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a la carte_くちなし(あかね科)

caffe kigosai 投稿日:2013年6月21日 作成者: koka2014年6月21日

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 くちなしの花はその限りない白さと甘い香りで、青葉の時期にその存在をアピールします。

 くちなし、といわれて思い出すアメリカ映画、それはヴェネツィアに一人で休暇にやってきた、もう若いとはいえないアメリカの女性の物語。キャサリン・ヘップバーンが個性的な魅力で、この年頃のゆれる女心を見事に演じています。サンマルコ広場のカフェで、ロッサノ・ブラッツィ扮する妻子もちのイタリア男に声をかけられ、やがて数日間の恋へと発展します。好きな花は、ときかれ(くちなし)と答える彼女。ますます深まる2人の仲。やがてこれではいけないと気がつく彼女は、国にかえらなければと彼に別れを告げ、運河を航行する蒸気船ヴァポレットにとびのり駅に向います。

 駅から汽車が発車していく場面、息せき切って駅に駆けつけたロッサノ・ブラッツィを残し、彼女を乗せた汽車が遠ざかる。窓から身を乗り出した彼女は、胸いっぱいの思いで駅を見つめると、プラットフォームを走る彼を見つける。速度を増す汽車に、もう間に合わないと諦めた彼が持っていた箱からとり出して彼女に向ってかざしたのは、純白のくちなしの花でした。それがわかった彼女が、手を大きく振る姿でこの映画は終わります。

 一重や八重のくちなしの花。その花が美しいのは長くても一日、すぐに茶色くなってしまいます。所詮、旅での行きずりの恋も同じ。でも真白なくちなしの花は、彼女の心に長く残ることでしょう。この「旅情」(Summer time in Venice)という映画にくちなしを選んだのは、脚本も担当したデヴィッド・リーン監督にちがいないと思っています。「アラビアのロレンス」、「ドクトルジバゴ」、「戦場にかける橋」、「逢引」ーー 巨匠といわれるゆえんです。

 くちなしの花で思い出すことがあります。旧知の染色作家のご夫婦の紬の展覧会でのこと、私はある紬の前で長い時間たたずんでいました。それは、黄色い線が何本も入り、その繊細な黄色が層となった紬の訪問着でした。黄の色合いが深いだけでく、その色の度合いが微妙に異なりさまざまな光を発していました。

「くちなしの実からとった染料を使うと着物に虫がつかないんだよ」染色作家のそのことばは、子どもの頃庭でくちなしの花を切ろうとして、大きな虫をみつけ飛び上がったことのある私には意外でした。くちなしの実で染めたその紬は、なけなしの財布をはたいて手に入れた、自分で買った初めてのきものとなりました。

 実を結ぶと、くちなしの役目は違う方向に展開していきます。染められたものには虫がつかないという特徴を生かした染色のほか、きんとんの色をつけるのにも用いられるように食品にも、また漢方薬にもつかわれます。デビッド・リーン監督は花が終わった後、実になってさまざまな場面で役立つくちなしの事を知っていたでしょうか。

 キャサリーン・ヘップバーンはその後多くの映画に出演し、天寿を全うしたそうです。(光加)
 

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a la carte_すいかずらの花(すいかずら科)

caffe kigosai 投稿日:2013年5月23日 作成者: koka2014年6月21日

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 初夏から夏にかけ野原を歩いていくと、白くて小さな花をたくさんつけ、つる状になって他の植物にまきついている植物をみかけます。これがすいかずら、別名忍冬と呼ばれます。緑の葉のままで冬を文字通りじっと耐え、やがて開いた花には蜜があるので生きものたちをひきつけます。花ははじめは白ですが、あとで黄色くなるため金銀花ともよばれます。

 この仲間には(つきぬきにんどう)と呼ばれる赤い花のものがあります。小さい葉が寄りあった中からまるで花が突きぬいて咲き出てきたような様子から、この名がついたといわれます。このアメリカ原産のものも日本原産のもの同様に切ってしまうと花の持ちはよくなく、切口をたたき酢につけていけると少しは長く楽しめるでしょう。

