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今月の花(三月) 黄梅

caffe kigosai 投稿日:2019年2月21日 作成者: koka2019年2月21日

紅梅や白梅はよく知っているけれど、さて黄梅はと聞かれると、はて?という方もおいでかもしれません。黄梅はモクセイ科のそけい属で、梅という字はついていますが梅はバラ科に属すので黄梅とは近縁とはいえません。

春に先駆け黄色い花を咲かせる蝋梅、山茱萸、万作、そしてれんぎょうなどの花木の列にこの黄梅も加わります。花は字のごとく黄色で 前述の花木の花たちの中では一番鮮やかで明るい黄色ではないでしょうか。蕾の先が六つに分かれて平たく咲く2センチすこしの花は、四つの稜のある緑色の枝の上に咲きます。高さはせいぜい1メートルくらいにしかなりませんが枝は緩やかな曲線を描いて垂れさがります。落葉樹である黄梅は中国では旧正月近くに咲くので迎春花と呼ばれ、日本には江戸時代に入ってきて庭木として栽培されています。

黄梅の英名は冬のジャスミンをさすwinter jasmine(ウインタージャスミン)ですが、黄色い花にジャスミンのような香りはありません。夏に咲くジャスミンのように愛らしい小さな冬の花という意味を含むのでしょうか。

黄梅は、もう少し季節が進むと黄色い小さな花をさかせる「そけい」と同じ属です。いけばなでは、この「そけい」をよく使います。花材としては緑の葉をたっぷりつけた中に咲く下向きかげんの小さな黄色い花は初夏の花といってもいいでしょう。

黄梅の名がある、「雲南黄梅」という名の蔓そけいは「黄梅もどき」ともいわれ、長い緑の蔓が美しく、いけばなの展覧会で見かけることがあります。

ある時、花のついた蔓そけいだけを使い、大き目の鉢に水をたっぷりと張っていけ、美しい緑の線を自由自在に空間に遊ばせていた作品がありました。ほかには何の花材ももちいていない潔さが蔓そけいだけの持つ美しさを際立たせていて、きれいだなとみとれました。

黄梅が咲いているのを見ると、いよいよ冬に別れを告げ、その先にある春の様々な花たちの光景をやっと思い描くことがでるようになったと実感する頃なのです。(光加)

今月の花(二月) 赤目柳

caffe kigosai 投稿日:2019年1月21日 作成者: koka2019年1月24日

すっかり葉が散った枝にぽつりぽつりと芽が膨らんでいるのは赤目柳です。

枝と同じ赤褐色の小さな芽がだんだんと艶やかに膨らんでいきます。いけばなの稽古に使い始めるのはこの頃からですが、やがてぐっと大きくなった芽が、春を知らせる色とりどりの新鮮な花とともに花材として教室に届けられます。

赤目柳の別名は振袖柳。枝はとてもしなやかで、曲線を作ったり輪にしたりしていけます。のびやかな線をそのまま生かしても美しいものです。太めの枝を切り、切り口に割りを入れて剣山にとめるのも、丈の長い花器には、この柳から添え木を作り先を割って花器のなかにたて、そこにほかの枝を割って交差をさせしっかりとめることができるのも、赤目柳にたやすく裂けない「粘り」があるからで、初心者にもふさわしい花材といえるでしょう。

春の足音が聞こえてくるのはこの柳の芽の鱗片がむける頃。

ツンとした頭の膨らんできた芽を指でむくと白銀色の花穂が出てきます。若い花穂の中心はまだ少し薄い緑が残っていることがあります。やがて、自らその皮を落としていくと、猫の尾のような指触りも気持ちの良い、猫柳と呼ばれるのにふさわしい白銀の花穂が現れます。いけばなに使われる猫柳は、猫柳と山ねこやなぎとの雑種の赤目柳なのですが、猫の尾の形をした花穂をもつ柳を見ればみんな猫柳と呼びたくなります。
 
