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浪速の味 江戸の味 九月【河内ワイン】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年9月8日 作成者: youko2024年9月16日

秋の季語に「葡萄酒醸す」「葡萄酒製す」があります。大阪では、「河内ワイン」と呼ばれるワインが知られています。河内は大阪の東部地域で、中河内に柏原市があります。現在の柏原市平野、大平寺などは旧堅下(かたしも)村で、明治11年(1878)、堅下村平野の中野喜平氏が、甲州ぶどうの苗木の育成に成功し、生産が衰退傾向にあった綿に替わってぶどうが栽培されるようになりました。昭和10年(1935)には大阪のぶどう栽培面積は全国で最大となり、その30%が堅下村で栽培されていました。

大阪のワインづくりは、大正元年(1912)に堅下村大平寺で、ブドウ園の経営をしていた高井作次郎氏によって始められました。ぶどうの生産過剰を懸念し、また台風で落ちたぶどうの実を生かして利用することを考え、単身甲州に出向き、明治7年創業の大黒ぶどう酒の製法を学びました。そして大正13年(1924)に「堅下ぶどう酒」として市場に出しました。

ぶどう酒は収穫後、果汁を搾り、酵母で発酵させて作ります。ぶどう酒の起源は非常に古く紀元前6000年ごろ中国などで始まったと言われています。

ワインはぶどう酒の一種で、ぶどうの果実を発酵させて作られます。果皮や種などの成分も含まれているので、風味も多彩です。古代ローマ時代から飲まれていて、ワインはヨーロッパ各地で豊かな歴史を持っています。

7月ごろからぶどうの収穫が始まり、そろそろ「河内ヌーヴォー」が出てくる季節になりました。河内といえば、「河内音頭」で親しまれていますが、ワインも大阪を代表する名産品です。

秋深む今年のワイン香しく  洋子

第十七回 カフェきごさいズーム句会 句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2024年8月29日 作成者: mitsue2024年8月29日

第十七回「カフェきごさいズーム句会」(2024年8月17日)句会報告です。(  )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。

第一句座              
【特選】
いつの間に椋鳥の樹となりにけり     斉藤真知子
黒揚羽揺れる木漏れ日泳ぎゆく      早川光尾
(真昼間の木漏れ日泳ぐ黒揚羽)
墓洗ふ会つたことなきはらからの     前﨑都
魂もバツタになりしファブールかな    周龍梅
(魂のバッタとなりてファーブルかな)
秋立つや男の家事をひとつづつ      花井淳

【入選】
うなぎ食うて女の一生長々し       葛西美津子
六分の一切れを買ふ初西瓜        上田雅子
けさ秋の一舟川を下りゆく        斉藤真知子
開校と閉校の碑や晩夏光         村井好子
朝顔のゆゑに家居と決めにけり      たきのみね
(朝顔の咲きつぎ家居と決めにけり)
首里城の槌音高し沖縄忌         上田雅子
(首里城の槌音高く沖縄忌)
喜雨休み煙管ぷかぷか山守は       前﨑都
(山守は煙管ぷかぷか喜雨休み)
蜩や五輪応援午前五時          村井好子
墓参り藪蚊一匹つれ帰る         矢野京子
夏終わるオンザロックの氷コロン     早川光尾
(夏終はるオンザロックの氷コロン)
終戦忌けふの日記を書き終はる      矢野京子
梨を食ふ父の時代の名の梨を       たきのみね
(梨を食ふ父の時代の二十世紀)
黒葡萄夜のしづけさに熟しをり      伊藤涼子
(黒葡萄夜のしづけさに熟しゆく)
若き父ビールの髭で子をあやし      鈴木勇美
納涼会銀座に潮のかをりかな       鈴木勇美
(納涼会銀座は潮のかをりして)
しばらくはとまらせてをく蜻蛉かな    斉藤真知子
真夏日や電柱の陰バスを待つ       早川光尾
炎天や四天王像顔歪め          赤塚さゆり
ぽつぽつと叔母語りくれ広島忌      たきのみね
(広島忌叔母ぽつぽつと語りくれ)