 アメリカ在住の友人にきくと「ああ、庭にあるけれど蜂がよく寄ってきているわ」というのです。白と黄色が一緒に咲くというので間違いなくすいかずらでしょう。英語名ですいかずらはJapanese Honeysuckle。そういえばHoneysuckle Rose、ハニーサクルローズという歌がありました。(詞Andy Razaf、曲Thomas Fats Waller)

君が僕といるとミツバチたちは やきもちをやくよ。
でも 蜂たちをせめたりはしないよ。ハニーサクルローズ 
君が通ると 花たちもうつむいて ため息
なぜなら 君は花たちよりずうっとスイートだからね

このあと(砂糖など買わなくていい、君は僕の砂糖)という風に歌は続いていき,果ては(君はお菓子)とまでいってます。日本語に直せば気恥ずかしくなる歌も調子のいいリズムを聞いていると なんだか楽しくなってくる歌です。
 
 Honeybee=ミツバチ Honey=蜂蜜、恋人。この恋人という意味を取り込んだHoneysuckle Rose。
じゃ最後についているローズは?そんな名のついた薔薇は辞書にも見当たりません。

 アメリカの友人はローズという女の人の名前じゃないの?といいますが、作詞のとき、言葉を合わすためではと推理してしまいます。ハニーサクルローズ と呼ばれた人はきっと彼の腕にそっと腕をからませるような可愛い人なのでしょうね。

 藤原定家の式子内親王の墓に巻きついたといわれる定家かずら(きょうちくとう科)、などと比べるとスイカズラなど、それこそかわいいものです。また秋に赤い実をつける美男かずら、という植物もあります。こちらはその昔男性がこの蔓からの液を髪を整えるのに使用したとか。かずらと呼ばれる巻きつく植物には色々と物語がありそうです。(光加) 

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a la carte_ におい蕃茉莉(なす科)

caffe kigosai 投稿日:2013年5月10日 作成者: koka2014年6月21日

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 4月も半ばになる頃、我が家の鉢植の「におい蕃茉莉(ばんまつり)」の枝から紫色の新芽が次々と出てきます。この木は切花として店でみかけることはありませんが、初夏には時々鉢として出回っています。

 花ははじめは紫色で、その中心に少しだけ目のような白い部分があります。紫からだんだん白へと色がぬけるので、紫、薄い紫、白と、変化する花が同時に枝についている様子はたいそう賑やかです。

 白などの薄い色から他の色に変化する植物は、薄墨桜や酔芙蓉などがありますが、濃いめの紫から白というのはなかなかありません。

 花盛りのときは、夜ベランダに出てみると闇の中でも蕃茉莉が咲いていることがわかるくらいの香りがあります。

 「蕃」という字は茂るという意味のほか、未開の、とか外国の、という意味があります。この花の原産地は南アメリカあたりといわれ明治の末ころに日本に入ってきたのではないかという事です。「まつり」の「茉莉」という字は、茉莉花茶などを想像されるかたもあると思いますが、茉莉花、ジャスミンとは違う種類です。

 英語名は Yesterday、Today&Tomorrow (昨日、今日、明日)ですが、花の色の変化を見ればなるほどと頷けます。そういえば、同じ名の題名をもつ(昨日、今日、明日)(Ieri, Oggi、Domani)イタリア映画がありました。ソフィア ローレン主演。相手役はマルチェロ マストロヤンニ。3話の中のひとつの話で、ソフィアふんするアデリーナは戦争がえりの亭主をもち闇のタバコを売って生計をたてる役です。取締りの警察に捕まるたび、妊娠中は収監ならずという法律をたてに、次から次へと妊娠し刑務所行きを免れる妻を演じていました。

 我が家のにおい蕃茉莉も、枝が折れたり半分枯れたようになったり、今年はいよいよだめかと思っていると、ちゃんと花を咲かせてくれる実にたくましい木なのです。さてこの5月はどんな花をつけてくれるでしょうか。(光加)

