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今月の花(七月) 金糸梅・未央柳

caffe kigosai 投稿日:2024年6月20日 作成者: mitsue2024年6月20日

ヒペリカム

未央柳

五月も末になると、早春から次々と花を咲かせ季節を彩った花木の枝たちは、芽吹きをへて瑞々しい葉をつけて登場します。

花を付けた花木がすべて無いわけではなく、代わりに令法や梅花空木、山法師や銀香梅など、目に涼しい白色の美しい花を咲かせる枝が目に付くようになります。

「この金糸梅はヒペリカムとどう違いますか?日本でのお稽古で使って気に入ったのでロンドンで庭に欲しいと思ったので名前を聞いたらヒペリカム,(ヒぺリクム)と言われました。とても似ているのだけれど」ロンドンから一時帰国している生徒さんの質問でした。

ヒペリカムと呼ばれる植物は200種類もあり、オトギリソウ科でヒペリカムは属の総称です。北米やヨーロッパの原産で、この生徒さんが植えようとしているのは、目が覚めるような鮮やかな黄色い花が特徴のヒペリカムです。

実が付いたときには種類によりグリーンのほかに白やピンク、赤、紫赤など、濃い緑の葉とともに楽しめます。丈は高くはなく葉は茎に対生、生命力が旺盛で地下茎が発達して、増えすぎることもあり庭に植えるのも考えて植えた方が良いそうです。

似たようなものは日本にもあり、山野に自生する多年草のおとぎり草はやはり黄色い花をつけるものがあるということで、秋の季語になっています。

お稽古でいけた金糸梅ですが、花が梅の形に似ているのでこの名がつきました。花の中心には短い黄色の雄蕊を四方に伸ばしています。金糸梅は初夏に花をつけ、中国が原産です。

金糸梅に似ているものに未央柳があります。柳、という名前は葉が柳に似て、やや細く 葉裏は少し白いのです。共に五弁の花びらを持つ金糸梅と未央柳はいずれも枝ぶりがよく、流れるような曲線を見ることもあり、花がなくなってもこの線だけでいけばなの美しさを十分表現することが可能です。

未央柳は中国原産の園芸種で美女柳とも呼ばれます。枝先につく花の中央に多数の雄蕊があり、あの国独特の服を着た柳腰の美女を思い描きます。

細い枝をいいけるときはくるくると回り、緑の葉の裏は粉を吹いたような緑色なのでどの表情が一番かと見定めるまでが大変です。

さて、この季節に皆さんが出会う黄色の花をつけた植物は何でしょうか?金糸梅(Hypericum patulum) 、また未央柳(Hypericum chinense)、または(Hypericum calycinum)などのヒペリカム。いずれも頭にヒペリカムとつきますので近縁の植物です。

写真はヒペリカムと未央柳、このふたつは10メートル離れたところに咲いていました。生命力の強いヨーロッパ原産のヒペリカムにおされて中国原産の未央柳が消滅しないように、来年もひそかに気にかけてその道を通ってみようと思いました。(光加)

今月の季語(七月) 七夕

caffe kigosai 投稿日:2024年6月17日 作成者: masako2024年6月21日

〈七夕〉と聞けば、♪ささのは さーらさら のメロディが自動的に脳内再生されるほど、ポピュラーな行事ですが、実はいささか扱いにくい季語です。まとめておきましょう。

七夕は旧暦七月七日の行事です。旧暦七月は今の八月、つまり初秋にあたります。つまり、〈七夕〉は秋の季語である、ということを、まずおさえましょう。

たなばたや秋をさだむる夜のはじめ                   芭蕉

京の野堂亭を訪れたときの挨拶句です。七夕のころともなるとさすがに秋の気配が濃やかになると詠んでいます。この句には異形句もあって、

七夕や秋をさだむるはじめの夜              芭蕉

というのです。これを以て本来の七夕=秋のインプットが完了するのではないでしょうか。新暦七月七日はまだ梅雨のさなか、夜空に星も望めません。仙台など、今も旧暦を貫いている地があるのは、ご存知の通りです。

