カフェきごさいネット投句(五月)飛岡光枝選

【特選】
カラフルな帽子咲かせて茶摘みかな  涼子

昔は菅の傘だった茶摘み娘も今はカラフルな帽子姿。「帽子咲かせて」に新茶の頃の弾む心が感じられる。「茶摘み」→「茶摘」。

さんざめく十戸の村や初のぼり  隆子 

久方ぶりの赤ちゃん誕生か、初節句に村中の人々が沸き立つ様子。この句の場合「初のぼり」は「初幟」の方が押さえが効く。

【入選】
鯉のぼり一本だけの山の村  弘道

「一本だけ」とすると言いたいことが全て見えてしまい余韻が感じられない。「鯉のぼり一本泳ぐ山の村」。

武具飾りやさしき男の子となりにけり  涼子

「なりにけり」が冗長。「武者人形飾りやさしき男の子かな」。

昼マック空席なしやチューリップ  周作

季語が今ひとつ効いていない。「マクドナルド空席を待つ花の昼」など。

(投句より)
「細胞のきりりきりりと菖蒲の湯」
「きりりきりり」がよくわからない。感覚でとらえたことをしっかり描写すること。

「花の名を写真にとりて教えけり」
「花」は「華やかなもの」のこと。「桜」は華やかなものの代表なので季語の「花」は「桜」をさすことが多い。「花」といっても「桜」でない場合もあるが、「花」にふさわしい華やかさを感じさせなければならない。この句の「花」は季語としての働きをしていない。

今月の季語(6月) 茂(しげり)

〈若葉〉より〈青葉〉、〈新緑〉より〈万緑〉と呼ぶに適う季節となりました。日に日に〈緑〉がむくむくと膨れ、濃く、深くなっていくのを見ていると、何かぞくぞくしてきます。

不二ひとつうづみ残してわかばかな  蕪村
起立礼着席青葉風過ぎた     神野紗希
摩天楼より新緑がパセリほど   鷹羽狩行
万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男

「若」「青」「新」「万」と、これらはどれも緑を讃える、積極的肯定的といえる季語です。同じように鬱蒼たる植物の生命力を表しながら、肯定も否定もせず、そのまま受けとめる感覚の季語もあります。

例えば〈茂(しげり)〉。木々の生長が著しいさまを指します。葉と葉が結ぼれて、闇を擁するようにもなります。

だんだんに一目散に茂りけり        綾部仁喜
木下闇木下明りも熊野道           後藤比奈夫

そういう状態になってくると、条件が悪くなって病む葉も出て来ます。

櫨の木の火の病葉(わくらば)を舟の上   石田勝彦

もっとも、冬でなくても木々は葉を落とします。私たちの髪が抜けるのと同じく新陳代謝の一環です。夏季の落葉はそのまま〈夏落葉〉と呼びます。

弾み落つ月の出頃の夏落葉      斎藤夏風

草もまた樹木同様猛々しいほどに生長します。草には〈草茂る〉を使います。

人通る幅を残して草茂り       木村定生

夏に茂る草の総称として〈夏草〉、蔓が絡みながら繁茂する草を〈葎〉と使い分けることもできます。また、茂った草がむんむんと匂いを放つ状態を指す〈草いきれ〉も季語として使えます。

夏草や兵どもが夢の跡           芭蕉
絶海の蒼さ葎ののぼりつめ        野澤節子
草いきれ貨車の落書き走り出す    原子公平

〈草の花〉が秋の季語であるように、野が繚乱の花盛りを迎えるのはまだ先ですが、夏の光の中に花を掲げている草も多いです。丈の高い草では〈虎杖(いたどり)の花〉〈羊蹄(ぎしぎし)の花〉〈竹煮草(たけにぐさ)〉等々。

虎杖の花に熔岩(らば)の日濃かりけり    勝又一透
雨呼んで羊蹄の花了りけり                 星野麥丘人
竹煮草たたきて山雨はじまりぬ              鷲谷七菜子

蔓になって四方八方へ広がりつつ花をつけているものも。

蛇籠より蛇籠へ渡り灸花(やいとばな)        高野素十
昼顔に電流かよひゐはせぬか             三橋鷹女

また足もとにはこんな花盛りも。是非屈んで見つめてください。

かたばみや何処にでも咲きすぐ似合ひ    星野立子
しじみ蝶とまりてげんのしようこかな        森 澄雄
そろひたる立浪草の波がしら            片山由美子
捩花はねぢれて咲いて素直なり         青柳志解樹
どくだみのいま花どきの位もつ            山上樹実雄