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a la carte_カーネーション(なでしこ科)

caffe kigosai 投稿日:2013年4月26日 作成者: koka2014年6月21日

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 母の日の贈りものは、やはり花が多いとか。なかでも定番のカーネーションは、今では赤いものだけでなく、バイオ技術のおかげで紫や青に近いものや、形も大きさもさまざまなものがあります。

 母の日にこの花をおくる起源は、亡き母をしのんで集まってくれた知人たちに、娘が白いカーネーションを配ったというアメリカでの話で、20世紀の初頭のことです。

 メキシコのある街にデモンストレーションに行ったとき、市長主催の歓迎晩餐会に、主賓として招かれました。3日前に助手と一緒に日本から到着、次の日メキシコ市で慣れないテレビに出演というプログラム。それが終わると休む間もなく、用意された車にスーツケース、メキシコ支部から拝借した花器や道具が積み込まれたのを確認し、数時間かかって次のデモンストレーションを行うこの街に到着したのでした。時差もあり3日目は疲れきっていました。

 陽もすっかり落ちた頃、市長公邸につき、足元を照らす灯りにいざなわれ、ドアのところでは赤いモールに白手袋の制服の武官から敬礼をうけ、一挙に緊張しました。晩餐会という情報に 普段は海外には持っていかないきものに着がえてよかったと思いました。

 広いダイニングに入ったとたん 目を捉えたのは 壁にかかげられた、横が120センチくらいの大きな日本の国旗でした。近づくとそれは全部赤と白の生のカーネーションで出来ていたのです。席に着いて見回すと 80人と聞いていた招待客の中には日系の方たちもたくさんおいでになることに気がつきました。

 食事が終わると、数名の日系のかたたちが私に近づいてきました。「よくこの街まではるばるおいでくださいました。私たちはずっとここで花を作っています。市長公邸での晩餐会に招かれたのは初めてです。先生のおかげでいい思い出になりました。」

 私は戸惑いました。感謝される人は他にいる。首都だけでなく、ぜひ地方の都市でもいけばなを見せたいといってこの街をプランに入れた国際交流基金のTさんを振り返りました。

 カーネーションは節のところで折れやすいのですが、花首のみの使用であれば水につけなくても半日はしおれる事はありません。日本のホテルでも社長就任のパーテイーで大勢の人の中から社長の位置をあらわすため、カーネーションで作られたボールを棒の先にさし、後ろで人が高く掲げているのを見たことがありす。

 この日系の方たちは市長主催の大事な晩餐会での万一の事を考えて、始まる直前まで自分たちの栽培した花で作った国旗を点検していたに違いありません。お礼を言わなければならないのは、そのことをよくわかっている私なのでした。

 この日のために選りすぐられ、心をこめて作られた赤と白のカーネーションの日本の国旗。それは間違いなく日本の国を誇っているようでした。皆さんに会え、いけばなをしていてよかったとあらためて思ったのでした。(光加)

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a la carte_デルフィニウム(きんぽうげ科)

caffe kigosai 投稿日:2013年4月19日 作成者: koka2014年6月21日

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 花をびっしりとつけたデルフィニウム。その茎をしっかりもって真逆さまにして、水差しの細い口から直接に茎の中に水を流し込みます。紙をつめてふたをして、水に戻す。茎が中空で、丈の長いこの花の水揚げをする時によく使う方法です。

 園芸種も多く、濃い青のほか、空色、白、濃い紫、藤色、近頃では黄色やピンク、赤に近いものも見かける事があります。

 デルフィニウムという名はヨーロッパ的な響きを持ちますが、ギリシャ語で(イルカ)をさす言葉から発生したといわれます。それは、種類の多いこの花のなかにギリシャ産のイルカに似た形のものがあったからだそうです。デルフィ。確かに英語のドルフィン(イルカ)という言葉が浮かんできます。

