↓
 

caffe kigosai

作成者アーカイブ: koka

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

半夏生

caffe kigosai 投稿日:2015年7月16日 作成者: koka2015年7月18日

DSCN18177月に入ると梅雨明け宣言がいつごろになるのかそろそろ気になってきます。本格的な暑さに向かう途中、まだ体がなじめずすこしだるさを覚えるのは急に強くした冷房のせいなのか、とさえ思ってしまうのがこの頃です。夏至から11日目は72候のひとつ半夏、または半夏生です。太陽暦だと7月の1日か2日です。

農家も農作業が落ち着いたこの頃、畑のわきの草のなかに烏(からす)柄杓(ひしゃく)、別名半夏と呼ばれる植物を見かけます。立ち上がった緑色の苞から花軸が現れる、少し不気味な形のこの植物はもともと薬草として使われました。どこか得体の知れない様子は、先日ここでもあげた武蔵鐙やマムシ草とも似ています。

そしてこの時期、もう一つの半夏生、別名片(かた)白(しろ)草(ぐさ)というどくだみ科の植物がみられます。 高さはせいぜい1mくらい、葉の形は先のとがった細めの卵形で、上部についている葉は半分白く、しかもそれは葉の表面だけで、神様が気まぐれに白いペンキを筆でぬったか、または群生している中に立ってまき散らしたかのようです。

半化粧とも書き、白粉をぬっていたお化粧の途中、よっぽどの用事かだれかに呼ばれたかしてそのまま立ち去った気配を残したような葉の白と緑です。

独特の青臭さは水の中で切っておいてアルコールを付けたりするうちになくなってきますが、何とも清々しいこの植物に姫百合などを組み合わせ、竹かごに入れてみると、緑、白、オレンジ色の組み合わせがこの時期の繊細な自然を部屋に運び込んだ気がしてきます。

半夏生の白い小さな花は蕾がたくさん集まって穂のようになり、初めは下をむいていますが、元からの開花とともに、垂れていた穂がしゃんとしてきます。その様子を見れば、私たちも元気をもらえるのではないでしょうか。

何故葉が半分白いのか、調べてみると授粉のために昆虫を呼び込むのではないかという説があり、その時期をすぎればまた元の緑色に戻るのだそうです。

種を絶やさないための強烈な半夏生のアピールだとすれば、白いペンキをまいた神様は、きまぐれではなく、なかなか考えての行動だったのではないでしょうか。(光加)

今月の花(7月)紅花

caffe kigosai 投稿日:2015年6月29日 作成者: koka2015年7月1日

DSCN237ベニバナコロンとした緑の頭の先に濃い黄色の3-4センチの花を開かせる紅花。原産地はアラビアあたりから北アフリカといわれています。細い花びらはやがて黄色から赤い色へと変わっていきます。同じキク科のアザミのように花の周りに小さな葉があり、その下の薄緑の茎についている葉は、触ってみると少しざらりとした感覚が手に残ります。よく見れば縁にある小さな棘が原因でした。枝別れした茎のそれぞれの先に、花を一輪ずつ付けます。

紅花はかつて末摘花と呼ばれ、源氏物語の末摘花の巻が思いだされます。主人公の女性は鼻の先が赤いため、高貴な家の出であるにも拘わらず内気で、その容貌は源氏も気の毒に思うほどでした。「末摘花」とは源氏がつけたニックネームです。性格のいい姫のことを自分は決して嫌いでないことを伝えようと、姫を紅花の愛らしさにたとえた源氏のやさしさとユーモアを、紫式部はこの巻に込めたかったのかもしれません。

源氏物語が書かれるずっと以前の紅花が、古墳から顔料として発見されています。中国経由で渡ってきたところから呉(くれ)の国からの藍、「呉の藍」から「紅(くれない)」となっていったと辞書にはあります。では何故「藍」なのか。色の藍は今では青をさしますが「藍」を色という総称で使っていたのではという説もあります。この花は染料の他、薬、口紅や頬紅などの化粧品、実からサフラワーと呼ばれる食用油、と広く使われています。