朝顔や母はむらさき父は白        飛岡光枝
  

第二句座(席題・枝豆、馬肥ゆる)
【特選】         
天高く肥ゆるものあり吾と馬       斉藤真知子
朝取りの枝豆掛ける勝手口        赤塚さゆり

【入選】
馬肥へて牧夫に鼻を寄せにけり      伊藤涼子
(馬肥えて牧夫に鼻を寄せにけり)
枝豆の最後のひとつ子に譲り       赤塚さゆり
枝豆や母ほどうまく茹でられぬ      たきのみね
(枝豆や母ほどうまく茹でられず)
里山を離れぬ祖母や月見豆        藤倉桂
(山里を離れぬ祖母や月見豆)
接待やたんとゆがきてだだちや豆     矢野京子

枝豆を飛ばすや好きな人の前        飛岡光枝

今月の花(九月) パンパスグラス

caffe kigosai 投稿日:2024年8月28日 作成者: mitsue2024年8月29日

小さな実をたくさん付け、弧を描く「野茨」の枝、丸い葉と蔓の間に薄緑の丸い実をつけた「山帰来」がそろそろ花材として現れるころ、暑さのためにしばらく休みにしていたお稽古を再開しました。

花材として届けられた中に「パンパスグラス」がありました。包みの中から、若い緑色のまっすぐな茎が出ていて、先に行くにつれて細くなり、瑞々しく、勢いを感じさせる秋の花材のひとつです。長さは1メートルをはるかに超えます。

丸い鞘の周りに、鋏で注意深くやや深めの線を入れていき一周させます。この線の一か所に鋏の先をあて、鋏の片方の刃をさしこみ一気に線を入れます。すると鞘を作っている表皮が落ち、花があらわれます。

どこに線を入れるかにより、穂の長さが決まってきます。現れた少し青臭い銀緑の花穂に「あら、きれい!珍しいからもうこのままの長さで切りたくない」、出てきた花穂を傾けて下がり具合を見ながら「どの花器にしようかしら」、曲げられないまっすぐな線を見ながら「立派ね。このまま剣山に刺しても安定するかしら」などなど、教室のあちこちで声が上がります。

パンパスグラスはイネ科です。原産地は南アメリカですが、今ではニュージーランドなどの水はけのいい、温暖な気候の地域でも見かけます。ひとつの株からたくさんの茎を出す多年草で、大きいものは3メートルの高さにもなります。羽のようにふさふさとした花序が集まって一斉に揺れる様はなかなかいい光景で、風に揺れればその存在がぐっと増すことでしょう。それは気持ちよい秋風の様子でしょう。

すこし紅色がかったものもありますが、改良品種でしょうか。明治に日本に入り、庭などに植えられたそうです。いけばなで使う、乾かして着色をしたイタリアンパンパスもこの仲間です。

パンパスグラスは雌雄異株で、立派な花序をつけるのは雌株なのだそうです。この名は英語名ですが、もともとパンパスグラスはスペイン語で大草原〔pampa(パンパ)〕の草という意味だそうです。

そう、昭和の方ならおそらくご存じの、アルフレッド・ハウゼ楽団の「さらば草原よ」というタンゴの名曲がありました。こちらはスペイン語で(Adios Pampa Mia)。秋今宵、お稽古であまったパンパスグラスをいけて、風そよぐ銀色の花穂が揺れる大草原に思いを馳せてみましょうか。何十年か前に聞いたこの曲を、今はネットで探して。(光加)

今月の季語(9月) 秋の海(2)

caffe kigosai 投稿日:2024年8月19日 作成者: masako2024年8月22日

ちょうど1年前にご報告した2022年の瀬戸内の旅は、新型コロナ禍により人出は戻っていませんでしたが、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の開催期間と重なったおかげで、不思議なオブジェとの出会いがありました。すっかり味をしめ、2023年は仲間に声をかけたところ、現地で句会を開ける程度の人数が集まりました。私は俳句甲子園終了後に松山から直接向かう旅程なので、「一人で出て瀬戸内で仲間と合流します。さて今年はどんな海の旅になるでしょうか」と書きました。今月はそのレポートです。

