暖かな光を受け、緑の色を深めていきます。数本を集めるとたくさんの緑の線の上に黄色い霞がただよっているかのようです。