そのうえで、新暦七月七日に七夕を詠む術を考えてみましょう。保育園や幼稚園の傍らを通れば、七夕の歌が聞こえてきますし、駅の広場や公共施設のラウンジなど、もちろんご家庭でも、笹竹を立てて短冊を吊るすのは、新暦のこのころであることが断然多いのですから。

荒梅雨のその荒星が祭らるる                          相生垣瓜人

季語は〈荒梅雨〉=夏ですが、内容は七夕です。七夕は〈星祭〉ですから、 「荒星が祭らるる」を季語と捉えれば、季重なりの句でもあります。が、新暦旧暦のはざまで揺れる私たちには、かなり高度な技ながら、もっとも納得できる着地のしかたかもしれません。

七夕の一粒の雨ふりにけり                   山口青邨

七夕や髪ぬれしまま人に逢う                 橋本多佳子

みちのくの雨に七夕かざりかな              小澤 實

七夕竹切りし飛沫を浴びにけり              能村登四郎

七夕の傘を真つ赤にひらきけり              草深昌子

水っぽい例句を挙げてみました。順に読んでみましょう。

青邨の句は句集『粗餐』(昭和48年刊)所収ですから、新暦の七夕に「あ、やっぱり降って来た」というのかもしれません。

多佳子の「髪」は雨にぬれたというよりは、乾かしきらぬまま、でしょう。なにしろ〈星合〉の夜ですから、「人」はただの人ではありますまい。〈星合〉は七夕から恋の要素を抽出した季語です。〈便箋を折る星合の夜なりけり 藤田直子〉は、もちろん恋の手紙です。

實はみちのくの七夕祭で雨に遭ったようです。旧暦開催であってもそういうことはありましょう。私は八月の仙台を想像しています。

登四郎の「飛沫」は、竹を剪ったときの振動で、竹の葉の雨雫が降って来たことを指すのではないでしょうか。また、昌子は雨をおして恋人に逢いに行くのかもしれません。この二句は、七夕を季語に据えつつ、雨の時期でもあるといっている気がします。

最初におさえたように、〈七夕〉は秋の季語ですから、どの例句も秋の歳時記に載っています。試験で季節を問われれば、「秋」と答えざるを得ないのですが、もう試験には無縁となった私たち、季のことは棚上げして目の前の景を詠むことに徹する、としても悪くないでしょう。

梶の葉、硯洗ふ、願ひの糸など関連季語も一緒に調べておきましょう。(正子)

 

 ≪報告≫  第六回「花仙の会」2024 初夏の巻 

caffe kigosai 投稿日:2024年6月2日 作成者: mitsue2024年6月2日

「カフェきごさい」サイトで毎月(今月の花)を執筆する草月流福島光加がいける花6作品に、参加者が俳句を作り飛岡光枝が選をして一巻を巻き上げる「花仙の会」。第六回となる「初夏の巻」は、5月23日に東京都千代田区飯田橋の「東京レジデンス」にて開催されました。前回はコロナ前の2018年の冬に開催、ほぼ5年ぶりの今回は30名以上の参加者による花と俳句が展開される活気あふれる3時間となりました。

山法師が吹雪く花に始まり、糸芭蕉、アイリス、トルコ桔梗、木賊と涼し気な植物がつぎつぎといけられ、第六花の平和を願う向日葵が玻璃の花器にいけられると会場からため息がもれました。入選の句は日本画家杜今日子さんがその場で書にしたため、花とともに入選者にお持ち帰りいただきました。以下、花6作品と俳句6句のコラボレーションをお楽しみください。(光枝)
(写真をクリックすると大きくなります)撮影:花井淳


【第一の花】
山法師・縞がま・擬宝珠・ダリア
【第一の句】
「はるかより帆船来たれ青嵐」光枝

【第二の花】
海藻・モカラ・糸芭蕉の葉
【第二の句】
「雲の峰まで噴き上げよマーライオン」和華子

【第三の花】
土佐水木・ジャーマンアイリス・杜若の葉
【第三の句】
「まづ顔が怖き師のあり走馬灯」容子

 