 

〈瀬戸内の旅2023〉  髙田正子

初秋の旅山に沿ひ海に沿ひ

秋高し讃岐うどんにまづ並び

平家蟹のみを描きて夏のれん

豊島(てしま)

再生の島いちじくのよく肥り

島ひとつ呑み秋の雲影歪む

国生みの島影はるか月を待つ

雨のあと大きな月を波の上

月光をすこしの毒として眠る

豊島美術館

湧きつぐを水のあそびと見て涼し

一粒の水月明を滑りだす

 

2022年は瀬戸内に詳しい知人と二人きりの、熱中症対策さえしていればよい気楽な旅でした。それが23年は新しい結社を起こすという、1年前には砂粒ほども思っていなかった事態となっていました。瀬戸内行は決行しましたが、直前まで結社の口座開設が難航するなど、一進一退に一喜一憂する日々でもありました。讃岐うどんの順番待ちに〈秋高し〉と付けたのは、松山から高松へ移動中に口座開設が叶った旨を着信し、ほっとしたから。予讃線の意外に長い乗車時間が終わり、降り立った高松駅前の空の高かったこと。

ただ、島旅の楽しさを教えてくれた知人が、あろうことか直前にコロナ感染し、メイン幹事不在の旅となってしまいました。

十人に一人が足りぬ秋灯          正子

豊島では、二人の若者が句会に飛び入り参加してくださったことも嬉しい思い出です。

つぎつぎにつながつてゆく涼しさよ  正子

「新しい結社」では「俳句でつながる」をモットーの一つに掲げようと考えていましたから、豊島美術館で、ぷくりと湧いた水の粒が、ときに隣の粒を巻きこんでつつーっと走るのを見て、背を押される心持ちにもなりました。

うすうすとしかもさだかに天の川       清崎敏郎

島の空は広いです。消灯時刻前から、うっすらと天の川が見えました。都会の夜空では、薄いというより確信の持てぬ見え方しか記憶にありません。消灯すれば更にと思えましたが、そのまま朝まで覚めることもなく眠ってしまいました。

天の川柱のごとく見て眠る             沢木欣一

三時頃に起き出した方によると、暁の空には稲妻が走ったのだとか。

2024年も瀬戸内の豊かな時間を、と思っていましたが、残念ながら中止に。来年はまた瀬戸芸の開催年にあたりますから、合わせて計画しようと話し合っています。(正子)

第十六回 カフェズーム句会 句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2024年8月3日 作成者: mitsue2024年8月3日

七月十三日のカフェズーム句会句会報告(飛岡光枝選)です。(   )は添削例。
カフェきごさいズーム句会はどなたでも参加いただけます。右の欄よりお申込みください。

第一句座              
【特選】
初めての糸瓜咲きけり黃鮮やか     たきのみね
(金色に初めての糸瓜咲きにけり)
首のべて亀の噛みつく大暑かな     葛西美津子
鰭ゆらし夏のよどみへ金の鯉      葛西美津子
三伏のま白き鳩の歩み来る       葛西美津子

