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ラナンキュラス

caffe kigosai 投稿日:2014年4月17日 作成者: koka2014年6月21日

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日に日に暖かさを感じる頃、それにタイミングをあわせるように春の光と空気を薄い花びらの間にためこみながら、ラナンキュラスはだんだんと大きくなっていきます。婚礼準備中のホテルの作業場で、大きな薔薇と見紛うような白いラナンキュラスが晴れの日のテーブルを飾るべくたっぷりといけられているのを見かけました。

コロンとしたこの花の小さな蕾だけをみていても、あとでかさかさと音がしそうな紙のような花びらが、種類によっては200枚以上もあるものに成長していくことは想像できないでしょう。

この花は一重の小さいものから開くと直径15センチくらいになるものまであり、色もピンク、白 黄色 赤、オレンジ、紫、また縁取りのあるもの、色の混じったものなど様々です。はっきりした明るい色が、(ラナンキュラス アシアテイクス)とよばれる種類から様々に改良されたこの品種の特徴です。形も八重はもちろん、半円球から円球に近づくのではと思える開き方をするもの、中には縁取りがあったり、くしゃくしゃとした花びらのものもありこの花に魅了された人たちによってあらゆる色と形が今でも作り出されています。

球根から発芽するラナンキュラスは、もともときんぽうげ科のきんぽうげ属です。そのきんぽうげ(金鳳華)の別名は(馬のあしがた)。きんぽうげ属のなかで他に日本の野原でみかけられるものといえば、(きつねのぼたん)という植物があります。

もともとラナンキュラスの名前の(ラナ)は(カエル〕それもラテン語で小さなカエルを意味するそうです。その名前は、この植物が水に近い場所を選ぶ性質から来ているらしいのです。また、葉の形がカエルの足に似ているからともいわれれば、水かきのようにも見える葉をながめているうち、カエルの化身かと思えてきます。いずれにしても動物の名に不思議と縁のある植物です。

改良種の中には丈の短かめのものもありますが、花の大きさにくらべて細く長い茎が気にかかります。こんな茎の繊細な線で、薄くはあるがたくさんつけている花びらを支えられるのかと思ってしまうのです。そんな心配をよそに、ラナンキュラスの花は、ニュウッと伸びた茎の頭にバレエの衣装のチュチュのような軽やかさと華やかさをもった花をかかげ、春の進み具合をきょろきょろと偵察しているようにもみえます。

そして自然界では動物たちの動きも一段と活発になっていくのです。(光加)

ヴィーナスの息ラナンキュラスをふくらませ 光加

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 花

a la carte_花吹雪

caffe kigosai 投稿日:2014年4月16日 作成者: youko2014年4月24日

yosino4月13日、14日と吉野山で恒例の花の句会がありました。私は、十年余り通い続けていますが、今年はまさに満開の花を見ることができました。

これまで、咲き始めたばかり、逆にほとんど散っていたり、雨だったりと、さまざまなその年の花を見てきました。今年は、下千本、中千本が満開。上千本もほぼ満開で、奥千本は咲きはじめという花見のベストタイミングでした。14日朝は快晴で、句会は満開の花の吉野山を一望できる大広間で行われました。

吹き上げて谷の花くる吉野建  飴山 實

まさにこの句の通りです。心奪われたのは、花吹雪のショータイムと呼びたい光景でした。前触れの一陣の風が大きな玻璃戸を鳴らします。一呼吸おいて、谷からたくさんの花びらが勢いよく吹き上がってきます。天上に飛んでいくのかと思うほどです。風に乗って花びらはくるくる舞いながら、上下左右に飛びまわり、山手にさっとはけてしまいます。再び風が吹くと、次の花吹雪がやってきて存分に舞ってくれます。今年の美しい花の句会を、生涯忘れないと思います。(洋子)

朝の句座のぞきにくるよ花吹雪  洋子

a la carte 灌仏会

caffe kigosai 投稿日:2014年4月8日 作成者: youko2014年4月9日

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4月8日は釈迦の誕生日とされ、その降誕を祝して行う法会が灌仏会です。仏生会、降誕会、花祭などとも言います。花で飾った小さな堂(花御堂)を作り、中に甘茶を湛えた水盤を置き、誕生仏を安置し、甘茶を灌ぎます。