10年ほど前、紅花の染料を使った着物をある方から手渡されました。様々な表情の色で染め上げられた糸による薄紅の紬で、とても自分では手の届かないものでした。広げると背中を中心に大きな桃の花が一輪織りこんでありました。「私には派手になったわ。あなたに似合うと思う。でも光加さんも派手になったら言ってちょうだい。その次の人に渡すから」。晴れの日には着させていただいていたこの着物は今年、顔写りもすこし変わってきたのでお返ししました。こうして次の方がまた、紅花の命を受け継いでいってくださることでしょう。

そのまま乾かせばドライフラワーにもなり、また別の個性を発揮する紅花。紅花は巧みにその用途とかたちを変えて、人間の生活の中でずっと生き続けていくのではないでしょうか。(光加)

今月の花(6月)スズラン

caffe kigosai 投稿日:2015年6月2日 作成者: koka2015年6月2日

suzuran5月1日。フランスではメーデーとともにスズラン祭りの日です。それぞれの幸せを願ってこの清楚な花の贈物が交わされます。新緑も濃さを深めていく中、この日、街の中で特に目につくのがバラやカーネーションではなくスズランというところがこの国の繊細でしゃれた文化の一面を語っているように私には思えます。その歴史は16世紀、時のシャルル9世が臣下の女性たちに贈ったのがはじまりといわれています。

日本では君影草と呼ばれ、主に北海道、本州の低い山などに咲きます。一本の茎に数輪下がって咲いた花の葯(やく)は少し黄色がかっています。葯とは雄蕊の先端についた花粉の入った袋で、小さなうつむき加減の花をのぞき込まないとわからないかもしれません。

葉や花がより大きいスズランをみかければ、ヨーロッパ原種のドイツスズランのことが多く、葯は緑がかっています。白い花を引き立たせるのは幅広の緑の葉で少し波打っています。スズランはフィンランドの国花でもあります。

カナダのトロント支部にいけばなのワークショップにいった時、支部長は旧知のカナダ人のGで、宿泊は彼の自宅にという申し出をうけました。家に到着後、Gの数十年来のパートナーとお茶を飲み、2階の私のベッドルームとなる部屋に案内されました。ドアを開けると木製のとても古い引き出しがあり、Gはその一番下の段を少しあけ、「寒かったら羽織るものがここに入っているから」といって部屋をでていきました。

棚の上には素朴なアンテイークの銀器にスズランがさりげなく20本ほど。

東京から飛行機を乗り継いでやっと着いたトロント。明かりを消しベッドに倒れ込むと、闇の中でかすかに漂いはじめるスズランの上品で涼やかな香りが、少しずつ神経の緊張を緩めていくのでした。技術を駆使して花をいけ、生徒にも慕われて活躍しているGが、あえて庭に咲いているスズランを何気なくいけた心づかいでした。

5月から6月の花嫁が式当日に持つブーケの中にこの花を選ぶことがあります。それは純白の愛らしい花の形のためだけでなく、彼女を落ち着かせる香りも理由のひとつでしょう。季節が巡ってくるごとにこの香りから晴れの日を懐かしく思いだすような、そんな人生であるようにと願うのです。(光加)

 

武蔵鐙(むさしあぶみ)

caffe kigosai 投稿日:2015年5月24日 作成者: koka2015年5月30日

IMG_0498

家の近所のたまに通る五差路で、「あれは何だ!」と思わず足が止まりました。歩道の交わるところには、コンクリートで三角形に囲まれた花壇があります。

その日、草や花たちの中に、まるで鎌首をもたげたような形をして緑の縦縞、紫褐色の部分をまきこんでふくれたような姿の植物の姿に気がつきました。花、という響きからくる華やかさはなく、一組3枚の葉には緑の濃淡の縞がかすかに認められます。