【入選】
雲の峰マンタと泳ぐ太平洋        藤倉桂
夏を告ぐほほづき市や空青し      前﨑都
おさがりの今年ぴつたり夏帽子     矢野京子
(今年ぴつたりおさがりの夏帽子)
ベランダのトマトを添えて夏料理    早川光尾
(ベランダのトマトを捥ぎて夏料理)
サングラス親指ぐいと踏み出しぬ      村井好子
犬用の合羽も干され梅雨晴間      赤塚さゆり
早苗田の影悠然と浅間山        藤井和子
(早苗田に影悠然と浅間山)
老い二人ほどよき間合ひ冷し酒       前﨑都
(老い二人ほどよき間合冷し酒)
茄子漬の白き切り口雨あがる      たきのみね
取取のマカロン並ぶ梅雨晴間      赤塚さゆり
(取り取りのマカロン並ぶ梅雨晴間)
心太割箸の香もすすりけり       高橋真樹子
(割箸の香をすすりけり心太)
金魚鉢ちがふ景色に移さるる      斉藤真知子
梅雨しとどグロリオーサは赤増しぬ   上田雅子
トンネルを抜け青田波青田波      村井好子
(トンネルを抜けて押し寄す青田波)
異国語は音楽めきて夏の夜       鈴木勇美
おのづと手を合はせてをりぬ滝の前   前﨑都
(おのづから手を合はせけり滝の前)
海の日や新日本丸の風受けて      花井淳
(海の日や新日本丸風受けて)
母のゐし夏の夕暮れ琥珀羹       葛西美津子
この星を焼き尽くさんと酷暑かな    藤井和子
(この星を焼き尽くさんと油蝉)
神鳴や我が夜我が街撃ちぬきて     鈴木勇美
青い目の少女うるはし浴衣かな     伊藤涼子
月明に似たる糸瓜の花一輪       たきのみね

飛岡光枝出句
どぢやう鍋ポンポン船の遠ざかる

第二句座(席題・登山、鰻)
【特選】 
鰻やのメニュー松竹梅とかいろはとか  上田雅子      
(うな重や松竹梅とかいろはとか)
うな重やちょつと寄り道鰻塚      藤倉桂
(うな重やちよつと手を合はせ鰻塚)

【入選】
女郎蜘蛛住んでをるらし登山小屋    伊藤涼子
山登りケルンに積みし石ひとつ     斉藤真知子
不忍の池見下ろして鰻食ふ       上田雅子
(鰻食ふ不忍の池見下ろして)
登山口熊に注意の六ヶ条        高橋真樹子
近江町はうなぎ鰻の熱気かな      花井淳
(近江町うなぎ鰻の熱気かな)
一献や鰻白焼きあればよし        矢野京子
リハビリの後の一鉢うなぎかな      前﨑都
百寿まで生きると決めて鰻喰ふ     高橋真樹子

飛岡光枝出句
富士登山父母かくも若かりき

浪速の味 江戸の味(八月) 鰻の蒲焼(落鰻)【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2024年7月31日 作成者: mitsue2024年7月31日

土用の丑の日に鰻を食べて精をつけ夏を乗り切る。平賀源内が広めた鰻の宣伝文句と言われていますが、近年の猛暑でその思いは強くなり鰻の人気はまさに鰻上りです。

古来から日本人の大好物だった鰻。万葉集には夏痩せにいいという歌で登場。その後の時代も味噌を付けたり膾などにするなどして食べられていましたが、ほぼそのまま輪切りにしていたようです。鰻の輪切りは中国旅行で経験しましたが生臭く、食いしん坊の私でも一口食べただけであとが続きませんでした。

江戸時代、蒲焼が登場すると鰻は別格となります。その様子は池波正太郎の『鬼平犯科帳』にも描かれています。

「辰蔵が子供のころは、鰻なぞも丸焼きにしたやつへ山椒味噌をぬったり豆油(たまり)をつけたりして食べさせたもので、江戸市中でも、ごく下等な食物とされていたものだ。(中略)それが近年、鰻を丸のままでなく、背開きにして食べよいように切ったのへ串を打ち、これを蒸銅壺(むしどうこ)にならべて蒸し、あぶらをぬいてやわらかくしたのを今度はタレをつけて焼きあげるという、手のこんだ料理になった。これをよい器へもって小ぎれいに食べさせる。(泥鰌の和助始末)より」

こうして鰻の蒲焼は江戸で大人気となり、鰻がよく獲れた深川を描いた画には「江戸前大かばやき」の幟を立てた露店がよくみられます。

因みに鰻の養殖が日本(世界)で初めて本格的に行われたのも深川でした。明治十二年、川魚問屋、服部倉治郎が深川の池で鰻の幼魚(クロコ)を育てたところからスタートしました。

