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浪速の味 江戸の味 【3月】草餠(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2020年2月22日 作成者: youko2020年2月25日

菅原道真を祀った天満宮は各地にあります。太宰府天満宮、北野天満宮などがよく知られています。大阪天満宮は、日本一長い天神橋筋商店街の天神橋筋二丁目商店街のすぐ傍にあります。天満宮の門前には繁昌亭という寄席があり、にぎわっています。

大化改新にあたり孝徳天皇は、飛鳥より難波長柄豊崎宮に皇居を移され、その宮跡に難波宮は建てられました。そして都の北西を守る神を祀るため大将軍社が建てられました。

延喜元年(901年)、太宰府に向かう菅原道真はこの大将軍社に参り、旅の無事を祈願されました。太宰府で菅原道真は亡くなりましたが、その後村上天皇の勅命でこの地に社を建て、菅公の御霊を厚く祀られました。現在、天満の天神さんと親しみをこめて呼ばれる大阪天満宮は、学問の神様として知られ、受験生をはじめ多くの参拝者が訪れます。

二月は、菅公ゆかりの梅が見ごろで、盆梅展が開催されます。七月二十四日、二十五日には、日本三大祭の一つである天神祭が開催され、大阪天満宮界隈に見物客が大勢つめかけ熱気に包まれます。

そんな天満の天神さんにちなんだ草の餠があります。天神橋筋商店街にある和菓子屋さんが大きめの草餅にさっと焼き目をつけて、熱々を売っています。蓬の香りと焼き目の香ばしさ、餡のほどよい甘さが口いっぱいひろがります。その餠の名は「天神大焼」。受験生に力をつけてくれそうです。

草餅や絵馬に大きく志望校    洋子

浪速の味 江戸の味 【一月】 蕪蒸(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2019年12月22日 作成者: youko2020年1月22日

浪速の伝統野菜の一つに「天王寺蕪」があります。蕪は七世紀ごろ、中国から伝わり、古くから食べられてきました。春の七草の「すずな」は蕪の葉を指します。東日本は小蕪が多いですが、天王寺蕪や京都の聖護院蕪は大きめです。聖護院蕪は千枚漬で知られています。

江戸時代初期の生保二年(1645)刊である松江重頼の俳書『毛吹草』に、天王寺蕪が出てきます。また、重頼は天王寺蕪の俳句を詠んでいます。

天王寺蕪も民を助くるなり  重頼 「名取川」

江戸中期以降、料理に関する出版がさかんになります。蕪も漬物や煮物以外に「蕪蒸」などの蒸し物が紹介されています。まず、碗に白身魚の切り身、茸、銀杏などを並べます。塩を少々加え泡立てた卵白と皮をむいた蕪のすり身とを合わせ、具材の上に載せ蒸します。薄口しょうゆと味醂で味を調えた出し汁にとろみをつけます。蒸し上がった碗にその出し汁をかけます。寒い日にぴったりの料理です。

徳岡神泉の絵画「蕪」は、葉を短く切った蕪が一つ描かれています。魂を描くとこの蕪になるのかなと思わせる白い蕪がふわりと浮かんでいます。大根はたくましい感じですが、まあるい蕪は優しい印象を受けます。蕪蒸も優しい料理だと思います。

残業の我に褒美や蕪蒸   洋子

浪速の味 江戸の味 (12月)うどんすき(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2019年11月21日 作成者: youko2019年11月21日

冷え込む日が続くと食べたくなる温かいおうどん。各地に名産のうどんがあるが、大阪のおうどんは、腰が強すぎず食べやすい。昆布、鰹節等でとった出汁が決め手である。南船場の「松葉家」や道頓堀の「今井」のきつねうどんは、甘辛くふっくらと煮たお揚げさんと出汁がよく合い、浪速うどんのよさが味わえる。