 「大飛燕草」というという別名があるのは、花被片が伸びて距になり、花がツバメが飛んでいる形ににているから、と本に書かれていました。距とは花弁やガク片の一部がくぼんで突き出したものを呼ぶそうです。どちらかといえば平たい形の花ですが、鳥や動物にたとえられているのですね。

 たとえ一本だけでも丈高くいけられていると、その空間に一緒にいると贅沢な気分にさせてくれるデルフィニウムですが、気をつけなければならないのはその背の高さと、先ほどあげたように茎の中が空洞のため折れやすいという事です。しっかりさせるため、状態を見ながらワイヤーを茎の中に入れることもあります。

 下の部分から花は咲き終わっていきますが それをつめば、まだ充分綺麗な花がたくさん残ります。一輪だけとっても色々と応用ができます。

 ポルトガルで、リスボン在住の日本の方のお宅にお昼に招かれました。セットされたテーブルの中央には一枚の黒漆の板。ブルーの大小10輪ほどのデルフィニウムの花が、白い薔薇とともにその上にちりばめられていました。庭から切ってきたばかりのグリーンのアイビーがその間をリズミカルにぬって繋いでいました。

 線と色とボリューム。漆塗りの板の平面を最大にいかし、黒い色に映えるようにたくみに配された敷き花は、これも日本のいけばななのです。

 何日かいけられていて、すでにたっぷりと水を含んだ花を 思いきって茎から離して再利用すれば 又違った面を見せてくれます。デルフィニウムだけでなく、そういう花を使えば、種類によっては2~3時間なら水なしでもこんな表現も可能です。

 仕事の旅の途中での久しぶりの和食。花の知識と知恵を持つ女主人の心配りに、すっかりくつろいだリスボンの昼下がりは時がゆっくりと流れていきました。(光加)

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a la carte_板屋楓(かえで科)

caffe kigosai 投稿日:2013年4月17日 作成者: koka2014年6月21日

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 文字通り板張りの屋根のような、そんな葉の重なりが特徴の板屋楓。作品としていけようとすれば、都会住まいの私は、花屋に注文しないと入手できません。花屋からはほとんどの場合、切られた枝ではなく、木の根を布で巻いて養生されて持ってこられます。

 そこから直接枝を切って作品に使うのですが、私はできることなら全部切らず、最低でも幹と主な一本は残しておきたいと思います。切ったあとで根ごと土に戻し、やがて枝が大きくなり、また使えるようになればと願います。枝を切ってからいけるまでの時間を、なるべく短くしないとしおれてしまうのが楓やもみじです。

 ある詩人のお宅でテレビの取材があり「何か花をいけておいてくださらない?放送は5月にはいってからだけど」といわれ、数十年お世話になっている先生と奥様のところに道具一式をもってかけつけました。「絶対、板屋楓だけはいけたいのでお願いね」と、使用する花材のリストを花店に送り念をおしました。そして撮影当日、私の背より少し低い葉つきのいい板屋楓が根つきで届けられ、私はその家にあった備前の大きめな壷にこの楓をたっぷりといけました。

 詩人の穏やかな表情の背後に映る新緑は、我ながらいい選択だったとモニター画面をチェックしながら思ったものです。その後、板屋楓がどうなったか忘れていたところ、詩人の自宅の裏山に植えてもらったらしいと聞きました。

 次の年の秋のこと「光加さんの板屋楓、紅葉が見頃よ」と夫人からお電話をいただきました。よかった、板屋楓は詩人の家に心地よく根付き、秋にも葉の色彩の美しさで存在をしっかり主張していたようでした。

 私たちはひとからげに板屋楓と呼びますが、実際は葉団扇楓、板屋名月、大板屋名月、といった楓のことをいうのだそうです。植物学的な板屋楓はまた違うものをさすとか。
 
 切るとしおれやすいので、切ったらすぐに枝の元の皮の部分をはさみでむき取り、さらにわりをいれると茎が水に当たる面積が多くなります。刺激を与えて水上がりを促進させるため、ウイスキーやブランデーなど度数の高いアルコールにちょっとの間つけます。