枝は陽の当った側は赤茶色ですが ひっくり返すと同じところが緑です。どこから陽がさしていたかがわかり陽表、陽裏という言葉を思い出します。

昔ハワイに行ったとき、常夏の国の花屋さんには枝ものが極端に少なかったのですが、乾燥した猫柳がきれいに穂をたもったままありました。保存の方法が悪いとぱらぱらと落ちてしまうので、何か吹き付けたのかもしれません。

柳はバケツの水の中に入れて忘れたころに引き上げると根や、さらに薄緑の葉が出てきます。生命力の特別強い柳は何か動物のような気がします。五センチくらいに大きくなった花穂は最後には中心がぼっとピンク色を帯びてきて黄色い花粉がつきます。手のひらの中にこんな穂をひとつ隠し、友達の前にパッと差し出し、虫だ!といってキャッと驚かせた子供時代を思い出します。(光加)

今月の花〈1月〉 橙

caffe kigosai 投稿日:2018年12月20日 作成者: koka2022年5月14日

十二月も半ば、都心のあるお宅のクリスマスパーティでいけばなを披露することになっていました。ご紹介いただいた奥様の夫君はスエーデンの方で、冬はお客様がお着きになるとこれをまず召し上がっていただくの、とホットワインを出してくださいました。グロッグと呼ばれる暖かい赤ワインのなかにはアーモンドと干しブドウが入っており、少し甘くオレンジピールを入れる家庭もありますよ、という説明でした。

オレンジピールは生ではいただけないオレンジを使うことがあります。いけばなクラスの折にスエーデン人の門下生に聞きますと、セヴィリアオレンジはサワーオレンジ(またはビターオレンジ)と呼ばれ、スエーデンは北国なのでこの種のオレンジがたくさんとれるはずはなく、彼女もスーパーで袋詰めののオレンジピールを購入しているということでした。

サワーオレンジ(酸っぱいオレンジ)ビターオレンジ(苦みのあるオレンジ)という意味を持つこのオレンジは辞書によると橙に相当します。

橙は不思議な植物です。別名の「回青橙」という字が示すように実は熟すと冬に橙色になり、やがてそれがまた緑色になり、数年この過程を繰り返すため「だいだい」という音が代々という意味を持ち代々その家が繁栄するようにと正月にお供えの上にのるようになりました。

温州ミカンを筆頭として日本にはいろいろな柑橘類がありますが、この橙もその特徴の白い小さな花が咲きます。常緑樹で四mくらいにもなるこの木の深緑の葉は青々としていますがうっかり枝を持つと棘があって刺されるのでご注意を。

オレンジオイルが作られたり、マーマレードにしたり、橙を絞って醤油と合わせて自家製のポン酢にする知人もいます。

古い時代に中国から日本に渡来した橙をあらわすcitrus aurantium のことをロンドン在住で植物の勉強を数十年していたIさんに聞いてみました。ビターオレンジは十~十一世紀にムーア人によりスペインにもたらされ、イギリスでは今でもマーマレードとして一番用いられているそうです。十八世紀後半にはスコットランドでも知られ、のちにこの橙を使ったマーマレード会社もいくつか立ち上げられているそうです。

数年前になくなったIさんのご主人はマーマレードを朝食のトーストに山盛りにして召し上がるのがお好きだったとか。それは普通のオレンジのマーマレードだったものの、一番おいしいのはIさんの故郷の静岡の本ゆずをつかったマーマレードとおっしゃっていたそうです。ロンドンのスーパーでも橙が手に入るなんていままで知らなかった。今年は橙でマーマレードを作ってみます、というメールがきました。

地質も気候も違う土地でとれた橙のマーマレード、どんな味がするのでしょうか。(光加)

今月の花(十二月) アロエの花

caffe kigosai 投稿日:2018年11月21日 作成者: koka2018年11月21日

一メートル二十センチくらいの高さがあるアロエの塊が何株も、人気のない家の前に無造作に置かれた一つのプランターに窮屈そうに育っています。私が気が付いてから何年になるでしょうか。