前にそこを通ったときはまだ植物の芽があちこちで出はじめた頃で、その場所には確か20センチくらいの、先が細くなった棒のような芽が、つんと地面から出ていたのを思いだしました。あれがこの花になったのでしょうか。花をつけた2株の高さはそれぞれ30-40センチくらいでした。

調べてみると、似ているものにはいずれも同じサトイモ科の浦島草やマムシ草、そして武蔵鐙がありました。

浦島草だとすれば釣り糸のようなものが花の頭から出ているのが特徴ですがそれがない、そうすると花にある縞のこの気味悪さはマムシ草だろうか。そんな時写真を見た同じ流派の方がこれは花と葉の特徴からして、武蔵(むさし)鐙(あぶみ)では、と教えてくださいました。

もともと山野草で、武蔵の国でかつて使われていた馬の鐙に形が似ているのでその名がつけられたそうです。仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる大型の苞は水芭蕉や座禅草などにもありますが、武蔵鐙は本当の花の部分をぐるりと中に巻き込んでいます。サトイモ科の植物は根に毒があるものが多く、その実は緑の泡が吹いたようなものがやがて赤く熟していくようです。

それにしても大地からにゅっと出現した姿が潜水艦の潜望鏡のように見えるのは、ここが大都会の真ん中だからでしょうか。あるいは他の惑星からの使者のようでもあります。落ち着いて見てみればなかなかおしゃれな縞模様に見えてきました。

その花壇のすぐ後ろには家が建っていて、家の前にはしゃれた空色の古い小型の外車がいつも停まっているのです。その家の主がこの花の手入れをしているだろうと思われるのですが、人影は一度も見たことがありません。

不思議な武蔵鐙は、その由来や周辺の環境も含めておおいに気になる花のひとつになったのです。(光加)

カルミア

caffe kigosai 投稿日:2015年5月12日 作成者: koka2015年5月12日
写真中野義樹

写真中野義樹

新しい植物が発見された時、改良種が作られたとき、その植物に人の名がつけられることがあります。たとえば新種のバラに王女や女優さんの名前、生産者によって新しく開発されたトマトに愛妻の名前をつけた方もいました。

「カルミア」(別名はアメリカしゃくなげ)は18世紀のスエーデンの植物学者で、北アメリカでこの木を発見した「ペール カルム博士」にちなんでつけられました。 生まれはフィンランドですが、のちにスエーデンに移り住んだカルムさんはそのためフィンランドの切手にも肖像画となって残っています。長めのウエーブの髪、二重あごで眦を決した表情なのはまだ旅行が困難であった1700年代にアメリカやカナダ、ロシアやイギリスに植物調査に渡ったからでしょうか。植物学者として高名な、やはりスエーデンのカール フォン リンネ博士の高弟でもあります。

「カルミア ラティフォリア」は日本には20世紀になって渡ってきたものです。枝先にたくさん集まって咲く淡紅色やピンクや白の花の形は独特で、蕾は植物図鑑のどれにも「金平糖のよう」と記されています。胴まわりの同じ位置からつんつんと角のように突きだしている蕾を見れば、広げかけた傘のようで、「はながさしゃくなげ」という日本名も納得できます。

やがて花先は5つに割れてカップ状に開くと、内側には10本の雄蕊と1本の雌蕊があり、濃い赤や紫の斑点が円を描くように跳んでいます。濃いピンクの蕾が開くと中が薄いピンクという変化は枝先を一層にぎやかにさせます。園芸種では大輪のものや、ふちどりのあるもの、そこに紫色の線が入るものもあるのだそうです。まるで極小のしゃれたお椀か小鉢が集まっているよう、とうっとり見ているとなにやら手にべたべたつくものがあります。これは蒴果の毛についている液で花やさんに切り花で売っていないのはこのせいでしょうか。

女の子たちが思わず「かっわいい!」と声をあげそうなカルミアの花。あの世でカルムさんも自分の名前を付けられたことに少しくすぐったい思いをしながらも、まんざらでもないのではないでしょうか。(光加)