日常的に親しまれているきつねうどん。対して豪華なうどんメニューと言えば「うどんすき」であろう。忘年会、新年会はじめ宴会にぴったりである。

創業250年の「美々卯」のうどんすきは、浅いステンレスの鍋に味を調えた出汁を入れ、蛤、カニ、海老、穴子、鶏肉、椎茸、白菜などを入れ、うどんも一緒に煮込む。

寄せ鍋や鋤焼のしめにうどんを入れるのとは違う。うどんすきはうどんがメインなのである。具材の旨味を吸収したうどんの旨さは絶品である。

鋤のイメージからステンレスの浅い鍋なのだろうか。名店のうどんすきは色とりどりの花畑のように美しく、味とともに目でも楽しめる。

我が家でも広口のステンレス鍋を使い、うどんすきを作った。昆布と鰹節で出汁をとり、白だし醤油と酒と砂糖で味を調えた。名店の華やかさはなくとも、蛤の代わりに浅利、芝海老の代わりに冷凍エビを使い、鶏肉、穴子、白菜、葱などを入れ、具材の旨味が味わえるうどんすきになった。

それにしても、うどん好きの大阪人としては「うどんすき」のネーミングはぴったりだと感心している。

退院の母と連れ立ちうどんすき    洋子

浪速の味 江戸の味(10月)船場汁(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2019年9月22日 作成者: youko2023年12月23日

江戸時代から船場は大阪の商業・金融の中心でした。今の北浜や御堂筋を含む大阪市の中央部にあたります。

大阪は食い倒れといわれますが、「朝の粥昼一菜夕茶漬け」というように商家の日常の食事は質素で、奉公人の食事に魚が出るのは月に二度か三度でした。

桂米朝の「百年目」(『米朝落語全集第六巻』)は「これは船場の御大家のおはなしで・・・」で始まります。「船場あたりの商家のお食事というのは、朝は温いご飯に漬物でんねん。で、昼は温いご飯に、おかずが何か一品つきます。で、晩は冷や飯と漬物で・・・。もう漬物ばっかり食べてた。その代わりその漬物とご飯は、なんぼ食べてもかまわなんだやそうです。・・・その代わり、お一日や、十五日や、祭りや盆や、正月、節句やというたら、そういう時にはいろいろご馳走がつく。それが何よりの楽しみやったんですな。」大店のハレとケの奉公人の食生活が思い浮かびます。

日ごろのまかない料理の一つに「船場汁」があります。船場汁は鯖(塩鯖)のアラを利用したものです。切り身は塩焼きや煮付にし、アラで船場汁を作ります。捨てることなく食材を使いきる始末の精神が発揮されています。

生臭みを取るため、熱湯をくぐらせ、水洗いをした鯖のアラで出汁をとり短冊に切った大根を煮て、塩味をつけると(塩鯖ならもともとの塩分が生かされる)旨い汁ものになり、丁稚たちも楽しみにしていたそうです。浪速は昆布で出汁を取るので、昆布や大根以外の野菜を加えたりして、その家の味を出していたようです。

秋の終わりから冬にかけてがおいしい汁ものです。

秋鯖のアラの手柄や船場汁   洋子

 

浪速の味 江戸の味(八月)水茄子(浪速) 

caffe kigosai 投稿日:2019年7月21日 作成者: youko2019年7月23日

暑い日が続くと食が進まないことがあります。そんな時、茄子の漬物で茶漬けを食べると食欲が出ます。漬物の中でも、茄子は茄子紺と言われる涼しい色と風味が魅力です。焼いても、蒸しても、揚げても茄子は美味しい。

茄子は、インド東部が原産といわれています。日本に伝わったのはかなり早く710年頃の長屋王家の木簡に「韓奈須比二斗」と、東大寺の『正倉院文書』(750年)に「茄子献上」と記されています。渡来人とともに大陸から伝わり、天皇等への献上のため栽培されたようです。

室町初期と推定される初歩教科書の『庭訓往来』の点心、菓子の項に「澤茄子」、室町南北朝時代の『異性庭訓往来』の菓子の項に「水茄子」と記され、古くから水茄子が栽培されていたことがわかります。果物の一種として生で食することができる品種ととらえられていたようです。