アロエは棘のある肉厚の植物で、葉は粉を吹いたような緑で中央から四方ににょろりと手を伸ばし、その姿は吸盤こそないものの緑色のタコの手のようだ、と子供心に思ったものです。それはいろいろな薬になる、たとえば火傷をしたとき葉をすりおろして塗るといい。見て楽しむという植物でなく、いざというときに役に立つ、そんな植物だからおいてあるのだと大人に説明されましたが、実際にそうして使うことはありませんでした。

よく見かけるものはキダチアロエというアロエの種類なのですが、薬や化粧品などに用いられるのはまたほかの種類のアロエ・フェロクスで、そのほかにもアロエ・バルバデンシスなどがあるそうですが、ではヨーグルトに入っているものはどれなのでしょう。
 
大きな株になり陽の光がたくさん当たるとニューっと茎がのび、フットボールのボールの形の小さな緑色のものがほころんでやがて下からぱらぱらと花が開き始め、集まって長めの円錐を形成していきます。花は円筒状で三~四センチくらいの長さがあり、前にお稽古で使ったトリトマという花の鮮やかなオレンジ色に似ていました。力強さは感じられるものの、いまひとつ地味な存在と思っていたアロエでしたが 花が咲くと太陽を謳歌しているような陽気ささえ感じられます。アロエは南アフリカの原産です。葉は斑がはいるものもあり、棘の付き方も特徴のあるものがあるそうで、予想に反して、いろいろな種類があることがわかりました。

お正月にむけてのあるいけばなの講習会で、ひとつの株のアロエの葉いっぱいに金箔をつけたものが使われたことがあります。本物の金箔ではない、と説明されていましたが、金箔に覆われた様子に、この植物が水がなくても長い時間そのままでいられるという秘めた強さを感じました。地味に見えるアロエも精一杯お化粧をして、新しい年を迎える姿になっていました。

一見引っ込み思案のこの植物ですが、あのラテン系の花を思って今年はひとつ違う華やかな表情をさせてあげようか、と思ったのでした。(光加)

今月の花(十一月) 一位の実

caffe kigosai 投稿日:2018年10月21日 作成者: koka2018年10月21日

秋も深まりゆく高原で、細かく密集している濃い緑の葉の裏に半透明の真っ赤な小さな実がひとつ付いているのを見つけました。葉の先を触ってみると意外にやわらかいものでした。見上げると木の高さは三メートルくらいあったでしょうか。

一位は成長すると二十メートルの高さになるものもあり、木肌の表面は縦に浅く裂けてはがすことも出来ます。実の付くのは雌の木で、同種のキミノオンコと呼ばれるものは 黄色い実をつけるのだそうです。少し膨れた仮種皮と呼ばれている実は上が開いていて種がちらりと見えます。種は毒をもっています。

春たけなわの頃には新芽がもりもりと出てきて その薄緑色は従来からある深緑の葉をうけて生命感にあふれたものとして映ります。花は小さくて目立たず咲いていてもなかなかわかりません。葉の付き方が密なので思う形に剪定もでき庭木にも植えられます。

一位の木は「オンコ」、またアイヌ語で「クネニ」という名前で知られています。アララギとも呼ばれますが、いけばなの大作で時々使うアララギは栂やコメ栂で別の品種です。

昔、母が北海道旅行のお土産といって十五センチくらいの木の女性像を買ってきました。それは、小さな顔の鼻や目ははっきりしていなくて、胸も小さく乳房がツンと上をむき、それに比べて丸い腰が異常に大きいのですが、何ともいえず愛らしい木像でした。「先住民族の人だと思うのだけど、その木を彫っていた顔の彫が深くて眉が濃いおじさんから買ったの」と母は言い、「名前がいいじゃない!これ一位の木というんですって。こうしているうちに手の油で艶がでるんですって」と像を撫でながら付け加えました。