おおたにわたり

caffe kigosai 投稿日:2015年5月4日 作成者: koka2015年5月7日
写真 中野義樹

写真 中野義樹

清々しい緑の葉の両側が少しびろびろして波を打つさまを見て、「海の中に生えて陸に上がった昆布みたい」と思ったのは、おおたにわたりの葉を初めて手にした中学生の私でした。ちゃせんシダ科のシダの仲間です。幅広のつややかな葉の裏には光沢はなく、黒くて固い中央の葉軸から両側のふちに向かって線のような茶色いものがたくさん出ています。茶色の粉のようなものも出てきて、その線のようなものが胞子嚢だと知らなかった私は手で触るとき少し勇気がいりました。森の中で樹の幹や石に着いて成長し、谷を渡るように伸びることからたにわたりという名前になったといわれます。

切った葉の他、観葉植物として鉢でも入手可能で、アビスという名で葉の丈が短いものも出回っています。

長くても1メートル位の葉の長さのものは日本でも見慣れていました。しかしタイのバンコクで、ホテルの持ち主の邸宅の庭でみたおおたにわたりの鉢植えは見事なものでした。中心から放射状に伸びた一枚の葉の長さは1メートル半もあろうかというもので、中心をのぞき込むと幼い葉がたくさん伸びていました。日本でも南にいけばこの新芽の部分を天ぷらにしたり、オイルでいためたりするのだそうです。

戦前に東京の女子大に留学なさったこのホテルのオーナーは、蘭をはじめとして熱帯の木や花がたくさん植わった庭を案内してくださいました。日本から迎えた貴人も、このたにわたりにたいそう興味を持たれたという話を「もう日本語はほとんど忘れてしまって」と言いながらも一生懸命してくださいました。絹の黄色いシフォンのブラウスをふわりとまとったこの小柄な夫人が、たくさんのたにわたりの鉢の間をゆっくりと歩いていくと、気が付いた庭師や従業員の方が尊敬のまなざしで、手を胸の前に合わせて挨拶をし、通りすぎていきました。

木造の高床式の邸宅は今、その事業と遺志をひき継いだ娘さんを中心としてタイの建築と生活文化を見られるような博物館に改装中という話を聞きました。あの,たにわたりはまだあそこにあるのでしょうか。風におおらかに揺られ、心地よさそうなおおたにわたりを見に、バンコクにまた行きたいと思いました。(光加)

 

 

今月の花(5月)しゃくなげ

caffe kigosai 投稿日:2015年4月29日 作成者: koka2015年4月29日

syakunage高原の土産物店の木の皿に彫られたピンクに着色された花は、7、8輪ほどが丸く固まり放射状に葉を従え、まるで女王様のようでした。その花は白山石楠花か東石楠花だったのでしょうか。日本にはもともと6種類の石楠花があるそうです。

いつかこの花をたっぷりといけてみたい、という願いは後年ロンドンのウエストミンスター大聖堂のフラワーフエスティバルに招待された時に実現しました。私の担当は聖堂内のChapel of Holy Ghost,聖霊のチャペル。奥行4メートル、幅は3メートルほどのチャペルにいけばなをという依頼でした。

つつじ科のこの花は、17世紀にアルプスから、後にヒマラヤや世界中の種からとったものをイギリスで交配し、今では西洋しゃくなげとして1000種以上あるといわれます。

ロンドンにある植物園の研究所にある広大な庭の石楠花の一画に案内された時、ピンク、紫、黄色、オレンジ、白い花の中に濃い赤紫色の斑点のもの、赤でも中が白いものなど、地につくばかりに枝を広げ咲き誇っている石楠花にしばし足がとまり、花たちをかき分けながら進みました。

本来なら伸びすぎた枝を切るところを、この催事に使わせていただくため数本はそのままにしておくようお願いしてくださった同じ流派のロンドン支部会員に感謝。さてどの枝をと迷い、吟味する一時は至福でした。