【第四の花】トルコ桔梗・金宝樹
【第四の句】
「金魚には告白してる恋いくつ」栄順

【第五の花】エピデンドラム・木賊・豆
【第五の句】
「秋近し望遠鏡に土星の環」道子

【第六の花】着色オーガスタの葉・向日葵・ヒペリカム
【第六の句】
「反戦歌声振り絞る夏の果て」遊歩

今月の花(六月) オクラレルカ(長大アイリス)

caffe kigosai 投稿日:2024年5月30日 作成者: mitsue2024年5月30日

気持ちの良いこの季節、端午の節句もあり花菖蒲、杜若などをいけることが多くなります。しかし近頃はこの二種類の花、町の花屋さんでは期間が限定されるものの花は何とか手に入りますが、葉の入手がだんだん難しくなっていると聞きました。

一方、この二種類に類似していて一層立派な葉をもつ植物にオクラレルカがあります。その葉は早春からだんだんと長くなって出回りはじめ、4月頃からは立派なものが手にはいります。実際に花菖蒲や杜若の葉が入手困難な時は、お稽古では代用されることもあります。

剣のようにシャープな葉先のオクラレルカの葉の幅は、広いところで2~3センチとなり、数枚の葉でひと株になっています。この季節の緑にふさわしく見た目にもすがすがしい植物です。長大アイリスとも呼ばれ、長いものは1メートルにもなろうかというその葉の姿が私は好きで、よく花材としていけます。

原産地はトルコで、トルコのアイリス(turkish iris)という英語名があります。

沖縄のオクラレルカの花

先日、花屋さんから届いたお稽古用の花材が包まれた古新聞から、紫がかった薄いブルーの花びらが顔を出していました。早春にいけるアイリスの背がきゅっと伸びたようなまっすぐな茎は、80センチ~100センチもあるようでした。花屋さんからの花材表には「オクラレルカの花」と書かれていました。

アヤメ科の植物なのにこの花が出回らないのはなぜだろう?きれいではないのだろうか、花がとても繊細で輸送に向かないのだろうか。それとも出荷される時期が花菖蒲や杜若と同じなので、生産者の方が遠慮しているのかしら。ずっと不思議に思っていて、この季節になると私の中でこの疑問が繰り返されていました。

やっと会えたオクラレルカの花は、紫がかった薄いブルーがなんとも優し気でアイリスと似たものでした。花びらの中央に黄色い部分があるのもアイリスと似ています。触れてみると花弁はアイリスよりやや薄く感じました。

反面、古新聞を取ると、花の下のまっすぐな緑の茎から直についている苞の中に新たな花が包まれているという、たくましい自然の姿も見せてくれていたのです。

沖縄の大宜味村はオクラレルカで知られていて、3月末には花が咲くと聞きました。いい空気を吸って開くたくさんのオクラレルカの花を思わず想像しました。長い間待って出会えたオクラレルカの花、また来年あらためてこの花をじっくり観察してみたいものです。(光加)

浪速の味 江戸の味(六月) 鱚【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2024年5月30日 作成者: mitsue2024年5月30日

五月中旬、浅草の三社祭が終わると東京は本格的な夏に突入します。この頃旬を迎える魚が鱚です。

鱚は細長い円筒の魚体で、口は砂底の獲物を探るため尖っており、しゅっとした上品な姿をしています。脂が少なく味が淡泊で、特に白鱚は味がよいとされ様々な料理に使われます。特に江戸前の天ぷらには欠かせません。

江戸時代、将軍は毎月1日、15日、28日以外の食事は必ず鱚の塩焼きと漬け焼き二種類(鱚両様と呼ばれました)を食べたそうです。魚偏に喜ぶと書く「鱚」の字が目出度いからと言われていますが、脂が強くない鱚は毎日食べても身体にさわらないことも理由の一つではないかと思います。因みに1日、15日、28日には鯛や平目などが膳に上ったとのこと。

写真は浅草雷門隣に天保八年(1837年)より店を構える日本最古の天ぷら屋の、鱚の天ぷらです。初代は三河(愛知県)から江戸に移り、天ぷら屋台から始めたとのこと。江戸(東京湾)近海で獲れた魚を胡麻油で揚げるのが江戸前天ぷらの特徴です。胡麻油の香りをほのかに纏った上品な鱚の天ぷらは、今も昔も江戸の夏のスタートに相応しい味です。