あれから数十年、かの木像は何とも言えない茶色となり、細かい木目は相変わらず美しくて持てば軽く、一位の木が家の柱などの建材に使われるのは硬くて狂いが少ないからというのも納得します。

一位の名の由来は高位の人や神官が使った笏にこの木が使われたからだともいわれます。

女性像を改めて乾いた布でふき、そうだった、手の油ね、とひとなでしました。するりと手に優しい感触に晩秋の高原でみかけた愛らしい赤い実を久しぶりに思い出したのです。(光加)

今月の花(十月)錦木

caffe kigosai 投稿日:2018年9月25日 作成者: koka2018年9月25日

ある年の秋、学校でお稽古に使う花材名が黒板に書かれていました。「錦木」と漢字で書かれた上にカナがふられていました。「ニシキギ?」声を出して読み上げた私は手元の花材を見ました。「故郷に錦を飾る」[錦秋」・・・ニシキと聞いて思い出した言葉に反して、その枝は華やかな語感とは程遠いものに思われました。枝には茶色のコルク質の羽のような翼のようなものが幅一センチほどついていました。枝は矯めると曲がりはするものの、コルク質がぽろぽろと落ちていきます。

学校でのお稽古から数年経た十一月、旅先で、燃えあがるような紅色の葉を大量にまとった木をみつけ近寄って見るとあの錦木でした。翼がしっかりついたあの枝は紅色の葉に隠れていました。その時初めてあの木の名前がつけられたわけを納得したのです。稽古に使った錦木はこの葉を落とした後のものだったこともわかりました。

ニシキギ科の錦木はその枝のコルク質の翼(よく)が特徴で、その様子からか「剃刀の木」という別名があります。少し尖った楕円形の葉はこのコルク質の羽が途切れたところに対生してつきます。秋には太めの茶色の枝に直径数ミリの赤い実が稜の間から下がって裂け、中にさらに小さい赤い種が見えます。檀(まゆみ)や蔓梅擬(つるうめもどき)もニシキギ科で、秋には美しい実をつけ熟すとその中から種が現れます。それに比べると錦木の実はやや小さくて見逃してしまいがちです。紅葉した錦木の葉は落ちやすく、いけ花にはその特徴ある枝を多くつかいます。

私が錦木のみごとな紅葉に初めて出会ったのは京都の古刹。端正なたたずまいに鮮やかなアクセントを加えている三メートルほどの高さの木は「錦上花を添える」という言葉がぴったりでした。紅の葉は束の間の輝きを見せた後、次々と落ちていきます。どこからか漂う落ち葉をたく煙とその香りが鼻孔をくすぐり、この木に出会ったことで私の古都の晩秋の旅は一層印象深いものとなったのです。(光加)

今月の花(八月)桔梗

caffe kigosai 投稿日:2018年7月23日 作成者: koka2018年7月23日

桔梗の蕾を手に取ると私はなぜかつぶしてみたくなります。

秋の木の実の場合だと中に何がはいっているか、種はどんな形か見てみたくなり、指先でつぶすということはあります。それに比べてこれから花開く蕾をつぶしてみたいというのはどう考えても許されるとは思えません。

桔梗の蕾は上から見ると五角形です。横から見ると風船のようで、どこかで見た形だと見つめていると空に浮かぶ熱気球を思い出しました。英語名のひとつは風船をさすballoon flowerです。中心をきちんと閉じた蕾の中は雄蕊や雌蕊のほかは空気しか包んでいません。紫の花がどこか透明感があるのはそのためでしょうか。繊細で上品なこの花の蕾はやがて開くと先端は五つにわかれます。

山上憶良の詠んだ秋の七草の最後に挙げられる朝顔の花が、実際はどの花かいろいろな説がありますが桔梗という意見が大半です。野にある桔梗に出会える機会は年々少なくなっていますがその代りに園芸品種は早くから作られ、白、薄ピンク、八重咲、また斑入りや丈の短いもの、平らに開くものなど様々です。高さは1mにもなることがあり、葉は細い卵型で、裏はやや白く 花のついている先端の茎は細く花は横を向くか、やや下を向いて咲きます。