釈迦は生まれた時、天地を指して七歩進み「天上天下唯我独尊」(宇宙間に自分より尊いものはない)と唱えたと言います。その時龍王が甘露の雨を降らせたという言い伝えにより、水盤の甘茶を柄杓で掬い、右手で天を指す小さな誕生仏に灌ぎます。

今日、四天王寺の灌仏会に行き、誕生仏に甘茶を灌いできました。お参りする人々にひっきりなしに甘茶を灌がれ、湯気が立ちそうなつやつやの誕生仏でした。甘茶の接待も受けました。ほのかな甘みがありおいしかったです。

灌仏の日に生れあふ鹿の子かな  芭蕉

灌仏会と言えば、晴れやかなこの句が真っ先に浮かびます。今日は暖かく、池の亀はのんびり泳いだり甲羅干しをしていました。鹿の子だけでなく、灌仏の日に誕生した亀の子もいたことでしょう。灌仏の日に生まれた全ての生き物に誕生おめでとうと言いたいです。(洋子)

灌仏会天地の間に生まれけり  洋子

スノーフレーク

caffe kigosai 投稿日:2014年4月4日 作成者: koka2014年6月21日

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大待雪草〔おおまつゆきそう〕という名のほかに、鈴蘭水仙という名もあるスノーフレーク。けれど(雪のひとひら)という意味の「スノーフレーク」とそのまま呼んだほうが、その清楚な花の色と姿に似つかわしい気がします。

葉はまっすぐに伸び、先まで40センチほどの明るい緑色で水仙の葉によく似ています。純白の花は釣鐘のように下を向き、一本の花茎におのおの距離を置き数個下がって咲きます。花と葉をみれば鈴蘭水仙といわれる理由がわかります。

小さな花の6つに分かれた花びらの先端近くに、緑の斑点がそれぞれについているのが大きな特徴で、英語名はsummer snow flake,夏の雪のかけら、の意味です。ヨーロッパ中南部原産で園芸種もたくさんあります。

数年前、オーストリアのウイーンから車で2時間あまりのグラーツでいけばなのセミナーに招かれた事がありました。このグループでの催しは初めての運営ながら大成功に終わったのは、先頭にたって家族ぐるみで計画から実行まで親身になって切り回してくれたDさんのおかげでした。大学教授のご主人は連絡と花器や花材をはこぶドライバー。本番の週末はカメラマンに徹して記録係。お嬢さんのTさんはボーイフレンドまでまき込んで会場設営はじめもろもろの細かいことを率先して手伝っていました。

この街を発ちウイーンに戻るとき、見送りにきてくれたこのTさんが〔さよなら〕のキスとともに渡してくれたのが、庭に今を盛りと咲いてたこのスノーフレークでした。くしゃくしゃの茶色い紙の中から出てきたそのひがんばな科の花は日本のものより少し大ぶりで、花びらの緑の点の色もわずかに薄かったのですが、どう見てもそれはスノーフレーク。「オーストリアでは、このあたりだったら今頃どこでも咲いているのではないかしら,このfruhlingsknotenblumeは。ちなみにfruhlingは春という意味」と彼女は説明してくれました。英語では頭に(夏)がつくスノーフレークですが、ドイツ語では(春)とつくのでした。グラーツでは2月末から3月になると見ごろをむかえ、もうすぐ一気に春の盛りを迎えるという自然の予告なのでしょう。

そういえば数十年前、東京の我が家の庭にもスノーフレークがあったことを思いだしました。毎年4月頃になると花壇の隅の同じところに咲いたのは 球根だからなのでしょう。花屋では切花では見かけたことはありませんが、近頃では園芸店では鉢で見かけることがあります。秋の初めには、秋咲きスノーフレークautumn snow flakeというピンクの淡い花を咲かせるものがあると聞いたので、今年は手に入れたいと思っているところです。(光加)

春深しスノーフレーク花ゆれて 光加

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 花

a la carte_木五倍子(きぶし)の花

caffe kigosai 投稿日:2014年3月20日 作成者: koka2014年6月21日

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木五倍子、と書いてすぐに(きぶし)と読める人は俳句や短歌をなさっている方たちを除けば 意外と少ないのではないでしょうか。