 味の白鱚に対して、釣って面白いと言われていたのは青鱚です。音に敏感な青鱚を釣るため、河口の浅瀬に脚立を立てて釣る「脚立釣り」が盛んに行われていました。しかし、東京湾の干潟が埋め立てられていくにしたがい青鱚も少なくなり、昭和五十年代には東京湾の青鱚は姿を消してしまいました。

 近年は来日外国人で大賑わいの浅草ですが、中心を少し離れると静かな路地に水を打つ人の姿も見られます。朝顔市、鬼灯市と江戸の夏の行事が続きます。

 鱚天や路地に水打つ静寂あり  光枝

今月の季語(6月)梅雨

caffe kigosai 投稿日:2024年5月18日 作成者: masako2024年5月21日

二月に真夏の気温を記録したり、寒の戻りの激しさに開花が遅れたり、今年はいつにもましておかしな天候です。梅雨もしとしとのイメージを離れて久しいですが、さて、どんな梅雨になることでしょう。

世を隔て人を隔てゝ梅雨に入る              高野素十

二夜三夜傘さげ会へば梅雨めきぬ          石田波郷

素十の句からは、雨のとばりに隔てられる感覚が伝わってきます。しとしとと執念深く降り続く雨なればこそ生じる感覚でしょう。また、以前は雨が続くなあと思っているうちに、いつしか梅雨入りしてもいました。この二句には昔ながらの梅雨が、人との関係性を通して詠まれているといえそうです。

梅雨寒や舌に朱のこる餓鬼草紙            三森鉄治

梅雨時には雨で蒸す日もあれば、妙に冷え込む日もあります。餓鬼草紙の朱はもちろん他の季節であっても見られるものですが、ひやっと湿った空気の中で見るといよいよ凄惨なのでしょう。

梅雨の夜の金の折鶴父に呉れよ        中村草田男

妻とあればいづこも家郷梅雨青し          山口誓子

外に出られない日、子は折紙で退屈を紛らわせもしたことでしょう。〈万緑の中や吾子の歯生え初むる〉をはじめ、草田男の「吾子俳句」は有名。特別な一羽をせがむのは幸せの確認でもあったでしょう。誓子の句はのろけのようなものですが、「梅雨青し」の決めがさすがです。金、青と梅雨に差す色が美しい二句です。

梅雨の闇小さき星は塗りこめて            福永耕二

梅雨の闇は常よりも重い湿った闇です。〈五月闇〉ということもあります。

五月雨をあつめて早し最上川              芭蕉

空も地もひとつになりぬ五月雨          杉風

さみだれや大河を前に家二軒              蕪村

〈梅雨〉は時候にも天文にも使える季語ですが、〈五月雨〉は天文のみの季語です。上は江戸時代の、下は大正、昭和の句ですが、天候に逆らえないのは昔も今も同じです。

さみだれのあまだればかり浮御堂      阿波野青畝

さみだれや船がおくるる電話など          中村汀女

〈荒梅雨〉が出水を招くのも、〈空梅雨〉で水不足になるのも困りますが…。

草のさき出でて吹かるる梅雨出水      山上樹実雄

百姓に泣けとばかりに梅雨旱                石塚友二

梅雨の影響を受けているのは人のみにあらず。

頬杖をつけば阿呆と梅雨鴉                遠藤若狭男

よその田へつるりと逃げし梅雨鯰          本宮鼎三

梅雨茸の笠の裂け目を雨通る                  島田牙城

津波のような被害をもたらす昨今の梅雨。優しい雨であれと祈るほかはありません。(正子)

第六回「花仙の会」2024 初夏の巻 開催のお知らせ(終了しました)

caffe kigosai 投稿日:2024年5月5日 作成者: mitsue2024年5月30日

牡丹

「カフェきごさい」特別イベント「花仙の会」~連花と連句・草月いけばなと俳句~ を開催します。コロナで中断していたこの会も六回を数えます。
「カフェきごさい」今月の花でお馴染みの福島光加さんのいけ花に参加者が俳句を詠み、飛岡光枝が選をします。花と俳句6作品が連なる斬新な試み、毎回俳句が初めての方も果敢に挑戦され、参加者全員で花と俳句の世界を作りあげてきました。さて今回はどんな景色が出来上がるでしょうか。
いけた花は俳句の入選者にお持ち帰りいただきます。俳句を詠まない方もご参加いただけますので気楽にご参加ください。お待ちしております。
お申込みは以下へどうぞ。