(正子)

今月の花(六月) 薔薇

百年以上はたつとみられるオリーヴの樹々は、どれもどっしりと構えていました。幹に洞があったり、低く唸るかのようなその佇まいに、樹々を過ぎていった月日が思われました。オリーヴのスモークグリーンと一面緑の萌えたつ草のなか、T氏のお宅を囲むように赤やピンク、黄色や白の大小の薔薇が一株ずつ咲いていました。

薔薇を植えているのは、T氏がオリーヴオイルと一緒にワインも作っていることと関係があるのかとふと思いました。ブドウを育てる時、必ず近くに薔薇を植えるのは大切な木に虫が付いていないか、植えておいた薔薇でまず見るためと聞いたことがあります。

ローマから特急で一時間と少しの丘の上の街、オルヴィエートは美しい大聖堂と中世からの古い街並みと白ワインで知られています。訪れた日曜日の翌日は日本でいうメーデー。レストランも閉まっているからとT氏は自らパスタ料理を作ってくださり、珍しいチーズ、野で摘んだというセルバチコ(アスパラガス)のお浸しを用意してくださいました。セルバチコは今まで味わったことのないほど柔らかくて、その優しい味はまさに自然からの贈り物でした。

T氏は昨年知り合ったある女性の弟君です。昨年他界された彼女のご主人をはるか昔、私が少し存じ上げていたご縁でこの街を訪ねることになったのです。初対面の私たちの話題は義理の兄上のこと、弟のところにぜひ、といってくださった姉上のこと、そして植物の話になりました。

長旅の途中とはいえ、たいしたお土産も持参せず休日に伺った上すっかりご馳走になってしまった私は、せめてなにかお礼の気持ちを表せないかと思いました。

「花をいけたいのですが、薔薇をすこし切らせていただいてよろしいですか?」突然の申し出にもかかわらず快諾をいただき、早速薔薇とオリーブの枝をすこし切ってきました。家の中で大小の筒状のガラスの花器を見つけ、小さい方を大きい花器の中に入れてみました。そこに直径十センチ近くあろうかと思うような今まさに満開の薔薇を一輪いけ水をそそいでいくと、茎の赤茶色の棘がますます大きく見えていくのです。Tさんは、棘とか根とか面白いですよねといいながら見ていました。

黄色い大輪のバラの縁の落ちそうな花弁をちぎった瞬間、立ち昇る強い香に私は圧倒されました。薔薇水とか、薔薇の花弁のジャムを思いついた人たちはこんな経験が元になっていたのでしょうか。遠くから見ていた女王の裾にまさに触れた思いがしました。重なった二個の花器の隙間には赤い縁取りの黄色い花弁を入れていきました。ワインの瓶や和皿も次々と庭の薔薇をいける花器となり、また新しい薔薇の表情に、ここオルヴィエートで出会いました。(光加)

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会 4月

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。4月の兼題は「カフェきごさい」サイトより今月の季語「春のバラ科の花々」料理「葉山葵のお浸し」花「スイートピー」です。
【特選】
スイートピー迷路のごとき蔓を追ふ 今日子