江戸時代の鰻はもちろん天然ものばかりでした。海で生まれた鰻は川を上り2~3年で成魚になり、8年ぐらいで成熟すると秋、産卵のため川を下り海を目指します。その鰻を「落鰻(下り鰻)」と呼び、秋の季語となっています。その頃の鰻は脂が乗って美味しいとされ、その鰻を簗で捕らえるのが鰻簗です。卵を抱えて下る鰻を獲ると思うと少々切ないですが、季節感も一緒に味わっていたのではないでしょうか。

養殖技術の発展は素晴らしく、鰻を安定していただけることは本当にありがたいことです。あまり欲張ることなく、海を目指す鰻を心に描きつつ、美味しい鰻を食べて残暑を乗り切りたいと思います。               (参考・鰻割烹 大和田「鰻の蘊蓄」)

  闇縫うて一夜落ちゆく鰻かな  光枝

今月の花(八月) 西洋菩提樹の花

caffe kigosai 投稿日:2024年7月28日 作成者: mitsue2024年7月31日

ラクセンブルグの西洋菩提樹(写真の右上に実がみえます)

ウイーンから車で30分ほどのラクセンブルグ(Laxenburg)。広大な公園に犬を連れた人や子供たちと散歩中のご夫婦。樹々の間を渡ってくる爽やかな空気を吸い込みながらゆったり時が過ぎていくと感じるのは、今回のいけばなの仕事の旅がウイーンですべて終わったからでしょうか。

ラクセンブルグ一帯はかつて貴族の狩猟の場でした。またハプスブルグ家にゆかりがあり、エリザベート、つまりシシーがフランツ ヨーゼフ1世と新婚時代をすごした土地です。「ラクセンブルグ ポルカ」もここの宮殿で生まれたルドルフ皇太子にヨーゼフ シュトラウスからささげられた曲で、2008年ウイーンフィルのニューイヤーコンサートにも演奏されました。

草月流のウイーン支部長のヘルガと彼女の門下でオーストリア在住の日本人Fさんと生い茂る樹々を眺めながら歩きました。まだ青い木の実や草むらの花の名前を教えていただいたり、大きな草刈り機にかられ立ち上る草いきれに記憶をたどりました。

リンデンバウムの花

立ち止まったヘルガが、これがリンデンバウム、(別名リンデン)と指さした先は高さ3~40メートルにもなろうかというひときわ大きな木でした。シューベルトの歌曲集、「冬の旅」の中にある(菩提樹)は日本でも知られています。この菩提樹は西洋菩提樹(リンデンバウム)または西洋しなの木という名前です。

私たちが知っている、その下で仏陀が悟りを開いたというクワ科のインド菩提樹とは異なります。また、日本の菩提樹は中国原産のしなのき科です。山地に生える大葉菩提樹もありますが、いずれも高さはせいぜい10~20メートルだそうです。

日本ではお寺などに植えられているからなのでしょうか、菩提樹をいけたことがなかったことに私は突然気が付きました。インド菩提樹の代わりに日本のお寺には日本の菩提樹が植えられているのでしょう。その実は数珠にも使われるそうです。

西洋菩提樹は夏にすこし黄色がかった花をかたまってつけ、蜂が蜜を集めにやってきます。でもこの時は先のやや尖った丸い葉の間にも花は見つけられませんでした。七月になろうとする今年のウイーンは異常に暑かったので、花は終わってしまったのかもしれません。

いつも自宅の庭から花材を切ってくるドイツの方に、お庭にこの木はありますか?と聞いたところ「自宅の庭は小さいからとんでもない。リンデンバウムは大きく成長するので街路樹に多いですね」と言われて納得しました。

ヘルガは「あそこにも若木が、あちらにも」と、すっと立っている1メートルほどのリンデンバウムの若木数本を見つけました。ヨーロッパのリンデンバウムの樹齢は千年近くになるものもあり、植物を大切にしたといわれるエリザベートも、この辺りのリンデンバウムを見ていたのでしょうか?もちろん、波乱に満ちた人生が待ち受けていることは彼女にはその時想像するすべもなく。(光加)