管理の男性は、「そんなに好きならエクスベリーガーデンは行かれました?」と聞いてきました。それは石楠花を愛したロスチャイルド家のライオネル ド ロスチャイルド氏の広大な植物園だったのです。一族の名は、莫大な資産を持ち、様々なビジネスを展開する一族というイメージ以外、思い浮かぶのは家名のついたワインのロートシルトくらいでした。

チャペルには赤い花のついた2m~3mの石楠花を数本選び他の植物といけたのですが、花は長い枝の先に咲くため、思う所に持ってこようとすると、重さでくるりと枝先が回ります。石楠花の花を長い枝つきでいけるのはこちらでも珍しいらしく、華やぎを加えたチャペルで、なるほどこれがいけばなかといわれました。花の周りを囲んでいる葉には毒があるということです。きっと、葉の騎士たちが気高いクイーンをしっかり守っているのに違いありません。(光加)

 

 

カメリア エリナ

caffe kigosai 投稿日:2015年4月11日 作成者: koka2015年4月11日

DSCN2245 「僕、この花大好き!」お稽古の時、クラスの男性メンバーが花材を包んでいた紙をとって言いました。さて何という名前の花だったでしょう?

花やさんの請求書にはカメリアとしか書いてありません。カメリアは英語で椿をさします。枝にびっしりとついている小さな花をのぞき込むと、たくさんの白い雄蕊の先に黄色い花粉がついていて椿とそっくりです。が椿にしては花が小さいのです。

ピンクがぼおっと入った白い五弁の花びらがあり、一人前の山茶花のようにも見えます。花の直径は1.5センチくらいで、下を向いて咲いている花の元には葉が花を支えるようについています。お稽古にとどけられた枝は50センチくらいの長さで枝垂ていました。そういえば去年もこの花材を使いました。蕾もたくさんついていて、花が終わってしまっても次々と蕾が開き、長く楽しめそうです。

クラスのメンバーの一人が「庭があったら植えてみたい」とおっしゃって帰っていかれましたが、すぐにこれはカメリア エリナではないかというメールをいただいたのです。

長くいけばなにかかわっているものの、知らない植物はたくさんあります。まさにこのカメリア エリナもその一つ。それもそのはず、日本に昔からある植物ではなく、1990年代に埼玉の芝道昭氏が中国の椿から作りだした園芸種でパテント商品、つまり許可なしに商業ベースでの栽培は禁じられているのです。植物の著作権ということでしょうか。日本名は姫山茶花といいます。「姫」とつけば本来あるものに比較して小型なものを意味しますが、この植物も椿に似てるというのは当たっていて、椿科でつばき属でした。また、カメリア エリナでも枝が垂れ下がるものはカメリア エリナ カスケードという名がつけられているそうです。

カメリア エリナは生け垣にも適していて、新芽時は葉が赤くなりこれも楽しめそうです。入学したての小学一年生が元気に列になってこの花の咲いている生け垣を過ぎていく、そんな光景がこの花をみていると目に浮かびます。

散りゆく桜をおしんでいる頃、自然はあちこちでまた愛らしい花を咲かせていくのです。(光加)

今月の花(4月)チューリップ

caffe kigosai 投稿日:2015年3月31日 作成者: koka2015年4月4日

チューリップ (4)s

「あら、変わったチューリップ!」教室で生徒さんの声があがります。

緑のなかに赤が混じった花びら、その縁にややフリルのあるまだ蕾のチューリップ。

「咲いた、咲いた、チューリップの花が」に始まる童謡「チューリップ」が生まれた時の花の色は 赤、白、黄色、くらいだったのでしょう。いまではたくさんの色や形が楽しめ、香りのするチューリップもあります。ふつうは一つの球根から一輪の花が出ていますが、たくさんの花がつくものもみかけるようになりました。