マメ科であることを再認識させられる宿根草スイートピーの蔓。蔓を迷路と捉えた一句。ただ「追ふ」では意味不明。「スイートピー迷路のごとく蔓のばし」。

白藤の木下に眠れ孕鹿  隆子

白藤のぼおとした空気感と子を宿した鹿の倦怠感が呼応する。「木下」が強いので藤の花が消されてしまう。「白藤の下に眠れる孕鹿」。

子に送る粽をきりりと結びけり  弘道

子供の健康と幸を願う手作りの粽。この句の粽を結ぶ表現としては「きりり」よりぴったりなことばを探したい。「を」はいらない。

【入選】
こでまりの垣根に弾む新居かな  隆子

弾むこでまりに新しい暮らしへのわくわくする心持ちを託した。「垣根」は不要。

点々と置かれし碁石浮寝鳥  周作

浮根鳥が碁石とは面白い。ただ、浮いている柔らかい鳥が石とは少し無理がある。

花衣脱ぎて母の割烹着  弘道

花見の余韻に浸る間もなくすぐに日常へ。これが母の強さかもしれない。「脱ぎて」がいかにも説明。脱がなくてもいいか。

八重桜雨に重たき日曜日  涼子

なにげなく置かれたような「日曜日」が思いのほか効いている。

さみどりの山河かをれる新茶かな  隆子

「かをれる」がたどたどしい。ストレートに表現した方が句の内容に合う。

友無事や花菜漬の届かざり  弘道

毎年の花菜漬が届かない。「友いかに」。

蔓先は虹を恋ふかにスイートピー  隆子

どこまでも伸びようとする蔓。「蔓の先」。

山葵田を巡りて青い風となる  今日子

この中七下五には「山葵田」より合う季語がありそう。「青き風」。

制服の折り目正しきスイートピー  周作

制服の清潔感と青春性がスイートピーによく合う。

ゆすらうめ鳥の止まれば花こぼれ  光枝

今月の料理(六月)酢蕨

 子どもの詩に、校庭を掃除する時は広いなと感じ、遊ぶときは狭いなと感じるといった内容のものがありました。同じ分量のものでも、人間好きなものといやの物とでは全く感じ方がちがいます。美味しいもや好きな物が乗ったお皿はアッという間に空になるのに、嫌いなものや不味いものが乗ったお皿はなかなか空きません。

季節もまた同じ。さわやかな五月は瞬く間に去ってしまい今月はうっとうしい梅雨の季節です。最近は春や秋の過ごしやすい季節がことに短くなったように感じます。コートを羽織りたいくらいの日があると思えば、半袖がほしい日もあります。外出のさいは上着や雨傘など手荷物も増え煩わしさが増す感じですが、梅雨は文字の通り梅を太らせ稲を成長に導いてくれます。そう考えると日本にはなくてはならないものかもしれません。

今月の料理は梅からとった酢でつけ汁をつくり、灰汁を抜いた夏わらびを漬けます。青梅を漬けた醤油は爽やかな風味と軽い酸味が特徴で作っておくと重宝します。以前、梅を味噌に漬けた梅味噌も作った事がありましたが梅醤油のほうが出番が多いようです。胡瓜や水雲の酢の物など出汁で割れば簡単に出来ますし、冷蔵庫に入れておけばかなり長持ちします。

最近は手に入りにくかった山菜などちょっと気の利いたマーケットで見かける事があります。手に入れる事ができたらお試し下さい。

【作り方】
梅醤油は梅を瓶にきっちりといれます。
瓶一杯に梅入れお醬油をそそぎキッチンペーパーを被せて保存します。
数日で梅のエキスが出てきたら出来上がりです。
灰汁を抜いた蕨を適当な長さにきり、梅醤油と出汁を注ぎ半日もすれば
食べごろに漬かります。酢が入っているので日もちします。

a la carte_茶摘み

日本有数のお茶の産地、八女にある茶畑に行きました。
今年は春に気温の低い日が続き、例年よりすこし遅れて
茶摘みが行われていました。
ここでは玉露の茶葉を育てておられ
年に一度だけのお茶摘みです。
(煎茶は二番茶、三番茶を摘みますが玉露は一番茶だけ)
煎茶用の茶葉と違い
玉露にする茶畑は、お茶摘みの20日ほど前から
稲わらを編んだもので被覆されます。
覆う事で日光を遮り、茶葉が薄く大きくなり旨みが増すとの事です。
ここにある約千本のお茶の木を20人ほどの人々が手際よく摘んでいきます。
玉露にする葉は先端の柔らかい部分しか摘まない為に
千本の木からの茶葉の収穫量は35キロほどで
製茶されると、その一割ほどの量になるそうです。
茶園主の「お茶の葉が静かでひんやりとしている間に
ひといきに摘むんです」という言葉に
お茶に対する思いの深さを感じました。
近年は欧米の高級レストランでも食事の終わりに
玉露を出す店があり
八女のお茶も世界に広まりつつあります。(真知子)