年に一度か二度、この季節にこの花きぶしを手にすることはありますが、私がこの漢字を知ったのはいけばなをはじめて数十年たってからの事でした。

すこし撓んだ線を描く枝から、薄緑の4cmから8cmくらいの花の房がたくさん垂れ下がっています。はじめは枝と同じ茶色をまとって下がっている花々ですが、うす緑の花の先が現れて開きはじめると、あとを追いかけるように枝先から縁にぎざぎざのある葉がひとつ、またひとつと芽吹いては開いていきます。

鐘の形のようなこの花のひとつひとつの長さは7ミリにも満たないのですが、花達は行儀よくびっしりと集まってひとつの房を形成して、その房が隣り合って枝の上で同じ方向を向いて下がっているのです。この姿が藤に似ているというので、きふじ〔木藤〕ともよばれています。

たっぷりと花房をつけていても、枝をもってみれば全体は見た目よりは重さは感じません。その褐色の少し光沢のある枝のおおらかな線が、早春独特の浅い黄緑の花をよく目立たせています。花の初々しい緑は、いってみればベビーグリーンでしょうか。嬰児(みどりご),という言葉を思い出させるきぶしの花の色です。

同じような植物で、少し花や枝が大きいものを見かけたら、それは変種の八丈木五倍子(はちじょうきぶし)です。

ところで日本原産のこの植物にどうしてこの漢字をあてるようになったのでしょうか。
この、木五倍子の字から〔木〕をとると五倍子となり、フシと読みます。フシとは虫がうるし科のヌルデなどの葉についてつくるコブをかわかしたものをさすそうで、染料になります。フシに酸化鉄など他の材料を混ぜてつくられるもののひとつが、お歯黒に使われます。その五倍子の代わりとして使われたのがこのきぶし、つまり(木)の五倍子というわけで、染料になるのは木五倍子の花ではなく、やがて結実して黄褐色になった1センチくらいの実からとったものです。

山すそを歩いていると、芽を出し始めた木々の中でたくさんの花序が垂れ下がり、風に揺れているやさしげな、けれど素朴なこの花に会うことがあるでしょう。その風は、間違いなく春の風ということがわかる木五倍子の花なのです。(光加)

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 花

『大人も読みたい こども歳時記』のすすめ

caffe kigosai 投稿日:2014年3月6日 作成者: youko2014年3月22日

0308先日、小学館から刊行された『大人も読みたい こども歳時記』(長谷川櫂監修、季語と歳時記の会編著、1600円+税)を早速使っています。使いやすく、タイトル通り子どもも大人も読みたくなる内容です。

春・夏・秋・冬・新年の季語群のインデックスが5色に分けてあるので、とても引きやすいです。1ページに季語が2つずつ。本格的でわかりやすい季語解説。例句は子どもと大人の名句が3句。漢字にはルビがふってあります。そして全ての季語に、いきいきとしたカラー写真がついています。子どもの笑顔が印象的で見ているだけで幸せな気分になります。子どもたちが季語に親しみ、俳句をいっぱい作ってくれるといいなと思います。

「俳句の作り方のポイント」や「にゃーたが教える句会のやり方」は、俳句作りや句会の実践に役立ちます。にゃーたというのはイラストに登場する俳句の好きなかわいい猫の名前です。初めて俳句を作る子どもたちはもちろん、指導される先生方の心強い味方になることでしょう。

また、家庭でもこの歳時記をガイドブックに俳句を作ってみてはいかがですか。例えば、1つの季語を選んで家族が1句ずつ詠むと個性の違いが出て楽しいのではないでしょうか。

大人にとっては、例句に載っている子どもたちの俳句がよい刺激を与えてくれると思います。「はっきりとわかりやすく」「言われてみるとハッとする新鮮な俳句」を詠みたいと思っているのですが、「説明」「理屈」「意味不明」などに陥ることがあります。そんな時、子どもたちの俳句に触れると喚起されるものがあります。例句の中から子どもたちの俳句をいくつか紹介します。

ひな祭り結婚するなと父が言う  萌(小5)

カランコロン氷の音して夏が来た  栞(小4)

えだまめとぐりんぴいすはいとこかな  歩夢(小1)

着膨れやチャック開けるとまたチャック  愛子(小5)