【日時】2024年5月23日(木)13時30分~16時(予定)

【場所】東京都千代田区飯田橋2-18-1 東京レジデンス 1階「コラボレートルーム」
    ・地下鉄・JR「飯田橋駅」徒歩7分・地下鉄「九段下駅」徒歩5分
    (ご参加の方へは地図をお送りします)

【会費】2,200円(要予約)

【申し込み・問合せ】飛岡光枝 t1o2b3y4y@outlook.jp

浪速の味 江戸の味 5月【筍飯】浪速

caffe kigosai 投稿日:2024年5月3日 作成者: youko2024年5月3日

春の味覚の代表に、春の筍があります。春筍(しゅんじゅん)とも言います。そして初夏の頃になると「筍」になり、筍飯も初夏の季語です。

京都から少し大阪寄りに乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町、京都市西京区)があり、そこで育てられている京たけのこが有名です。別名「白子たけのこ」といわれ、食用「孟宗竹」の中でも色が白いのが特徴です。春の筍は、茹でてお造りで食べることができます。瑞々しくやわらかな舌触りです。掘ったばかりの春筍を丸焼きにすると香ばしさが加わり野趣に富んだ味になります。朝掘りの筍は、直売所で売られています。

年間を通して絶えず竹林の整備をしているからこそ、このおいしい筍がとれるのです。約300年前から「京都式軟化栽培法」を行っています。掘り上げた穴に肥料を入れたり、親竹の先を落としたり、秋には「敷き藁」と「土入れ」の作業をして柔らかな土作りをしています。白くてやわらかい京たけのこはこの良質の柔らかな土が育てます。

阪急「長岡天神駅」で下車して暫く歩くと、長岡天満宮境内の東に八条ケ池が見えてきます。寛永15年に造られた灌漑用の溜池です。池を二分する中堤は参道になっています。長岡天神駅やこの長岡天満宮の周辺には、たけのこ料理の店が料亭から気軽に入れる食事処までいろいろあります。

筍は、春の筍より歯ごたえがよくなりますが、筍飯にするとその歯ごたえがちょうどいいのです。写真は昼食に作った、筍飯と若竹煮です。

筍のシーズンが終わると本格的な夏がやってきます。

丹精の京たけのこを飯に炊き    洋子

今月の花(五月) 朴の木

caffe kigosai 投稿日:2024年4月30日 作成者: mitsue2024年5月1日

朴の新芽 クラスのFさんの作品

朴(ほお)の木は、学名にモクレンと共通のmagnoliaが付くモクレン科に属し、30メートルにもなる山地に自生する木です。

五月の末から六月にかけ、枝先に淡い黄色がかった白い花を香り高く咲かせます。上を向いて開く花は直径15センチ程にもなります。幸運にも中を覗くチャンスがあれば、中心に赤い花糸がみられるでしょう。しかし、開ききると同時に花びらは茶色になりはじめ、長く持って二日、束の間の美しさを終えます。

大きな花にふさわしい大きな葉は、枝の先にある花の周りをぐるりと囲みます。30センチ程の長い楕円形で、やや厚めです。

初夏の季節も終わりいよいよ本格的な夏を迎えるころ、この日本で最大級の葉と花は存在感が頂点に達します。

私が好きなのはそのもう少し前、この葉の芽が出た時です。

年に一度あるかないか、お稽古にこの朴の新芽を付けた花材が届けられます。包んでいる古新聞紙を注意しながらとると、みずみずしい若葉がかすかにピンク色をおびた葉(托葉)の間から覗いています。生徒さんたちに「そっとね、そっと扱ってね」と声をかけたくなる初々しさです。