よき風の山よりきたる茶摘みかな  真知子

カフェきごさいネット投句(四月) 飛岡光枝選

【入選】
京ことば行きては帰る花朧  弘道

花時の夕暮の艶めいた雰囲気を表現。京の人ではなく、ことばに焦点を当てたところが新鮮。

花すぎの一人の夕餉むし鰈  隆子

「花過ぎ」の空気感と、ほろほろとした「蒸し鰈」の質感が合う。「花過ぎのひとりの夕餉むし鰈」。

炊きあげて卓に野の香や豆ごはん  隆子

豆ごはんは目にも爽やかだが、その香りもご馳走。

つぎつぎと寄せて枝垂るる桜かな  周作

「寄せて」がわからない。「つぎつぎと咲いて枝垂るる桜かな」。

笑い皺美しき人なりスイートピー  涼子

スイートピーは可愛らしい花だが、なぜか若い人という感じはしない。「笑ひ皺美しき人スイートピー」。

(投句より)
「特大の山葵伏流水育ち」
意味はよくわかるのだが、ことばの扱いが少々雑でどこに思いがあるのかが伝わらない。

「春の野をボンネットバス走り過ぎ」
破たん無くできているが、「春の野」という季語がこの句では茫洋としてしまい、ただの情景説明になってしまった。もう一歩踏み込んだ季語が必要。

今月の花(五月)都忘れ

名前を聞いただけで、その植物の性質が推し量られるものがあります。

丈がせいぜい四十cmの都忘れは、直径三cmほどの花を茎の頭頂につけます。覗いてみれば中心の筒状花は黄色く、その周りをとりまくはなびらの元はきゅっと絞られています。小さな花弁は薄紫、白、ピンク、濃いめのピンクなどがありますが、花屋さんでの切り花や鉢植えでは濃い紫が多く見かけられます。やや艶のある葉は、キク科に属す植物の特徴のひとつである切れ目があります。

都忘れは、もともと野春菊ともいわれる「みやまよめな」から園芸種として改良されたもので、日本が原産です。

小学生のころに住んでた家の小さな庭は、連翹が散り、桜の最後の花びらが数枚どこからか舞い込んでくるころ、薄い紫の都忘れが咲いていました。この花は早春から咲く種類もあるといわれますが、我が家では少し遅く咲きました。春のけだるさをその薄紫の色に現しているようで、私の好きな花のひとつでした。

庭の手入れを特別にしていた記憶がなかったのは、仮住まいだったせいもあったのでしょうか。幼い私はそんなことを知るはずもなく、都忘れを庭から勝手に切ってきて、鼠色の深めの鉢にたっぷりと水をいれ、そこにそのままさっといれていました。可憐な花とともに、少し濃くなった葉の緑は水の中に入ったものはことのほか瑞々しく見えて、子供心にも少し汗ばむ季節の到来をどこかで感じていたのでしょうか。

順徳天皇(1197-1242)は百人一首の最後の歌の作者として知られています。「ももしきや古き軒端のしのぶにもなほ余りある昔なりけり(順徳院)」という歌は多くの方がご存知です。晩年には佐渡に流された順徳院は、こんな歌も詠んでいることを知りました。

いかにして契りおきけむ白菊を都忘れとなづくるも憂し

四十六歳で佐渡で崩御した順徳院が愛でた花は、私たちが今見ている都忘れとは違う花かもしれません。しかし愛らしい白い花が都を忘れさせてくれるのは、外に向かって華やかに語りかけるのではなく、なぜか人の心の内に向かって染み込んでいくようなこの花の魅力ゆえだと歌われているのであれば、現代の都忘れにもその面影が残っていると思われてくるのです。(光加)

今月の季語(五月) 端午

五月五日はこどもの日。そして立夏です。今年二〇一七年の場合は、と付け加えておくのが正確でしょう。〈こどもの日〉は政府によって定められた休日として、カレンダー上に赤色で記されている日ですから、毎年この日です。一方〈立夏〉は二十四節気の一つですから、日付がずれることもあるのです。

小鳥屋に兎も亀もこどもの日     成田千空

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ  石田波郷

今、五月五日=端午の節句なのでは? と思いませんでしたか。〈ゴールデンウィーク〉の空には〈鯉幟〉がはためき、家の内には〈武者人形〉や兜などの武具が飾られます。そして和菓子屋のケースには、〈粽(ちまき)〉や〈柏餅〉が並んでいるのですから。