福寿草飾りのごとく生えてをり  裕隆(小4)

いいな、おもしろいなと感じたことを素直に詠んでいます。言われてみるとハッとする俳句です。作者の思いが読者にきちんと伝わり、新鮮な感動が生まれます。監修の長谷川櫂さんが、この歳時記の冒頭「子どもの俳句、大人の俳句」の中で述べているように大人は子どもの俳句にこそ大いに学ぶところがあると思います。(木下洋子)

 

a la carte_曲水の宴

caffe kigosai 投稿日:2014年3月4日 作成者: yoshiko2014年3月22日

kyokusui三月に入り、春の日差しを感じる頃となりました。
太宰府天満宮で行われた曲水の宴を見に行きました。
これは、平安時代に宮中行事として始まったもので太宰府では禊祓の神事です。
女性は十二単衣、男性は衣冠狩衣の装束で17人が庭園内の緩やかに曲がる小流れの辺に座ります。
和歌を作り短冊に書き、上流から流れてくる盃のお酒を飲みます。
ちょうど満開になった梅の花が舞い散りしばし雅な時間をすごすことが出来ました。(真知子)

曲水の盃に散りこむ梅の花    真知子

a la carte_さんしゅゆ

caffe kigosai 投稿日:2014年2月17日 作成者: koka2014年6月21日

sansyuyu
 早春の光のなか、空間にちりばめられたように開く「さんしゅゆ」の黄色い小さな花は、とても目を惹きます。「まんさく」や少し遅れて花開く「連翹」とともに、三寒四温の時期に黄色い花の咲く花木のひとつです。

別名(春黄金花)というみずき科のこの木は、高さ15mくらいまで伸びるものもあり、褐色の枝はそっけないくらい真っ直ぐのびていて、木肌をよく見れば鱗状であたかもはがれてきそうに所々樹皮が立っていることが特徴です。

「さんしゅゆ」は山茱萸と表記され、(山)をとるとあとの二文字は茱萸をさし、実際に秋には茱萸に似た赤い実をつけます。

「さんしゅゆ」の枝で自分の思うような線を作ろうとすると、意外にこの木は協力的なのです。ここに曲がりをと思った箇所にすこしづつ力を加え矯めていくのですが、万一、パキッと折れたのでは?という感触があってもすぐには諦めない事です。枝は季節や場所にもよりますが最低でも三割が繫がっていれば水は上がっていき、花も新鮮なままでいる可能性が高いのです。パキッという音に少しびくびくしながらでも思うようなかたちが作れる代表格の花材です。そのかわりこの「さんしゅゆ」の枝ははさみをいれると結構硬くて切りにくいのです。

しなやかにして強い、という性質は植物を運ぶときにも好都合です。この「さんしゅゆ」や前にあげた連翹などものもそうですが、この時期の枝のものを、しおり(枝折)もの、いう言葉で耳にすることがあるかもしれません。枝を折るという意味ではなく、花木をたばねたもののことです。一本から出ている何本かの脇枝を、うまく中心にむかってたわめていき、わらの中心の部分を取り出したような植物の繊維でしばり、運びやすくするためで、できたものをまた数組を束ねて一束とします。(枝折る)という漢字はもともと当て字らしくはじめは(撓る)と書いてしおるといっていたようです。

(しおる)と聞いて読書のとき使う栞との関連を思った方もおいででしょう。山で枝などを折り、道しるべとした事が元ともいわれ、(しおる)が名詞の(しおり)となり、ここまで読んだというページの目印としているのもなるほどと思います。

しかし現実に枝を枝折るのはそうとうな技術がいります。見ても美しくきちんと束ねなければならない一方、花が膨らんでくれば枝と枝との空間も確保しなければ花びらはお互いにこすれてしまいます。枝の上から下へ数箇所にわたってきちんとしばられているのですが、よくみるとその両端は結んでありません。ひねってきゅっと中に入れ込んでいるだけです。こんなに枝を丁寧に扱っている職人仕事は外国の花市場では見たことはありません。日本の植物が作り出すいけばなをはじめとする文化。それは名も知らない人たちに支えられ、私たちは知らないうちにおおいなる恩恵をうけているのです。(光加)