今月の季語(八月) 秋の風(2)

caffe kigosai 投稿日:2024年7月17日 作成者: masako2024年7月21日

立秋を過ぎても、風を〈秋〉とは到底思えぬ昨今です。夕方になれば「夕風が立つ」かもしれぬと、はかない願いを抱いてもみるのですが。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる     藤原敏行『古今集』

早くおどろきたいものです。せめて先人の句を読みながら、秋風の記憶をたどってみましょう。

 

あかあかと日はつれなくもあきの風    芭蕉

※原句の「あかあか」にはくりかえし記号が使われています。

石山の石より白し秋の風                 芭蕉

つる草や蔓の先なる秋の風             太祇

 

芭蕉の一句目、あかいのは「日」ですが、風もあかく熱をもっているように感じます。二句目は白秋の風です。五行では白は秋の色です。視覚でとらえていますが、肌触りもさっぱりしていそうです。

 

太祇の句も視覚の風でしょう。「蔓の先」以外は動いておらず、先だけがあるかなきかの風をとらえているのです。背景には秋の青い空が広がっていそうです。

 

夜もすがら秋風聞くやうらの山        曽良

秋の風三井の鐘より吹き起る            暁台

 

一晩中裏山に風が鳴っていたとは、曽良は風音に寝付けなかったのでしょうか。〈初嵐〉かもしれません。

暁台は、三井寺の鐘が風に共鳴するのを聴き留めました。〈秋の初風〉と呼ぶ風ではないでしょうか。

 

十団子(とおだご)も小粒になりぬ秋の風    許六

淋しさに飯をくふなり秋の風                        一茶

 

許六の句を芭蕉は「此句しほり有」と評したそうです(『去来抄』)。〈秋の風〉の「あはれ」をさらりと表現した手腕を褒めたとされます。食べ物で「あはれ」を表すとは、和歌にはあり得なかったことです。ただ現代の私たちには、このくだりは理解しづらいかもしれません。

一茶の句は、食が細らないところが俳諧的ともいえましょうが、理屈をこねなくても分かる句です。食べて紛らわせることならば、私たちも日常的にやっていそうです。

食べ物との取り合わせの句を挙げてみましょう。

 

秋風や鮎焼く塩のこげ加減                 永井荷風

秋風や甲羅をあます膳の蟹                 芥川龍之介

あきかぜや皿にカレーを汚し食ふ      櫻井博道

 

食べ物の句は視覚嗅覚のほかに、必ず味覚が発動しますし、聴覚や触覚も動員されるでしょう。おのずと身体全体で捉えて詠むことになりそうです。

 

死骸(なきがら)や秋風かよふ鼻の穴      飯田蛇笏

吹きおこる秋風鶴をあゆましむ                 石田波郷

 

秋風の「あはれ」といわれて咄嗟に思い出すのはこれらでしょうか。

 

遠くまでゆく秋風とすこし行く          矢島渚男

うしろより来て秋風が乗れと云う      高野ムツオ

 

多く行ったり、乗ってしまったりしたら、どこへ行きつくことやら。

 

あきかぜにいちいちうごくこころかな     池田澄子

秋風や柱拭くとき柱見て                            岡本 眸

 

この秋は、琴線に触れたものを「いちいち」書き留めてみることにしましょうか。(正子)

 

 

第十五回 カフェきごさいズーム句会 句会報

caffe kigosai 投稿日:2024年6月30日 作成者: mitsue2024年6月30日

2024年(令和六年)六月八日のカフェズーム句会、句会報告(飛岡光枝選)です。(   )は添削例。
カフェきごさいズーム句会はどなたでも参加いただけます。右の欄よりお申込みください。飛岡光枝

第一句座              
【特選】
父の日やカードで開ける父の墓         上田雅子
黒南風や苔を舐めとる鯉の口          葛西美津子
黴にほふ母のバッグの捨てられず        伊藤涼子