日本の家紋は植物が多く、そのひとつに桔梗紋があります。五角型の花の形は紋のデザインにもってこいなのでしょう、多くの知名人もこの紋を用い、明智光秀はその一人。加藤清正や太田道灌や大村益次郎の家紋は桔梗をもとにしてデザインされています。

古くは陰陽師として知られる安倍晴明の晴明桔梗紋で、晴明神社にはこの紋が見られます。デザイン化された紋は星の形のようです。五芒星(ペンタグラム)といわれるこの印は魔除けともいわれエチオピアやモロッコの国旗にも似たような形がとりいれられています。これらの国には桔梗はあるのでしょうか。

平昌オリンピック、フィギュアスケートで連続優勝をなしとげた羽生結弦選手の振り付けは、この陰陽師、安倍晴明をテーマにしていました。そういえばすらりとした姿、長い首、透明感のある羽生選手にどこか桔梗のイメージを重ねるのは私だけでしょうか。(光加)

今月の花(七月) 亜麻

caffe kigosai 投稿日:2018年6月21日 作成者: koka2018年6月23日

見渡す限り青い花が咲いている草原に分け入った時「うわ、きれい、なんてきれい!!」という平凡な言葉しか出てきませんでした。

仕事も無事に終わり東京に帰る前日、転任で英国に住んでいる門下生の一家が連れてきてくださったのです。ロンドンから一時間も車を飛ばしたでしょうか。車を広い道に置き、人がやっと通れるくらいの細い道にはいると、そこは一面ブルーの花の野原。

その可憐な花たちの向こうから茶色の小さな犬を連れて歩いてきた男性とすれ違い挨拶をかわしました。ふと気が付くと私たちのほかには誰もいませんでした。青い花野のそこここに、鮮やかな赤いポピーがすっと立っている姿が印象的でした。わたっていく優しい風が時々花たちを揺らしていきました。

青い花の名前を、草月ロンドン支部の前支部長のMさんに尋ねると、それは亜麻という答えがかえってきました。亜麻は「亜麻仁油」をとり、また種は健康食品や食料にも用いられるそうです。

ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」はおなじみで、日本でも同じ曲名の歌が流行ったことがあります。薄い茶色の髪を亜麻色の髪というのだそうです。亜麻色は色としては生成りを想像していただくと近いかもしれません。月の光の色という人もいます。

亜麻は英語でflaxといい、学名はlinum です。フランス語でlin(ラン)、その繊維がリネンになります。亜麻布(linge)と呼ばれるリネンは肌に心地よく、洗濯しても強いことから肌着に用いられ、これを総称するランジェリーの「ラン」もここから来ています。

繊維は空気をよく通す構造になっていて夏は心地よく、昔から今に至るまで衣服はもとよりテーブルクロスやハンカチなど、生活のあらゆる場面で使われます。

一般に麻といいますが、アマ科の亜麻、カラムシ科の苧麻など、植物としては日本古来から存在していた大麻草以外に様々な種類があります。麻布のように繊維にしたものの総称として日本では麻と呼んでいます。

蒸し暑い夏にリネンのハンカチの角にきちんとにアイロンをかけるとき、空の青さを花びらに映したような亜麻の花が一面に咲いている爽やかなコッツウォルズのあの草原をきっと思い出すことでしょう。(光加)

今月の花(六月) 藻の花・梅花藻

caffe kigosai 投稿日:2018年5月24日 作成者: koka2018年5月25日

「梅花藻の花はまだ咲いていないかしら?」
静岡県三島市で折々クラスを開いている私は、場所を貸していただいているお花屋さんの奥様に聞きました。空の青さと白い雲を見ていると本格的な夏に入る予感がしました。
「自宅の裏にももう咲いていますよ。ごらんになりますか?」