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 花

a la carte_バレンタインの花

caffe kigosai 投稿日:2014年2月12日 作成者: koka2014年2月13日

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2月14日のバレンタインの日には、日本では気にかかる男性に女性からおおっぴらにプレゼントを贈る事が出来る日とされています。多少の義理と義務とを感じつつ贈り物をする女性たちもこれに加わって、チョコレート売り場はにぎわいます。そして、関連のビジネスに携わる人たちはこの日をこれでもかと盛り上げようとします。けれども外国では、男性から女性へプレゼントするといったほうが多く見受けられるような気がします。日本でも女性同士の友チョコ、自分用のチョコと贈る範囲も広がってきていますので、これからは女性から男性へだけでなく、男性から女性へ贈る人も増えて双方からということになっていくのではないでしょうか。

旧知のN夫妻と久しぶりに会う機会がありました。昔話をしながら突然N氏が言うには(あの出発の時、君に薔薇をあげたよね?船の上で)N氏と私は学生時代、異なった大学から選抜の男女20名と引率の教授とで横浜港からヨーロッパに研修旅行に出発したメンバーです。1ドルが360円の時代です。

バラ!? 私にはまったくそんな記憶はありませんでした。(そんなことあった?それは私じゃないわよ。多分他の人よ。あなたがあげたのは)(いや、君にだよ)といった会話が交わされるうちに、私は少しずつ思い出してきました。

当時N氏は医学生、背が高く少しエキゾチックな風貌。あまたの女子の熱いまなざしをうけていて、私はフーン!とななめからそれを見ていました。(違うわ。私じゃないわよ。その花束をもらったのは)(絶対にあげたのは君。いやだな、覚えてないの?!)(私のはず、ないでしょう)(ひどいなあ)隣で会話をきいていて笑いをこらえる奥方。

ガールフレンドから花束をもらったのはいいけれど、狭い船室の中で花をいれておく入れ物も探すのもめんどうくさい。それでいけばなを習っていた私にということか。少しずつ思い出してきました。夏だったことと、手渡す前に長い間にぎりしめられていたのか薔薇はずいぶん開いていて少しくたっとしていたけれど、ピンクの大輪のいい薔薇で水の中に入れるとしゃんとして殺風景な船室が華やかになったのでした。あれは10本くらいあったでしょうか。次々と細かい記憶もよみがえってきました。バレンタインでなくても人が花を贈るところにはいつも物語がついてきます。

そのバレンタインに贈る花といえばやはり赤い薔薇の切花が多いのでしょうか。何でもビジネスに結びつける日本はともかく、海外の国々ではこの日はどううけとめられているのか、私のいけばなの生徒を中心に何人かに尋ねて見ました。答えが帰ってきたのはアメリカ、カナダ、オーストリア、フィンランド、ドイツ、スペイン。男性から女性へのプレゼントはやはり赤い切り花の薔薇が多かったのは予想どおりでした。でも今ではこういうこともある、と付け加えられていることもありました。

アメリカからの情報では、茎の長い赤い薔薇の切り花はもちろんのこと赤いアマリリスなども近頃人気とのこと。スイートハート(恋人)にスイート、つまり甘いものを贈るのもあり。チョコレートもキャンデイとよぶのでお菓子はなんでも。カナダもしかり。スペインはカルメンの口元にも情熱の赤い薔薇がくわえられるとおりです。赤でなくてもピンクも可、季節の花というところも多かったです。

フィンランドは、2月14日のこの日はそんなには認識されてはいないけれど、あえていえば見かけるのはピンクのチューリップだそうです。輸入物で高いこの花、私も見かけましたが湾も凍りつく2月のフィンランドでは、春を待つ心も添えられているのでしょう。

ドイツはまさにお花屋さんのかきいれ時。それは特別だったのか、お花屋さんと学校の何らかの関係でなのかわかりませんが、日本の中学高校に当たる学校では14日の少し前に注文をとりにきた花屋さんにオーダーすると、その学校にいる相手の子に当日届けてくれたそうです。そのドイツも今は切り花のほか鉢植を贈ることもあるそうで、できるだけ後まで残るようにということでしょうか。植物の種類は何でもよく、ドイツ人の堅実、かつ合理的な一面がここにも見えるような気がします。女性から男性への贈り物はワインやチョコレート、男性用香水などが人気とか。