 カッと手を開いたような、そして鮮やかなみどりの葉は、初夏を迎える頃、私たちをいっそう爽快な気分にさせます。種はプロペラのような形をしていて二枚の羽をもち、実際に風などによって遠くに飛ばされ、やがて落ちたところで発芽するのだそうです。(光加)

 

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a la carte_霞草(なでしこ科)

caffe kigosai 投稿日:2013年3月28日 作成者: koka2014年6月21日

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 デモンストレーションの花材集めはだいたいは花市場からはじまります。エクアドルのキトでは近郊に花の生産者が多く、まず花を作っている農家に。切った花を保管する小屋に入ったとたんに見えたのは、バケツにぎっしりと詰め込まれた数え切れない白いふわっとした塊でした。今までこんな大量の霞草を目にしたことはなく「バケツ何杯でも好きなだけどうぞ」といわれ(日本だったらいくらだろうか)などと頭に浮かべながら遠慮なくいただいたのです。

 準備のため会場に持ちかえったのですが、関係者総動員で葉をとり、もともと折れやすい霞草のすでに折れた枝を切ったりしました。何より大変だったのは、根がついたものが多かったのでそれからまず処理をすることでした。

 「もう霞草は、当分いい!!」ほこりと、植物から出るヤニのようなもので真っ黒になった手を見て 私は思わず叫んでいました。

 ロスアンゼルスの花市場でみた霞草は、とても綺麗で手入も行きとどき、丈もあり立派でした。キトのときの量ほどは買いませんでしたがかなり多めに手に入れ、それを舞台でフィナーレに使いました。

 ところが、舞台に霞草が持ってこられいざいけようとしたとたんに、くしゃみ。鼻もむずむず、目もなんとなく痒い。この植物の独特の臭いのせいなのか農薬のかけすぎか、いったいなんなのだろうか。次の日東京から来る予定の人に薬をもってきてもらいましたが、デモンストレーションが終わって数日は改善されませんでした。

 霞草は白、そしてピンクもあります。どちらかと言えば脇役。ふわっと包むやさしさ。英名 baby’s breath(赤ちゃんの息)。しかし、だまされてはいけません。楚々とした美人にもっていたイメージを、彼女を知るうちにつぎつぎと裏切られたこと、あなた、ありません?(光加)

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a la carte_三椏の花(じんちょうげ科)

caffe kigosai 投稿日:2013年3月26日 作成者: koka2014年6月21日

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 初めて三椏を手にしたのはずっと昔、いけばなに入門した頃でした。それは生の三椏ではなく晒したものでした。乾かして皮をむき、化学薬品で処理されているため真白で、80センチくらいの長さがありました。他の植物のように夏の暑さですぐ枯れてしまう心配もなく、水も必要としないので、植物を使って自由な表現をすることに慣れていない人にも適している、との説明をうけました。

 枝分かれしたところから必ず3本の枝が出ている、だから三又とも書くといわれます。これも納得です。三椏の皮は和紙の原料として知られていますが、晒し三椏はその皮をはいだ後のものを利用したのでしょか。あるいはそのまま晒したのでしょうか。今では生の花材として短い間ですが花市場に出回ることもあり、枝に弾力があるので矯めて形を好きなように変える事もできます。はさみを入れると、切り口からは少し甘い香りもします。

 ウオーキングの途中、都会の真ん中にある公園で高さは2メートルそこそこの三椏を発見。三椏は低木なのでこれは大きいほうでしょう。同じ頃に咲くじんちょうげと同じじんちょうげ科なので枝が緩やかな曲線を描きます。

 花の咲くときはまったく葉はでてきていません。白いビロードのような小さな筒状の花のなかは黄色かオレンジ色。その花が沢山集まり半球になって一つの花を形成しています。その一本の木には、百あるいはもう少し花が咲いていたでしょうか。四方八方に伸ばした枝に少しうつむき加減に花は咲きますが、周りの常緑樹の緑の中でひときわ華やかでした。これが和紙の原料、そしてお札になるとは。