和名は鬱金香(うっこんこう、または、うこんこう)といい、江戸時代末に日本に伝えられたといわれます。当時のチューリップの香りは字のとおり、鬱黄(ターメリック)の香りに似ていたからだということです。

原産地は中央アジア、また北アフリカのあたりで、やがてトルコで多くの種類が生まれました。トルコのターバンを意味するTulipamから学名Tulipaとなった歴史はあの花びらのふくらみ具合をみてトルコの人たちがどこか同じ形を想像したからでしょうか。

チューリップはさまざまな花の色や形が際限なく作りだされるようになると、人々を夢中にし、一時はヨーロッパでは投機の対象にさえなりました。

咲いたチューリップは、やがて茎は伸びきり花も大きく膨らんできます。花びらたちに守られた中の空気があふれんばかりになり、花びらもすこし透けてきたなと思ったころ、大きな花びらをつまんでひとつひとつそりかえしてあげます。すると底にある雄蕊とめしべが現れ、最後にいっそう華やかな花の表情が楽しめます。

「もうひと花咲かせる」という言葉がありますが、もしかしてもともとはこういうことだったのではないかと開かれたチューリップの姿に見入ってしまうこともあるのです。

思いがけない表情は、人が関わることにより、咲ききってなお「有終の美」を飾るのかもしれません。(光加)

ういきょうの花

caffe kigosai 投稿日:2015年3月17日 作成者: koka2015年3月18日

ういきょう茎の分岐したその先に小さな黄色の花々をつけ半円球を描くういきょうが咲き始めればまもなく春爛漫を迎えるしるしです。中が空洞な茎は暖かな光を受け、緑の色を深めていきます。数本を集めるとたくさんの緑の線の上に黄色い霞がただよっているかのようです。

中国から渡ってきたういきょうは英名フェンネルといい、茴香と書き、字のとおり手に取ると香りがします。

葉は細く分かれて糸のようになってやわらかく、昔、フランス料理の教室で鮭の料理を習ったとき使ったか細い葉は、当時はまだあまり知られていないういきょうの葉だったと後で知りました。臭みをとるためで、肉料理にも用いられます。

ハーブとして使用する他、日本でも早くから漢方薬として胃薬、利尿剤、痰きりなど広い範囲で使われてきました。

イタリアウイキョウはフィノッキオと呼ばれます。ヨーロッパなどの市場やスーパーの野菜売り場に、短く切られた濃い緑の葉の元に大きくなった白い鱗茎をつけてごろりと並べられます。初夏に訪れて、ああ、この季節だなと思うのはこんな野菜を目にした時です。生の状態でも食べられますが、スープなどで出てくると、同じせり科のセロリのような食感と独特の味で甘みのなかにかすかに苦味もあり不思議な食材です。

フランスのリキュールで度数40度以上というパスティスにも、ういきょうは入っています。パスティスはアニス風味が強く水やソーダで割りますが、独特な味で、マルセイユでは魚介類を入れたスープ、ブイヤベースにもいれるのだそうです。

インドのデリーで飛び切りおいしいインド料理をご馳走になった時のことです。店をでる時、カウンターでサリー姿の知人が銀器のなかの種のようなものをひょいとつまみ「これを口に含むとすっとして口臭防止にもなる」と勧めてくれたのは、フェンネルシード。つまりヒンズ―語でソーンフと呼ばれるういきょうの種でした。その直前に飲んだスパイスとミルクが入っているマサラティーにもカルダモンとともに使用することもあるという説明でした。

花を楽しむほかに様々な用途があり、世界各地で重宝され、しかしどこか不思議さが漂うういきょうなのです。(光加)

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

Catégorie

  • à la carte (アラカルト)
  • 今月の季語
  • 今月の料理
  • 今月の花
  • 加賀の一盞
  • 和菓子
  • 店長より
  • 浪速の味 江戸の味
  • 花

menu

  • top
  • きごさいBASE
  • 長谷川櫂の俳句的生活
  • お問い合せ
  • 管理

スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
©2026 - caffe kigosai
↑