オーストリアは切花の赤薔薇が主ですが直前はとても高くなるので、若い人は薔薇一本にワイヤーでつくったものや紐やシールなど赤いハート型のマークをどこかにつけるそうです。ひと手間かけて気持がどれだけこもっているかどうかという大事なところです。そして男性は配達を頼まず持参するほうが女性の得点が高いのだそうです。 

それからオーストリアのスパの中には、この日に近い週末の2日間宿泊つきでバレンタインスペシャルといってキャンドルライトの下で、花とともにロマンチックなデイナーを、などと大々的に宣伝をしているところもあるようです。

スパといってもヨーロッパのスパは、日本の温泉とは少し違います。スイスのアルプスの中のスパにフィンランドの夫婦に連れていってもらったことがあります。カウベルが聞こえてくる澄んだ空気の中、すぐ目の前に迫るアルプスの絶壁を眺めながらの野外の温水プール、現代建築家のデザインの趣向を凝らしたプールも室内にもいくつかありました。時差で眠れないため真夜中にふと窓を開くと満天の星。すべての灯りは消されていたので、自分自身も天空の星と共に空間に浮遊するような気持を味わい、見あげているうちに、人間は宇宙のただの一部、なんと小さく、与えられた時間は短いのだと思ううちなんだか眼のそこがうるうるとしてきました。そんなスパにバレンタインの日に招待されたら、ぐっと気持も傾くこと請け合いでしょう。

こんな経験は特別としても、やはり女性は花をもらって悪い気はしないと思います。それに心がこもっているということとセンスの良さがちらりと見えればなおさらです。 

世の男性の皆様がた、もしバレンタインやそのお返しのプレゼント、迷っておいでならやはり花をお勧めいたします。初めにあげたN氏の薔薇のように、そこに到るいきさつ、動機は別として40年の時をへても人の心の中に記憶の淵から突如として浮かび上がり、瑞々しい花が鮮やかに咲くのです。しかも思い出の中の薔薇は相手にあげた実物よりずっと美しくなっているはずなのです。(光加)

a la carte_バレンタイン

caffe kigosai 投稿日:2014年2月11日 作成者: yoshiko2014年2月12日

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 今年は立春を過ぎての大雪に悩まされた東京ですが、さすがに2月も半ばになると日脚もずいぶんと伸びて来ました。11月の末あたりからぐんぐん迫る日の短さに、夕飯の支度をせかされていた感じがしたものですが、この頃になるとは少し気分に余裕が出て来ます。
暖かい日などは、囀りとまでは行かなくても鳥の鳴き声に春を感じることもあります。新潟にはいくつか白鳥の飛来地がありますが、そうした冬鳥達もそろそろ営巣のためにふるさとに戻る頃です。鳥も恋する頃、人もまた恋の日を迎えます。その云われはともかく、デパートのチョコ売り場が拡張され人であふれているのを見ると、「ああバレンタインだな」と思うのは年のせいでしょうか。ご本人達はチョコを、貰うほうも渡すほうもけっこう必死なのかも知れません。
 大人から小学校生まで、義理から本命までとチョコレートの果たすべき役割は幅広いのですが、意外と簡単に出来るのが手作りチョコレート。道具も特別な物は必要ありません。今年はオリジナルのチョコで一工夫してみてはいかがでしょう。
 ちょっと大人の紅茶の生チョコレートをご紹介します。
【分量】 チョコレート 200グラム
     生クリーム 100ml
     アールグレイ茶葉 6グラム
     ココアパウダー 適量
     蜂蜜 適量
     ラム酒 適量
【作り方】
     1 チョコレートは溶けやすいようにあらかじめ刻んでおきます。
     2 鍋に生クリームを入れ火にかけて紅茶と蜂蜜を入れます。
     3 沸騰しないように気をつけて茶葉をひらかせます。
     4 3を漉して暖かいうちに刻んだチョコレート入れ溶かします。
     5 ラム酒を加えます。
     6 用意しておいた容器に流し入れチョコレートを冷やします。
     7 冷えたら切り分けココアパウダーをかけて出来上がりです。
     チョコレートの種類によって蜂蜜の量を加減してください。

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十六回 2026年3月7日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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