【入選】
酒盗ひと口冷酒ひと口八丁堀           花井淳
(酒盗ひと箸冷酒ひと口)
梅雨晴れ間キャベツ千切りシャキシャキシャキ  藤倉桂
(梅雨晴間キャベツ千切りシャキシャキと)
紫陽花の路地の奥なる書道塾          鈴木勇美
洗鯉あかね色の空惜しみつつ          矢野京子
ライラックこの街に住み二十五年 高橋真樹子
幾万の中の五百句夏ふかむ           斉藤真知子
火を恋ふる翅美しや虫篝            上田雅子
(焼き尽くす翅美しや虫篝)
下手な句をまだ捨てられぬ暑さかな       斉藤真知子
めまとひを払ひながらの案内かな        矢野京子
老鶯や筧を走る山の水             葛西美津子
鱚三十天ぷらにまた風干しに          葛西美津子
あぢさゐの道の果なき夫逝きて         花井淳
(あぢさゐの道の果てなし夫逝きて)
柚子の花旅のひと日の芳しく          伊藤涼子
五月雨の神社に赤き芝居小屋
          鈴木勇美
田水張り煙草喫ふ父眩しげに          早川光尾
(眩しげに煙草喫ふ父田水張り)
あぢさゐや傘とほり過ぐ塀の上         矢野京子
麦秋や砲声未だ鳴り止まづ           早川光尾

飛岡光枝出句
舌出すに似て薄羽の天道虫 

第二句座(席題、青梅、アマリリス)
【特選】
家中に籠の実梅の匂ひけり       斉藤真知子
そこいらの竿もて落とす実梅かな    前﨑都

【入選】
青々と瓶に沈めて梅酒かな       上田雅子
(青々と瓶に沈みて実梅かな)
アマリリスけふ開くかと思ひしが    斉藤真知子
つば広の帽子深めにアマリリス     前﨑都
青梅のぷかりぷかりと瓶の中      斉藤真知子
Tシャツの魔女の行方にアマリリス   高橋真樹子
(猫つれて魔女の行方やアマリリス)
アマリリス遠く聞こえて来るロンド   たきのみね
女冥利真夜の厨の梅仕事        藤倉桂
青梅を一つ拾ひていかにせむ      伊藤涼子
ご隠居の自慢の実梅届きけり      赤塚さゆり

飛岡光枝出句
飛梅やいよいよ青き実をつけて

浪速の味 江戸の味 七月【したたり】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年6月30日 作成者: youko2024年7月1日

七月の京都は祇園祭。コンチキチンのメロディーが街に流れ鉾が建てられてゆくと、いよいよやなと胸が高鳴ります。

菊水鉾は、町内にあった古い井戸、菊水井にちなんだ名前で鉾頭には金色の透かし掘り菊花が輝きます。元治元年(1864年)に焼失し休んでいましたが、昭和27年(1952年)に再興されました。稚児人形は、菊の露を飲んで長寿を保った菊慈童(枕慈童)で能装束舞姿です。

菊水井のあった大黒庵の主で、千利休の師である茶人、武野紹鴎(じょうおう)にちなみ7月13日~16日の午後には、菊水鉾町会所の2階に御茶席が設けられます。チケットを買って参加します。御薄の前に、菊慈童にちなんだ「したたり」という菓子が出されます。「したたり」は、黒糖を使った琥珀寒です。「したたり」という名前にふさわしい見た目も涼しいお菓子です。食べると黒糖のまろやかな甘さが口にひろがります。寒天でつるんと喉を通ってゆきます。

このお菓子は、京都大丸百貨店の近くにある「亀廣永」で製造、販売しています。昨日、お店に行って棹物菓子「したたり」を買ってきました。52年前から、御茶席に「したたり」が使われるようになったそうです。店内には、当時の八坂神社宮司による「したたり」の墨書が飾ってありました。次から次に地元のお客さんが入ってきて、店主ご夫妻が笑顔で接客しておられました。一足早く祇園祭気分になりました。

したたりや菊水鉾の立ち上がる  洋子

 

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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