寝袋をかつぎ黄金週間へ    滝沢伊代次  ※黄金週間は、〈春〉

畳まれて眼の金環や鯉幟    有働 亨

雀らも海かけて飛べ吹流し   石田波郷

東京は墓多き街武具飾る    田中裕明

粽解く葭の葉ずれの音させて  長谷川櫂

生きてゐることに合掌柏餅   村越化石

〈端午〉の五月五日は本来は旧暦の五月五日です。今の暦に移すと、今年は五月三十日がその日にあたります。ただ、三月三日の上巳の節句(雛祭)を新暦の三月三日に祝うように、端午の節句も、何の疑いもなく新暦で祝っている私たちです。五月三十日には柏餅ももう買えませんし。毎年のように新暦旧暦が取り沙汰されるのは、今では七夕くらいでしょうか。

菖蒲の日父子のごとくに舟を寄せ  友岡子郷

端午の節句を〈菖蒲(あやめ)の日〉とも言うのは、菖蒲を軒に吊したり、湯に入れたりするからです。菖蒲と尚武(しょうぶ)の掛詞ですから、あやめという優しい響きに反して勇ましい季語です。

〈菖蒲(しょうぶ/あやめ)引く〉は端午の節句に使うため、水辺で菖蒲を刈ること。

菖蒲ひく賤の子すでに乙女さび   飯田蛇笏

〈菖蒲葺く〉は五月四日の夜、軒に菖蒲を葺く風習を指します。火災避けのまじないでもあったようです。

色町にかくれ住みつつ菖蒲葺く   松本たかし

そしておなじみの〈菖蒲湯〉は、五月五日に菖蒲を浮かべてたてる風呂のこと。

さうぶ湯のさうぶ寄りくる乳のあたり  白雄

菖蒲の季語は思いのほか多く、このほか〈菖蒲酒〉〈菖蒲の帷子〉〈菖蒲の鉢巻〉〈菖蒲兜〉〈菖蒲刀〉〈菖蒲打〉〈菖蒲の根合せ〉〈薬玉〉等々。〈六日の菖蒲〉というものもあり、これは〈十日の菊〉に似ています。翌日の何かを珍重したり、役立たずと呼んだり、ご先祖さまの発想は愉快です。

ちなみに端午の節句の菖蒲は〈花菖蒲〉とは別物です。花菖蒲はアヤメ科、菖蒲はサトイモ科。アヤメ科のほうは、大きな蝶のような花を頂に掲げますが、サトイモ科のほうは花茎の中ほどに黄緑の小花を穂のように密生させます。水辺へ菖蒲を引きに行くときは、間違わないようにご注意。

乾坤に根引きの菖蒲よこたはる   三橋敏雄

てぬぐひの如く大きく花菖蒲    岸本尚毅

(正子)

 

今月の料理【五月】 新茶の天麩羅

以前、茶所静岡の友人と話をしていた時のことです。新潟は言わずと知れた米どころ、二人でお茶の話とお米の話に暫し花が咲いたのですが、ふと彼女がもらしました。「お茶とお米の味にうるさくなると年をとたった証拠だそうよ」確かに若い時を振り返れば、食べ物の話の中でお茶やお米などしたことはなかったように思います。お茶と言えばコーヒーや紅茶などで、あそこのお店はお米がおいしいから食べに行こうなどと言う発想は全くありませんでした。

最近は出汁が引けているか、ご飯がおいしいか、漬物はどうかなどなんだか重箱の隅をつつくような所が気になり、二人で「これではまるで口うるさい姑か意地悪ばあさんね」と大笑いです。

さて、その茶所では詰んだばかりのお茶の葉をそのまま天麩羅にして食べるそうですが、新潟は村上がお茶の北限、なかなか生の茶葉を手に入れるのは難しいようです。そこで頂いた新茶を楽しんだ後の茶葉の水分をとり、出盛りの新玉ねぎとかき揚げに。出来ればお茶は一煎のみにして開いた葉を使うとと香りも残り扱い易いと思います。

 【作り方】

お茶の葉は軽く水分を取っておきます。

玉葱は薄くスライス。人参は千切りに。

材料をすべてボールに入れ軽く小麦粉をふっておきます。

別のボールに小麦粉と冷たい水を入れ衣作ります。

油を熱し材料を入れたボールと小麦粉を溶いた衣の液を合わせ
180度の油で揚げます。

 【材料】
お茶の葉 新玉葱 人参 天麩羅油 小麦粉 水
分量は普通の天麩羅の要領で

         とんとんと袋に詰める新茶かな       善子