 ちなみに、前述の晒し三椏はどうしたらあんなに白く晒せるのかとよく質問されます。同じく晒しびろうやしも、海外ではその白さに(紙か?)と聞かれる事もあります。花屋さんでも、なにを使ってどう晒すのかなど方法は知らず、多分その時異臭がでるのでだれかが山の中ででもやっているのでは?という答えしか返って来ません。晒しの方法も企業秘密に違いないといわれている、三つの枝をもつ、なんだか不思議な木なのです。(光加)
  

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a la carte_菫(すみれ科)

caffe kigosai 投稿日:2013年2月25日 作成者: koka2014年6月21日

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 この花がいけばなの作品に登場することが少ないのは、その丈が短いからでしょうか。でも、たまに花屋さんで小さな器に菫がぎゅっと束ねられて売っているのを見かけると、つい買ってしまいます。

 この小さな可憐な紫の花は古くから世界中で愛され、現在に至るまで歌や詩に何度登場したことでしょう。日本では万葉集にも歌われています。温帯が原産地と言われていますが、何処をどう伝わって世界中に広まったのでしょうか。今では各地に400種類もの菫があるといわれています。

 「コートに菫を」という歌があります。ビリー・ホリデーやフランク・シナトラも歌っています。
「Violets for your furs」(Matt Dennis 作曲・Tom Adair 作詞)。ここではコートを「furs」といっているので毛皮のコートでしょうか。

  あれは雪の舞うマンハッタン
  僕は菫を買った 君のコートにつけてもらうために
  雪の一片が菫の花びらにとまり やがてとけて消えた
  僕は君のために菫を買った
  君はその菫をコートにピンで留め それを道行く人に高く挙げて見せた
  そしてかわりに とびきりのスマイルを僕にくれた
  その日からだった 僕たちが恋に落ちたのは

 内容はかいつまんでみればこんなものですが、やはりこれは菫でなければいけません。菫の改良品種としてパンジーがありますが、パンジーではあり得ません。時代が時代だからこそ、ロマンチックでおしゃれなこの菫の歌を、何時かこの季節に歌ってみたいと思っています。(光加)

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à la carte_連翹(もくせい科)

caffe kigosai 投稿日:2013年1月24日 作成者: koka2014年6月21日

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 春は黄色の花が連れてきます。

 一月の初め、極寒のフィンランドで花市場に行ったとき、バケツの中に連翹を見つけました。勿論、海まで凍りついているフィンランド産のわけはなく、多くの花たちと一緒にオランダから輸入されるのです。かといって、この季節はオランダだってこの花が咲くほど暖かいわけはなく、もっと南の国からの輸入なのでしょう。長い旅をしてここまで春の訪れを知らせにきてくれたのです。

 年末の蝋梅、新年になって咲くさんしゅゆ、この連翹、そしてまんさくと、枝に咲く黄色い春の花はその周りの空気をぐっと華やいだものにしてくれます。

 連翹は枝が中空なので、いわゆる矯めがきかない花材でそのままいけます。中にはそのままで繊細な曲線をもっているものもあります。花が終わって初夏になり、やがて花屋に枝ものが少なくなっていくと、花の代わりに奇麗な緑の葉をつけた連翹が稽古に登場します。

 春が進めば、道端でも連翹はみかけられます。以前、韓国の日本大使公邸には連翹がたくさん植えられていて、ちょっとした連翹の小道のようになっていました。今はどうなっているのでしょうか。連翹は中国が原産です。

 アラブ首長国連合に行ってワークショップをしたとき、枝は連翹なら手に入りますよ、と言われました。宗教上の理由で、アバヤという黒い衣服を身にまとった夫人たちもたくさんいるなか、みなさん連翹を手にし、おしゃべりをしながら楽しそうにいけていました。小さな黄色の花が黒のなかで舞っていました。日本よりずっと暖かい国で、その黄色はいっそう鮮やかさを増したように思えたのでした。

 連翹は、平和な光景がひときわよく似合います。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
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12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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