各地に名産の茄子があり、関西では京都の丸い賀茂茄子が有名です。浪速には電球形の水茄子があります。泉州(大阪南部の岸和田、貝塚、泉佐野、泉南市)の主に河川に近い肥沃な土壌で栽培されてきた水茄子は、その名前通り、水分たっぷりで柔らかな果肉はフルーツのような香りがします。「炎天下の農作業で喉が渇いた時に食べて渇きを癒した」と言われるほどです。一夜漬けにすると絶品です。

他の土地で同じ種子を使っても、栽培条件が変わると茄子の形質が変わってしまうことや果皮がとても薄く長距離輸送に耐えられないこともあり、地域独特の伝統野菜として受け継がれてきました。しかし、近年の品種改良や輸送手段の向上などで他地域へも流通するようになりました。

瑞々しい水茄子を食べて残暑を乗り切り、元気に秋を迎えましょう。

泉州の水のうまさや水茄子   洋子

 

浪速の味 江戸の味(六月) 鱧の皮(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2019年5月22日 作成者: youko2019年5月24日

あとひと月で七月である。七月の京阪は、祭に始まり祭に終わる。中でも京都の祇園祭、大阪の天神祭は熱気で暑さも最高潮になる。そんな祭にかかせないのが「鱧」である。海産で、鰻に似た全長一メートルの円筒状の硬骨魚である。鋭い歯を持ち、噛みつく習性を持っている。「食む(はむ)」がなまってはもになったとも言われている。

小骨が多く、骨抜きではとれないので骨切りをする。腹開きした身を皮を下にして、身と骨だけ二~三ミリ間隔で切ってゆく。熟練を要する技である。淡泊なうま味を生かし、白い花のような湯引き鱧、照り焼き、天ぷら、鱧鮓、鱧のおつゆなどのごちそうになる。練り製品の原料にもなる。大阪では、残った皮をつけ焼きにして「鱧の皮」として蒲鉾屋で売っている。

大正三年に発表された上司小劍作の小説『鱧の皮』は、当時の大阪商人の暮らしぶりをいきいきと描いている。小説の中に「鱧の皮、細う切って、二杯酢にして一晩ぐらゐ漬けとくと、温飯に載せて一寸いけるさかいな。」という会話が出てくる。捨てるような部分も生かすのが大阪商人の知恵である。鱧の皮を胡瓜揉みと和えた酢の物は「胡瓜のざくざく」という酒の肴にもよろしい一品となる。

まかなひに安うてうまし鱧の皮    洋子

浪速の味、江戸の味 (四月)桜餅

caffe kigosai 投稿日:2019年3月22日 作成者: youko2019年3月28日

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桜の花が開くころ食べたくなる桜餅。関東と関西ではその姿は異なる。関東では小麦粉の生地を薄くのばして焼いた皮で餡を巻き、塩漬けの桜の葉で包む。関西では、道明寺粉の生地で餡をくるみ、桜の葉の塩漬けで巻く。関東の桜餅はさっぱりとしたクレープのような、関西の桜餅はもっちりとした食感である。初めて長命寺ゆかりの桜餅を食べたのが三年前で、それまでは道明寺粉の桜餅しか知らなかった。姿、食感は違ってもそれぞれおいしいし美しいと思う。

桜餅は桜の名所で知られた江戸向島の長命寺の門番山本新六が考案し売り出したのが始まりといわれている。文化・文政年間(1804~1830)には大評判となった。いつごろから小麦粉を原料とするようになったのかは不明である。江戸後期の随筆『嬉遊笑覧』には、初めはうるち米の粉仕立、後に葛粉で作られるようになったとある。他の文献では小麦の粉を練り蒸して生地にしていたと書かれているので、店それぞれが工夫していたのであろう。評判になった桜餅は各地に広まる。

大坂では道明寺糒(ほしいい)を原料にして作られた。道明寺は藤井寺市にある菅原道真の叔母、覚寿尼ゆかりの寺である。覚寿尼は道真が太宰府に下った後、毎日陰膳を供え無事を祈った。そのご飯のおさがりが病気回復にご利益があったので広く求められるようになったといわれている。道明寺糒は、もともと飯を干したものであった。現在はもち米を水に浸した後、蒸したものを乾燥させ粒子をそろえた道明寺粉が使われる。