三島の梅花藻の郷といわれている場所や、時期には蛍が飛ぶ源兵衛川ならあるいは、と思っていました。この街には富士山の伏流水が二百年近くもたって地上にでたせせらぎがいたるところにあります。新幹線の三島の駅に降り立つと深呼吸をしたくなるのは三島梅花藻を育てているこの水が浄化をしている空気のせいに違いありません。

案内された家の裏にいくときらきら光る水の中に一cmほどの純白の花をつけた三島梅花藻がたくさん咲いていました。きんぽうげ科の白い花の中心は黄色で、長く引く緑色の藻の上で、また水の下で流れに身を任せて揺れていたり、水面に顔を出した花もたくさんあります。緑の藻の上に白い点々をうったような花たちはゆれながら、一輪一輪が夏の空にしっかりと顔を向けて咲いていました。

三島は詩人の大岡信さんの出身地です。昨年亡くなられた大岡さんの詩には水がよく出てきます。清水町には日に百万トンの湧き水のある柿田川湧水群があります。数十年前工場の排水によって汚染されたときには、地元の皆さんによって元の清流に戻そうという運動がおこり、大岡さんも「故郷の水へのメッセージ」という詩を寄せました。今は水質はもとに戻り私はそこで青い羽根をもつ鳥の宝石といわれるカワセミを何度も見ました。魚もたくさんいて、もちろん季節になると梅花藻も花を咲かせます。

清流にしか咲かない潔癖な梅花藻は 年間の水の温度が十四度前後と一定していることを好み、三島だけではなく、滋賀県、兵庫県、福井県などにも群生地があり、皆さんがこの梅のような愛らしい花を楽しみにしていると聞きました。今年もそろそろ梅花藻の白い花の見られる頃です。(光加)

今月の花(四月)菜の花

caffe kigosai 投稿日:2018年3月20日 作成者: koka2018年3月20日

菜の花の黄緑色が少しまざったような黄色いはなびらは、どこか透明感があります。切り取って花瓶にいけるといつのまにか花が陽の方向を向いています。

春の暖かさを待ち望む私たちの気持ちに寄り添うように咲く菜の花。華やかというよりどこか庶民的な花は、雛まつりにも桃と共に飾られ女の子の成長を願います。

茎を抱えるように付く葉は、うす緑の表面が縮れたりねじれたりしていてボリューム感たっぷりです。茎の元は太く、真直ぐに伸びてにいき高さは八十cm前後になります。そして、どこまでも広がっていく満開を迎えた菜の花畑の光景は圧巻です。菜の花には青空が似合います。

菜の花のつぼみのおひたし、からしあえなど食材としての菜の花により興味があるという方も多いでしょう。菜の花の茎を鋏で切る時、スパッと切れる手ごたえに日ごろいけている植物の中でも菜の花は確かに食べられる植物だと私は頷くのです。「菜」は菜っ葉と呼ばれる野菜の葉をさし、もともと主食に添えられるおかずの意味もあります。

菜の花は、種をとって油を搾るアブラナから作られたものです。菜種として結実すると長い実のなかに丸い種があり、これが菜種油の原料となります。種を取った後は肥料や飼料になります。

いけばなでは花の後の菜殻を面白い形として使います。また、乾かして化学薬品で脱色して漂白花材として出まわることもあり、水を必要としないのでどの季節でも作品に使用することが出来ます。

それにしてもアブラナをもととした野菜が何と多くあることでしょう!菜のつく食べることのできる葉、つまり、水菜、小松菜、野沢菜、高菜のみならず、蕪や白菜や青梗菜、ターサイまでが近縁だというのですから。

本当かしら、と疑い深い私はこの野菜たちの花を比べてみれば答えが出るものと思い立ちました。

気が付けば紋白蝶も飛び始め、菜種梅雨という優しい雨の響きも思い起こさせるのもこのころです。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
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7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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