葉の下の枝はほとんどまっすぐです。その中から、少し弧を描いている枝をみつけて大胆にいけているメンバーのなかから、「あ、開いてきた、葉が!」という声が上がります。枝の元の切り口から水を吸い上げた新芽がかすかに開き、包んでいた薄紅色の托葉を外へと押し出そうとしているのです。

それは、いけはじめてほんの20分ほどの間だったでしょうか。自然の力が実際に目の前で示される、こんな時に立ち会う瞬間は至福です。

朴の枝は大きな葉がついていても持ってみると意外と軽いのです。下駄の歯の材料だと知ったのが、私が朴の木を知ったきっかけですが、その軽さゆえに家具にも使われます。当たりが柔らかいところから、まな板にも使われるそうです。

葉は料理をのせる皿としても使用できます。食材を包んで蒸しても、甘い芳香が移ります。殺菌抗菌作用もあるので安心です。また朴葉味噌や朴葉飯が名物のところも各地にあります。

そして、朴の木は太鼓のばちやピアノの鍵盤などにも用いられるとか。新芽が緩やかにほぐれていく姿を思い浮かべると、朴を使ったものは特別な音質で空気を伝わっていくのではないかと思えます。他の素材で作られた鍵盤のピアノと朴の鍵盤のピアノの響きとを聞き比べてみたくなりました。(光加)

今月の季語(五月)木の花

caffe kigosai 投稿日:2024年4月17日 作成者: masako2024年4月19日

新緑の美しいころとなりました。若葉青葉の梢を仰ぐと、定かに見えないほど高い位置に花をつけていることがあります。樹下に散った花を見て気づくことのほうが多いでしょう。

今月は落葉高木と呼ばれる木々の花を追ってみましょう。

電車いままつしぐらなり桐の花      星野立子

桐の花らしき高さに咲きにけり      西村和子

一家に女の子が生まれると、嫁入り道具を作るために桐の木を植えた時代があります。立子が車窓からみとめたのは、そうした一幹でしょうか。

花咲きて水木は枝を平らにす       八木澤高原

山野に自生する「水木」が咲くのは〈夏〉、街路樹に多い「花水木」は〈春〉。別種です。水木は咲くと遠目に雲がかかったようにも、雪をかぶったようにも見えます。

ゆりの木の花に夜は星宿らむか      岡部六弥太

昨今では街路樹としてよく使われる「ゆりの木」です。チューリップツリーともいいます。チューリップのような(私はランタンのような、と思っています)花をつけます。

うやむやにけむりひとつばたごのはな      須賀一惠

「ひとつばたご」の花は白くもしゃもしゃしています。この木には「なんじゃもんじゃの木」という名もあります。

満月に花アカシヤの薄みどり         飯田龍太

アカシア(ニセアカシア)には「針槐(はりゑんじゆ)」の名もあります。白い蝶の形の花を密集させます。

ひろがりて雲もむらさき花楝(あふち)古賀まり子

仰ぎ見る楝の花のちる音か           山西雅子

「栴檀(せんだん)」ともいいます。双葉より芳しい栴檀はビャクダンのことで別種です。花は薄紫。

えごの花散りたる水にはづみけり    早野和子

こぼれつつえごは五月を送る花      村上鞆彦

釣鐘状の乳白色の花を下向きに無数につけます。散るというより、花ごとほたほたと落ちます。

火を投げし如くに雲や朴の花   野見山朱鳥(落葉高木)

あけぼのや泰山木は臘の花     上田五千石(常緑高木)

朴の花と泰山木の花はよく似ています。どちらも象牙色で、芳香があります。落葉するか、常緑かの違いもありますが、葉の質感はまるで異なります。泰山木の葉は厚手で光沢があります。朴の葉はかさかさして大きく、裏が白いです。「朴葉味噌」のような用途にも使われます。

その上の雲より白く山法師           林 翔

「山帽子」と書くことも。庭木にもされますが、本来は山野の木です。花水木の白花〈春〉と似ていますが、山法師は夏に咲きます。

特徴的な木の花を取りあげましたが、文字だけで理解するのは難しいです。図鑑を持って(検索できる機器を携帯して)山野へ出かけてみましょう。(正子)

 

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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