どちらの桜餅も桜の葉の塩漬けがあればこそで、桜餅の風味の立役者である。

初役にいどむ稽古や桜餅   洋子

 

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 浪速の味 江戸の味

浪速の味 江戸の味 2月、ぬくめ鮓

caffe kigosai 投稿日:2019年1月21日 作成者: youko2019年1月23日

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鮓は唐から伝わり、平安朝のはじめには広がっていたという。魚を用いた発酵食品である熟鮓である。魚の内臓をとり一夜漬けしたものに冷ました米飯を埋めるようにして重ね、重しをかけ発酵させる。夏の間に漬けこんだので夏の季語となった。発酵がもたらす酸っぱさは、酢を使うようになり手軽に鮓を作れるようになった。暑い時期に飯の防腐の面でも酢は有効である。

江戸前の握り鮓に対し浪速は箱鮓、巻鮓である。火を通したり、塩や酢や昆布で下味をつけ、生ものである握り鮓よりは持ちがよかった。行楽の弁当などに重宝である。

そのような夏の鮓に対し、京阪には冬ならではの鮓がある。ぬく鮓、ぬくめ鮓である。鮓飯に味をつけた椎茸、干瓢をまぜ、蓋付茶碗に盛り、好みで穴子海老などをのせ、蒸籠で蒸す。仕上げに錦糸卵をたっぷりとのせ、紅生姜を彩りに置く。別名茶碗ずしとも。最近は、見かけなくなったが、おすもじ屋のかどには、ぬくめ鮓の蒸籠が湯気を上げていた。

蒸すことで、酸味が柔らかくなる。あっさりと温かいぬくめ鮓は消化もよく、心までほっこりとさせてくれる。

蓋とれば湯気ほんのりとぬくめ鮓   洋子

a la carte 門松

caffe kigosai 投稿日:2017年12月30日 作成者: youko2018年1月1日

 正月の神祭の場所であることを示し、歳神様を迎える門松。松飾などとも言い、松をはじめとする常緑樹の緑が冬枯の景色の中でひときわ美しい。自ずと新年を迎える心持になる。吟行で先日、掛川市八坂にある事任(ことのまま)八幡宮を訪れたところ、鳥居の傍らに門松が立てられていた。「枕草子」にも(ことのままの明神いとたのもし)とこの社の名前が登場する。東海道筋の箱根に次ぐ難所といわれた小夜の中山の手前に鎮座している。道中の無事を祈って、昔の人々はこの社に参った。和歌にも詠まれ、多くの紀行文にも記載されている。真を知る神、言の葉で事を取り結ぶ働きをもたれる神、言の葉を通して世の人々に加護を賜う「ことよさし」の神である。ことだまの社である。しっかりとお参りをした。みなさま、よい歳をお迎えください。

門松やはるかに白き富士の山     洋子

 

a la carte 蓮池

caffe kigosai 投稿日:2017年7月4日 作成者: youko2017年7月5日

万博記念公園の蓮池に行きました。

1970年、大阪の千里丘陵で開催された日本万国博覧会の跡地が記念公園になっています。当時植えられた樹木が、半世紀近く経過した現在、大緑陰をつくっており、訪れる人々の憩いの場となっています。公園を歩きながら、当時何度か万博に通い、各パビリオンの描く「未来」にわくわくしたのを思い出しました。

蓮池は日本庭園内にあり、1200株の蓮の花がちょうど見ごろでした。水面からすっくと茎が伸び、蓮の葉が風に翻っています。明日咲きそうな莟には、エネルギーが充満している感じです。蓮池を見渡せるベンチに休憩しながら「天上界ってこんなところかも」と思いました。

蓮の花が咲くこの時期に、早朝観蓮会が開催されます。そして、大きな蓮の葉の中心に穴を開け、酒を注ぎ、切断した茎をストローにして飲む「象鼻杯」を楽しみます。飲んだ方に伺ったところ、蓮の茎の苦味が少し加わった味わい深いお酒だそうです。(洋子)

ぽんと咲く音を聞きたや蓮の花    洋子

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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